株式会社博報堂のシンクタンク「博報堂100年生活者研究所」は、昭和の日に合わせて20~80代の男女2,800名を対象に、過去100年間の幸福度や価値観の評価について調査を実施したことを発表しました。同研究所では調査結果に基づいて年表を制作し、4月23日より東京都豊島区巣鴨のカフェ「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」に展示するとのことです。
2025年は昭和が始まってから100年の節目となります。博報堂100年生活者研究所が実施した調査では、1920~2020年代の日本人の幸福度や重視していた価値観について調査対象者に評価してもらい、さらに2030年代、2040年代に関しても予想を聴取したとのことです。
調査結果によりますと、日本人の幸福度(10点満点)は1950年代から上昇傾向にあったものの、バブル景気に沸いた1980年代をピークに現在まで低下傾向にあり、今後もこの傾向が続くと考えられていることが明らかになりました。また、日本人の価値観についての評価では、2000年代までは主に「家族とのつながり」「仕事」「経済的な安定」の三つを重視していましたが、2020年代からは変化し、主に「多様性」「自分らしさ」「柔軟な働き方」を重視するようになったと考えられています。
同研究所では上記の結果を基に、昭和の始まりから現在に至るまでを振り返りながら、人生100年時代におけるこれからの幸せを考えるための「昭和100年幸福度年表」を制作しました。特別企画として年表パネルをはじめ、AIが作成した100年後の日本社会像の映像などを「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」(東京都豊島区巣鴨)で展示するとのことです。
100年間の幸福度・重要視価値観の評価 調査結果
Q1. 年代ごとに、日本人がどの程度幸せだったか(幸せになるか)を、あなたの感覚で評価してください。「とても不幸せ」を0点、「とても幸せ」を10点とすると、それぞれ何点くらいになると思いますか
― 推定幸福度の最低は1940年代で、その後は1980年代をピークに減少傾向にある
1920~2040年代の日本人の幸福度を10点満点で評価してもらった結果、最も幸福度が高いと評価されたのはバブル景気が始まった1980年代で6.2点でした。一方、最も低いと評価されたのは太平洋戦争があった1940年代で3.97点という結果になりました。調査では、幸福度は1980年代をピークとして2020年の現在まで低下し、2040年代までこの低下傾向が続くと考えられていることがわかりました。

Q2. 年代ごとに、日本人が重視していたこと(重視するであろうこと)を、あなたの感覚でお答えください
― 2000年代までは「家族のつながり」「仕事」、2020年代以降は「自分らしさ」などが目立った
年代ごとに日本人が重視していた、あるいは重視するであろうことの推移を見ると、最も幸福度が高かったと評価された1980年代では「仕事(44.0%)」「家族とのつながり(37.4%)」「経済的な安定(37.4%)」がトップ3となっており、この傾向は2000年代まで続いています。しかし1980年以降、「仕事」の重視度は急激に低下していることも明らかになりました。
また、新型コロナウイルスの感染拡大を経験した2020年代になると、日本人が重視することは大きく変化し、「多様性(31.6%)」「自分らしさ(31.0%)」「柔軟な働き方(29.8%)」がトップ3となりました。この結果から、社会環境の変化が価値観にも大きな影響を与えていることがうかがえます。

調査概要
日本人の100年間調査
・調査目的:過去100年間の日本人の価値観変化を把握する
・調査手法:インターネットモニター調査
・調査期間:2025年2月
・調査対象者:20~80代の男女2,800名
博報堂100年生活者研究所について
博報堂100年生活者研究所は「長くなる人生を、前向きに生きていく人を増やす」、それにより「日本を、前向きな100年生活者の社会にする」ことを目指して活動しているそうです。これまでの研究結果は、同研究所のホームページからご覧いただけます。
また、同研究所は巣鴨に「Sei-katsu-sha Cafe かたりば」を運営しており、お店に来られる多様な価値観を持つお客様との対話を通じて、より生活の現場に近い場所から研究活動を進めているとのことです。来場者との直接的な交流を大切にすることで、より実態に即した研究活動を展開しているようです。

・組織名:博報堂100年生活者研究所
・所在地:東京都豊島区巣鴨3-34-3 西村商店第二ビル3階
・代表者:大高 香世
・設立:2023年3月20日
人生100年時代を迎える日本において、人々の幸福や価値観の変化を研究することは、今後の社会づくりにおいて重要な意味を持ちます。今回の調査結果からは、バブル期をピークとして日本人の幸福度が低下傾向にあること、また価値観が「仕事」中心から「自分らしさ」や「多様性」を重視する方向へと変化していることが明らかになりました。
出典元:株式会社博報堂 博報堂100年生活者研究所