
デジタル広告業界の変化が激化する中で、消費者はいつでもどこからでも商品を購入できる環境が整っています。これに伴い、消費者を効率的にエンゲージさせることが一層困難になっている状況です。コマースメディア企業のCRITEO株式会社(クリテオ、本社:フランス、日本代表取締役:グレース・フロム)は、デジタル広告に従事するビジネスマン500名以上を対象に「日本のデジタルマーケティングにおけるマーケターの意識調査」を行いました。
調査の結果、ブランド、小売業、代理店を含む業界全体が「新規顧客の獲得」「顧客層の拡大」「コスト削減」「業務効率化」「既存顧客の維持」といった課題を重視していることが明らかになりました。特に、代理店では「ウェブサイトやファーストパーティデータの活用および収益化」がこのような課題に対する解決策として考えられていることが分かりました。さらに、ブランドや小売業者は、デジタル広告の流行として「検索広告」や「ソーシャルメディア広告」に続いて「リテールメディア」や「コマースメディア」への関心が高く、約70%の企業が今後これらを導入する意向を示しています。
この記事の目次
調査結果の概要
最優先課題に関する意識
- 調査対象となったブランド、小売業、代理店などの業界の約半数は、来年度の最優先課題を「新規顧客の獲得や顧客層の拡大」と答えました。次いで「コスト削減や業務効率化」、さらに「既存顧客の維持」が上位に挙げられました。
マーケティング部門の優先事項
- 「自社(またはクライアント企業)の最優先事項を達成するためにマーケティング部門がすべきことは何か」という問いには、各業界共通で「顧客ロイヤリティやエンゲージメントの向上」「顧客との接点の整理・最適化」「ブランドイメージの強化・改善」など、顧客との関係強化を最優先する回答が寄せられました。
- 代理店は、「ウェブサイトやファーストパーティデータの活用や収益化(20%)」も重視していますが、小売業やブランドではその意識は中位にとどまりました。
デジタルマーケティングにおける優先事項
- 今後のデジタルマーケティングの優先事項として、小売業は「デジタル広告のパフォーマンス選定と予算配分の最適化(38.6%)」を挙げ、ブランドや代理店は「SNSマーケティングの強化(ブランド:34.4%、代理店:44.4%)」と回答しています。特に小売業では、「自社ECサイトのスペースの有効活用」が3番目に高い優先事項として注目されています。
- すべての業界において、約70%は「具体的なビジネス成果を示さないメディア投資は、削減されるリスクがある」と感じており、さらに半数以上が「プライバシー規制の強化がメッセージの大規模なパーソナライズを妨げている」と考えています。
消費者に関する課題
- 業界全体で「消費者のタッチポイント」については、「ウェブサイト(60%以上)」が最も多く、約70%が「タッチポイントの増加・多様化により、最適な広告チャネルと投資のバランスを見きわめるのが難しい」との意見を示しています。
リテールメディア運営における課題
- メディア事業の活用に関して、小売業とブランド両者ともに約半数が「ECサイトやメディアにスペースの空きがあるにもかかわらず、有効に活用できていない」と回答しており、メディアの有効活用には課題があるとされています。両者は今後のファーストパーティデータ活用意向も高く、約70%に上っています。
*メディア事業には、自社の企業サイト、ECサイト、アプリなどのオウンドメディアや店舗内のサイネージが含まれます。
リテールメディアとコマースメディアへの期待
リテールメディアは、現在のデジタルマーケティングにおいて新たな潮流として注目されています。また、リテールメディアの進化により生まれた「コマースメディア」も新たな広告アプローチとして評価されています。本調査では、回答者にこれらの定義を説明した上で、各業界における活用意向を調査しました。
リテールメディアとは
リテールメディアは、小売業者が保持する顧客の属性情報や購買履歴データを活用し、ターゲットに合わせた高い関連性を持つ広告を、小売業者のオンラインプラットフォームや店舗内のデジタルサイネージを通じて配信することを指します。
コマースメディアとは
コマースメディアは、リテールメディアの取組を他の業種に拡大し、消費者やユーザーのカスタマージャーニー全体のタッチポイントにて「ファーストおよびサードパーティデータ」と「AI」を活用し、最適な広告を提供することで、商品やサービスの売上を最大化し収益化を目指すデジタル広告の取り組みを指します。
リテールメディアの認知度と活用意向
- リテールメディアについての認知状況を問うと、小売業とブランドでは約80%がその存在を知っていることが分かりました。しかし、活用経験は半数にとどまるものの、約70%は「活用したい」と答え、その高い関心を示しています。
- 代理店については、小売業やブランドと比較して認知度は低いものの、70%以上がリテールメディアを認知し、36%が活用経験を持っています。
コマースメディアの活用意向
- 各業界におけるコマースメディアの活用意向も高く、68.9%が関心を寄せています。その理由として「購買データやサイトへの訪問データを利用したターゲティングが可能であるため」が40.4%を占めています。
出典元:CRITEO株式会社 プレスリリース