AnyMind Group株式会社は、同社が提供するインフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」に、SNS上のUGC(ユーザー生成コンテンツ)をAIが文脈ベースで解析し、ブランドに対する生活者の感情や思考、行動動機を可視化する新機能「AnyTag Insight」(エニータグ インサイト)を追加し、提供を開始したことを発表しました。この機能により、SNS投稿のテキスト情報を属人的な判断に頼らず、構造的かつ再現性のある手法で分析できるようになり、マーケティング戦略の精度向上に貢献するとのことです。

※UGC:User Generated Contentの略。ユーザーによってSNSなどに投稿された文章・画像・動画などのコンテンツを指します。

AnyTag Insight概要

開発の背景

マーケティングにおける最大の課題の一つは、生活者の行動変容を生み出す「インサイト」を正確に捉えることだといわれています。従来のマーケティング手法では、熟練したマーケターがインタビューや定性分析を通じてインサイトを抽出してきましたが、そこには属人的な判断や解釈のバイアスという限界が存在していました。

一方で、SNSや口コミサイトには日々膨大な投稿が蓄積されており、その中には生活者の"本音"が数多く含まれています。しかしながら、これまでの分析手法は単語やハッシュタグの出現頻度の集計にとどまり、投稿の文脈や感情まで深く読み解くことは困難でした。

こうした課題を解決するため、AnyMind Groupは大規模言語モデル(LLM)とマーケティング領域におけるAIエージェント設計の知見を融合し、UGCから構造的かつ即時に生活者インサイトを抽出する「AnyTag Insight」を開発したとのことです。

※LLM:膨大な文章データを学習し、文脈理解や自然言語生成が可能なAIモデルを指します。

「AnyTag Insight」の概要と特徴

「AnyTag Insight」は、SNS投稿の本文やハッシュタグといったテキストに含まれる感情や文脈をAIが解析・構造化し、マーケティング活動に役立つインサイトを即時に可視化できる新機能です。この機能の大きな特徴は、分析の目的や文脈に応じて自由にプロンプト(分析指示文)を入力するだけで、専門知識がなくても誰でも簡単にインサイト分析が可能になる点とされています。

これにより、レポーティング業務の効率化や分析内容の標準化・再現性の確保にも寄与します。また、属人性に依存せず、ブランドに対する生活者の感情や思考、行動動機をマーケティング戦略に安定的かつ継続的に活用できるようになるとのことです。

主な特徴

  • SNS投稿を単語ベースではなく文脈単位で分類し、より深い理解を実現
  • プロンプトの変更により、目的に応じた分析視点の柔軟な切り替えが可能
  • 分析スキルに依存せず、誰でも同水準のアウトプットを再現可能
  • CSVやスライドにも出力可能で、報告資料の作成を効率化

抽出可能なインサイト例

「AnyTag Insight」では、以下のような観点で、マーケティング活動に有用なインサイトを多角的に抽出することが可能だとされています:

  • 投稿単位でのポジティブ/ネガティブ判定
  • 使用シーン別の投稿傾向分析(例:「仕事終わり」「休日ランチ」「自宅で」など)
  • 感情的/機能的価値マッピング
  • CEPの可視化
  • 生活者の価値観や関与度に基づくトライブ・ペルソナ分析

※CEP:Category Entry Point(カテゴリエントリーポイント)の略。ある製品カテゴリに生活者が入ってくるきっかけや場面を指します。

AnyMind Group 共同創業者兼代表取締役CEO 十河 宏輔氏のコメント

「当社はこれまで、アジアを中心に多様な市場で、ブランド企業とインフルエンサーの協業を支援し、さまざまなマーケティング課題に向き合ってまいりました。そうした現場で培った知見と、AI・LLMをはじめとするテクノロジーを融合することで、これまで属人的に扱われてきた"生活者インサイト"を、誰もが使える共通言語として分析できるプラットフォームを開発いたしました。今後も、テクノロジーと人の共創を通じて、企業のマーケティング活動の質を高め、ブランド企業のさらなる成長を支援してまいります。」

今後の展開

AnyMind Groupによると、AnyTag Insightで得られたインサイトをもとに、コミュニケーション戦略の再設計、広告配信の最適化、クリエイティブの改善、KOL(Key Opinion Leader)のアサイン最適化など、インフルエンサーマーケティングのPDCA全体を支援していく予定とのことです。

さらに、UGCから得られるインサイトと購買・コンバージョンなどの実行データを連携させることで、マーケティング施策の効果貢献を可視化する新たな評価モデルの構築も進めていくと発表されています。

インフルエンサーマーケティングプラットフォーム「AnyTag」とは

AnyTagは、企業のインフルエンサーマーケティングを支援するプラットフォームです。インサイト分析を活用し、最適なインフルエンサーの選定やキャスティングを行い、キャンペーン実施後も投稿のリアルタイムレポートや効果測定を提供します。

また、SNSアカウントと連携できるため、企業のSNS運用管理ツールとしても活用可能です。2024年12月末時点で、世界45以上の国・地域の87万人以上のインフルエンサーにアクセス可能となっているとのことです。

AnyMind Group概要

AnyMind Groupについて

AnyMind Groupは、2016年にシンガポールで創業し、アジア市場を中心に15ヵ国・地域に拠点を構えるテクノロジーカンパニーです。EC・マーケティング・生産管理・物流などの領域で、11個のプラットフォームやソリューションを展開しています。

プラットフォームとオペレーション支援を組み合わせた「BPaaS」(Business Process as a Service)モデルで提供することで、DX推進と業務の効率化・省人化を実現し、クライアントの事業成長に貢献しているとのことです。同社は東証グロース上場(証券コード:5027)しています。

会社概要

会社名 :AnyMind Group株式会社
設立   :2016年4月
所在地 :東京都港区六本木6-10-1 六本木ヒルズ森タワー31F
代表者 :代表取締役CEO 十河 宏輔

拠点

日本(東京・佐賀)、シンガポール、タイ(バンコク:2拠点)、ベトナム(ホーチミン・ハノイ)、インド(ムンバイ・デリー・バンガロール)、インドネシア(ジャカルタ・バンテン)、フィリピン、台湾、香港、マレーシア(クアラルンプール・プタリンジャヤ)、カンボジア、アラブ首長国連邦、上海、深セン、杭州、韓国、サウジアラビア

事業概要

■ブランドコマース事業
ブランド企業及びインフルエンサー・クリエイターなどの個人向けに、EC及びD2C領域を中心としたブランドの設計・企画から、生産管理、ECサイトの構築・運用、マーケティング、物流管理をワンストップで支援するプラットフォームを開発・提供しています。

■パートナーグロース事業
Webメディアやアプリを運営するパブリッシャーとクリエイター向けに、自社プラットフォームを活用した収益化及びブランド成長に向けた支援サービスを提供しています。

出典元:AnyMind Group株式会社 プレスリリース

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