
株式会社電通デジタル(本社:東京都港区、代表取締役社長執行役員:瀧本 恒)は、楽天市場の運用型広告「Sales Expansion」の「Reporting API」の先行導入を開始し、これを活用した「Sales Expansionパフォーマンスチェックツール」の運用を開始しました。このツールにより、予算進捗やROAS(広告費に対する売上額の比率)などのパフォーマンス変化を可視化し、企業の広告運用効率化と効果最大化を支援するとのことです。

この記事の目次
拡大するEC市場における広告活用の現状
近年、楽天市場をはじめとする物販系ECプラットフォームは著しい成長を続けており、2023年には市場規模が14兆6,760億円に達しました。この数字は経済産業省が2024年9月25日に発表した「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」の調査結果に基づいています。
出店企業の増加に伴い市場競争も激化していることから、各ECプラットフォーム内で用意されている広告枠を効果的に活用することが、売上向上の重要な施策となっています。特に楽天市場においては、自社商品を販売している市場出店店舗を支援するためのメーカー向けの広告「Sales Expansion」が提供されており、多くの企業が利用しています。
このような広告サービスを利用する運用担当者は、日々の予算管理や入札額の調整のための分析に多くの時間とリソースを費やしており、より効率的な運用ツールへのニーズが高まっていました。
「Sales Expansion」の特徴と運用上の課題
「Sales Expansion」は、楽天市場内で自社製品を販売する出店店舗を持つメーカー向けの広告サービスです。このサービスを通じて、メーカーは楽天市場内で自社製品の露出を高め、売上拡大を図ることができます。
しかし、効果的な活用のためには日々のパフォーマンス分析や予算管理、入札調整などの運用業務が欠かせません。これまで運用担当者は、CSVファイルをダウンロードして手動でデータを分析し、各種指標を確認する必要がありました。このプロセスは時間がかかるだけでなく、リアルタイムの意思決定を難しくし、迅速な運用改善の障壁となっていました。
電通デジタルによる「Sales Expansionパフォーマンスチェックツール」の開発
電通デジタルでは、メーカーの事業拡大や売上最大化を目的として、運用型広告の「Sales Expansion」を活用した集客施策をこれまで数多く支援してきたとのことです。同社は楽天市場内プロモーションにおける専門性と豊富な知見を活かし、このたび「Sales Expansionパフォーマンスチェックツール」を開発しました。
このツールは、楽天グループ株式会社 コマース&マーケティングカンパニーが一部のパートナー企業向けに新たに提供を開始した「Sales Expansion」の「Reporting API」を活用しています。主な目的は、広告運用の効率化と最適化を通じて、クライアント企業の売上向上を支援することにあります。
「Sales Expansionパフォーマンスチェックツール」の主な機能と特徴
このツールは、予算進捗やROAS(広告費に対する売上額の比率)などのパフォーマンス変化を可視化する運用補助ツールです。主な機能と特徴は以下の通りです:
- 自動データ取得による業務効率化
運用担当者による日々のCSVダウンロードが不要となり、すべてのキャンペーン指標を自動で取得できるようになります。これにより、データ収集にかかる時間とリソースを大幅に削減し、より価値の高い分析や戦略立案に時間を充てることが可能になります。 - リアルタイムパフォーマンス可視化
キャンペーン予算に対する前日までの進捗率や、目標とするKPIに対しての運用状況をリアルタイムで確認できます。これにより、注力すべきキャンペーンを速やかに特定し、運用施策の改善を迅速に行うことが可能です。特に予算消化が早いキャンペーンや、ROASが目標値を下回っているキャンペーンなど、即座に対応が必要な状況を素早く把握できるようになります。 - 運用PDCAサイクルの高速化
電通デジタルの運用担当者によって行われてきた個別キャンペーンの分析作業が効率化され、従来よりも運用PDCAを高速化することができます。これにより、市場の変化や消費者の行動変化に素早く対応し、企業の広告パフォーマンスの効果最大化に貢献します。従来は週次や月次で行われていた運用改善が、より短いサイクルで実施できるようになります。 - データに基づく意思決定の質向上
客観的な分析結果を即座に得られることで、より質の高い意思決定が可能になります。感覚や経験だけでなく、実際のパフォーマンスデータに基づいた戦略立案と運用改善が実現します。
これらの機能により、「Sales Expansion」を活用するメーカーは、より効率的かつ効果的な広告運用を実現し、楽天市場内での売上拡大を図ることができます。
導入効果と運用改善
「Sales Expansionパフォーマンスチェックツール」の導入により、電通デジタルの運用担当者によって行われてきた個別キャンペーンの分析作業が大幅に効率化されたとのことです。従来は数時間を要していたデータ収集と分析のプロセスが、ほぼリアルタイムで実行できるようになり、運用PDCAサイクルの高速化が実現しています。
この効率化により、運用担当者はデータ処理ではなく、戦略立案や創造的な施策検討に多くの時間を割くことが可能となり、結果として広告パフォーマンスの向上につながります。また、予算消化のペースや効果測定がリアルタイムで行えるようになったことで、予算の無駄遣いを防ぎ、より効率的な広告投資が可能になっています。
今後の展開と機能拡張計画
現在、楽天グループ株式会社 コマース&マーケティングカンパニーから提供されている「Sales Expansion」の「Reporting API」は「Campaign」に関するもののみですが、今後の拡張が計画されています。
具体的には、商品別のレポートである「JAN」や検索キーワードを基にした「Keywords」のレポートのAPIについても実装を計画しており、これらが実装されれば商品やキーワード単位でのより詳細なパフォーマンスチェックも対応可能となる予定です。これにより、より粒度の高い分析と最適化が可能になり、広告効果のさらなる向上が期待できます。
また、電通デジタルでは、他の主要ECプラットフォームの運用型広告レポートとのパフォーマンス比較が可能な統合マーケティングダッシュボードへの連携も予定しているとのことです。これにより、複数のECプラットフォームにまたがる包括的な広告運用管理が可能になる見込みです。
さらに、生成AIを活用した先進的な機能開発も検討されています。運用指標の変化におけるコメントの自動生成/要約や、要因分析の自動生成機能などが検討されており、これらが実装されれば、データ分析の専門知識がなくても、AIによる洞察と改善提案を得ることができるようになります。
EC広告市場の動向と電通デジタルの取り組み
EC市場の拡大に伴い、各プラットフォーム内での広告競争は今後もさらに激化することが予想されます。このような状況下で、効率的かつ効果的な広告運用はますます重要となっています。
電通デジタルは、ECプラットフォームにおける広告運用の専門性と豊富な知見を持ち、多くのクライアント企業のEC事業成長を支援してきました。特に楽天市場における広告運用においては、プラットフォームの特性を深く理解し、効果的な広告戦略と運用ノウハウを蓄積しています。
「Sales Expansionパフォーマンスチェックツール」の開発と提供は、こうした専門性を技術的側面からさらに強化するものであり、同社は今後も最新テクノロジーを活用したソリューションの開発と提供を通じて、クライアント企業のEC事業における成長を総合的に支援していく方針とのことです。
電通デジタルは今後も、ECプラットフォームにおける広告の運用知見と専門性、最新テクノロジーを活用して、クライアント企業の成長を支援していくとしています。
「Sales Expansion」について
「Sales Expansion」は楽天グループ株式会社が提供する広告ソリューションで、楽天市場内の出店店舗を支援するためのメーカー向け広告サービスです。このサービスにより、メーカーは自社商品のプロモーションを効果的に行い、楽天市場内での売上拡大を図ることができます。
株式会社電通デジタルについて
電通デジタルは、国内最大規模の総合デジタルファームです。「人の心を動かし、価値を創造し、世界のあり方を変える。」をパーパスに、生活者に寄り添うクリエイティビティとテクノロジーを統合的に活用することで、あらゆるトランスフォーメーションを実現しています。クライアント企業の事業成長パートナーとして、共に新たな価値を創造することで、経済そして社会の「変革と成長」を目指しています。
出典元: 株式会社電通デジタル プレスリリース