
クルーズ株式会社(以下、クルーズ)は2025年1月17日、同社が運営するファッション通販サイト「SHOPLIST」を韓国企業MEDIQUITOUSに売却することを発表しました。本取引は、クルーズが進める事業戦略の一環として、ITアウトソーシング事業への経営資源集中を目的としています。
背景と売却理由
クルーズは、2025年3月期第2四半期決算時に発表した6度目の事業転換計画に基づき、ITアウトソーシング事業を中核事業と位置づけています。同社は、システムエンジニアリング事業(SES事業)を中心に人材×IT領域での展開を進めており、これに伴いEC事業の見直しを進めてきました。
「SHOPLIST」は、これまでクルーズグループのEC事業の中心的役割を担ってきましたが、今後のグループ全体の成長戦略において、ITアウトソーシング事業へのリソース集中が必要との判断に至りました。このため、ファッションECモール事業から撤退し、「SHOPLIST」の運営会社であるCROOZ SHOPLIST株式会社の全株式をMEDIQUITOUSに譲渡する決定が下されました。
株式譲渡と債権放棄の決定
クルーズは、2025年1月17日に開催された取締役会において、CROOZ SHOPLIST株式会社(以下、「SHOPLIST」)の全株式を株式会社MEDIQUITOUS(本社:韓国ソウル、CEO/Founder:Doojin Lee)に譲渡することを決議しました。また、同日に開催されたSHOPLISTの取締役会において、SHOPLISTのクルーズに対する一部債権を放棄する決議も行われました。
「SHOPLIST」の概要
「SHOPLIST」は、ファッションECモールとして多くのブランドを取り扱い、主に若年層をターゲットとした通販サービスを展開してきました。CROOZ SHOPLIST株式会社の直近3期の業績を見ると、2022年3月期には売上高890億円、営業利益9.15億円を計上していたものの、2023年3月期には営業赤字(約1億円)を記録。その後、2024年3月期には売上高68.5億円、営業利益1.96億円とわずかに回復傾向を見せていました。
譲渡先企業MEDIQUITOUSについて
買収先となるMEDIQUITOUSは、韓国ソウルに本社を置き、グローバルECプラットフォームの運営やブランドビルディングを手掛ける企業です。同社はファッション分野でのEC展開に強みを持ち、今回の「SHOPLIST」買収によって日本市場への進出を一層加速させると見られます。
今後の見通し
クルーズは、「SHOPLIST」譲渡後も引き続きEC事業を展開する意向を示しており、2025年3月期第2四半期決算時に発表した「Ada.事業」がその柱となる見込みです。一方、今回の株式譲渡に伴い、同社の2025年3月期第4四半期累計期間においては、特別利益として約10億1,600万円、特別損失として約2億4,300万円が計上される見通しです。
まとめ
クルーズの「SHOPLIST」売却は、同社がITアウトソーシング事業への注力を強める中で、ファッションECモール事業から撤退する重要な転換点となります。一方で、買収を行ったMEDIQUITOUSにとっては、日本市場でのプレゼンス拡大に向けた戦略的な一手となるでしょう。今後、両社がそれぞれの強みを活かした事業展開をどう進めるのか注目されます。