夏のはたらき方実態調査:74.6%が出社予定、「避暑地」としてのオフィス価値が浮上―パーソルキャリア Job総研調べ

パーソルキャリア株式会社が運営する調査機関『Job総研』は、社会人男女544人を対象とした「2025年 夏のはたらき方実態調査」を実施しています。この調査では、今夏のはたらき方の理想と実態、出社またはテレワークを希望する理由、職場の熱中症対策とその印象、そして夏の暑さが仕事に及ぼす影響について明らかにされています。

2025年 夏のはたらき方実態調査

熱中症リスクと出社回帰の現状

2025年6月、クールビズ開始から20年目の本年より、職場における熱中症対策が義務化されました。Job総研が2023年夏に実施した調査では、テレワークを希望する人が6割いる一方で、実際には出社を選択している人が多数派であり、理想と実態にギャップがあることが判明しています。

コロナ終息後に進んだ「出社回帰」の流れにより、各企業で出社率は上昇傾向にある中、気象庁は今年、観測史上最も早い梅雨入りと、過去10年で最高レベルの猛暑となる可能性を発表しています。このような状況下で、職場での熱中症リスクが増す中、企業も安全な労働環境の提供や社員の健康管理がより一層求められています。

こうした背景から、Job総研では個人の夏のはたらき方の理想と実態がどのように変化しているのかを調査しています。

調査概要

調査対象者:現在就業中のJobQ Town(ジョブキュータウン)登録者
調査条件 :全国/男女/20~50代
調査期間 :2025年6月4日〜6月11日
有効回答数:544人
調査方法 :インターネット調査

TOPICS

・全体の74.6%が今夏「出社」 夏の理想のはたらき方は「出社派」が48.0% 「テレワーク派」が52.0%
・出社希望の理由は「涼しい環境が整っているから」 テレワーク希望の理由は「外が暑いから」が最多
・全体の74.6%が職場の熱中症対策が「されている」 67.5%が対策に「不十分さ」を実感
・全体の69.5%が夏バテ予防を「している」 「こまめな水分補給」や「睡眠」への意識が上位
・全体の85.7%が、夏の暑さは仕事のやる気に「影響する」 83.4%が夏は仕事の「やる気が下がる」

今夏の出社予定:74.6%が出社へ

回答者全体544人に今夏の出社予定を尋ねたところ、「出社派」が74.6%で過半数を占める結果となっています。内訳は「出社のみ」が37.9%、「出社多め」が22.2%、「どちらかといえば出社多め」が14.5%です。

今夏出社予定の406人に、出社が会社からの要請かどうかを聞いたところ、「要請あり派」が77.6%、「要請なし派」が22.4%という結果になっています。

今夏の出社予定グラフ

夏の理想のはたらき方と出社希望理由

回答者全体544人に夏の理想のはたらき方を尋ねたところ、「出社したい派」が48.0%となっています。内訳は「断然出社したい」が14.2%、「出社したい」が13.6%、「どちらかといえば出社したい」が20.2%です。

出社を希望すると回答した261人にその理由を聞いたところ、「涼しい環境が整っている」が39.5%で最多となり、次いで「チームメンバーが出社する」が31.0%、「在宅だと集中しにくい」が26.8%という結果になっています。

夏の理想のはたらき方グラフ

テレワーク希望理由:「外の暑さ」が最大の要因

テレワークを希望すると回答した283人にその理由を尋ねたところ、「外が暑いから」が67.8%で最多となり、次いで「通勤による疲労軽減」が60.4%、「移動による汗対策が面倒」が55.5%という結果でした。

回答者全体544人に職場の熱中症対策状況への印象を聞いたところ、「不十分だと思う派」が67.5%で多数派となっています。内訳は「十分ではないが対策はしている」が45.4%、「対策はしているが不十分」が22.1%で、「十分な対策であると思う派」は32.5%にとどまっています。

テレワーク希望理由グラフ

職場の熱中症対策:対策実施は74.6%

回答者全体544人に職場の暑さ/熱中症対策について尋ねたところ、「されている派」が74.6%で多数派となり、「されていない派」は25.4%でした。

職場で熱中症対策ありと回答した406人に具体的な対策を聞いたところ、「適切な空調管理がされている」が51.2%で最多となり、次いで「クールビズの推奨」が44.6%、「飲料や塩分補給用の備え」が36.9%という結果でした。

職場の熱中症対策グラフ

夏バテ対策:約7割が予防策を実施

回答者全体544人に夏バテの予防対策の有無を尋ねたところ、「している派」が69.5%と過半数を占めています。内訳は「とてもしている」が16.9%、「している」が22.8%、「どちらかといえばしている」が29.8%です。

予防策を実施していると回答した378人に夏バテの具体的な予防策を聞いたところ、「こまめに水分を補給する」が46.6%で最多となり、次いで「睡眠をしっかりとる」が45.2%、「生活リズムを整える」が34.1%という結果でした。

夏バテ対策グラフ

仕事のやる気への影響:8割以上が暑さでやる気低下

回答者全体544人に夏の暑さは仕事のやる気に影響するかを尋ねたところ、「影響する派」が85.7%で大多数を占める結果となっています。内訳は「とても影響する」が32.0%、「影響する」が28.7%、「どちらかといえば影響する」が25.0%です。

また、夏は仕事のやる気が下がるかを聞いたところ、「下がる派」が83.4%で大多数を占め、内訳は「とても下がる」が23.7%、「下がる」が23.5%、「どちらかといえば下がる」が36.2%という結果でした。

仕事のやる気への影響グラフ

回答者自由記述コメント:出社希望の声が目立つ

今夏「出社を希望する」コメントが多く寄せられています。以下はその一部です。

・夏になると自宅にいても暑いから毎日出社。会社は寒いくらいなので、家にいるよりマシ
・クールビズも認められているし、休める空間もあるのでオフィスに行く。いい気分転換にもなる
・ほぼテレワークなので毎年夏の電気代が心配。今年は出社で電気代を浮かせようかと考えている
・会社からの光熱費負担があればテレワークにするが、ないのでオフィスの冷房を頼りに出社する
・暑さ凌ぎのために、水や冷房が使いたい放題の出社を選ぶ。通勤だけ我慢すれば快適が待っている

調査まとめ:「避暑地」としてのオフィス価値が浮上

今回実施された「2025年 夏のはたらき方実態調査」では、今夏は7割が出社予定であり、そのうち6割がその出社は会社からの要請によるものであることが明らかになっています。個人の希望よりも企業方針に沿ったはたらき方となっている実態が浮き彫りになっています。

2023年のJob総研調査では理想のはたらき方は「テレワーク」が過半数を占めていましたが、今回の調査では「出社希望」と「テレワーク希望」が拮抗する結果となっています。特に、出社を希望する理由では「涼しい環境が整っている」が最多となり、職場を「快適な温度環境=避暑地」として積極的に活用する姿勢が一定数見られます。

これまでテレワークの自由度や効率性が重視されてきた一方で、今夏はむしろ"職場に行くことで生活コストを下げ、快適な環境を得る"という新たな価値判断が広がっています。また、「テレワークは光熱費がかかる」など、物価高に対する意識の高まりが行動に影響している結果から、企業が提供するオフィス環境が、単なる「はたらく場所」から「コストを抑える生活拠点」へと変化を見せているとも言えます。

そのような中、7割の職場では「クールビズの推奨」など熱中症対策が実施されているものの、これらの状況には「不十分さ」を感じており、環境面の整備だけでなく、企業側にはもう一段進んだ対策が期待されています。こうした職場の状況に対し、個人レベルでの対策も進んでおり、7割が夏バテの予防対策を始めています。「水分補給」や「睡眠・生活リズムの調整」など生活の基本の見直しに加え、「日中の外出を控える」など意識的な対策も挙げられています。

また、8割が夏の暑さで仕事のやる気が下がるという結果となり、気候がはたらく意欲や生産性に与える影響は依然として大きいことがうかがえます。企業にとっては、職場環境面での熱中症対策だけでなく、社員の意見を踏まえた"実効性ある対策"がますます求められるでしょう。また、個人側でも健康維持と生産性向上に対する意識の変化は進んでおり、企業と個人の"両輪"で夏を乗り越える姿勢が問われる調査結果となっています。

高木理子

パーソルキャリア株式会社 Job総研 PR担当

高木 理子(たかぎ りこ)

2020年からのインターンを経て2022年に新卒入社。コンテンツマーケティンググループ所属後、2023年に広報へ異動し"はたらく社会人"を中心に様々な観点から意識や行動などについて調査研究を実施するJob総研にて調査研究を担当。Job総研を通して「社会とつながる」を個人のビジョンに掲げ、市場の現状と未来を分析し、社会へ発信することではたらく社会人や就活生の選択機会に貢献する事を目的として活動しています。

出典元:パーソルキャリア株式会社 Job総研 プレスリリース

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