株式会社電通は、物価高騰を背景に商品の適正価格を見極め、企業と消費者双方に最適な価格設定を行う支援サービス「Marketing For Growth With Pricing」の提供を本日開始しました。
この新サービスは、電通が長年にわたって得たマーケティング分野の知識に基づき、商品のブランドイメージ、価格、需要の関係を分析し、企業の業績向上に寄与する価格戦略の構築をサポートします。顧客が求める商品力を高めるために、最適価格の運用を支援することを目的としています。
最近の原材料費や人件費の高騰を受けて、商品・サービスの価格が上昇している一方で、日本の平均給与の増加は鈍化しています。このため、消費者は「価格に見合った商品・サービスではない」と感じ、消費を控えたり競合商品に切り替える傾向が強まっています。しかし、価格が上昇しても消費者が離れにくい商品やサービスも存在します。企業にとって価格は収益改善において重要な要素であり、価格設定への関心が高まっていますが、多くの企業が価格戦略において試行錯誤しているのが現実です。したがって、社会的状況を考慮し、企業と消費者双方にとって最適な価格設定が求められています。
電通は「Marketing For Growth With Pricing」の提供開始にあたり、独自調査を実施し、消費者の「価格イメージ」と「購買実績」を分析しました。この調査を通じて、顧客が自社商品やサービスの現状を理解し、競合商品における優位性を把握するための価格戦略策定手法を構築しました。
消費者は、購入を考えている商品・サービスに対して思い浮かべる価格(Recall Price=RP)が存在し、その価格に見合った価値を感じる商品を購入する傾向があります。RPと販売価格(List Price=LP)が均衡している状態をFair Value Line(FVL)と言いますが、消費者が「思ったより高い」と感じる、つまりRPがLPを下回る状況が続くと、商品購入意欲やリピート意欲が低下し、他社製品への切り替えが起こる可能性が高まります。したがって、商品・サービスのRPがLPを上回るように調整することが不可欠です。
< 消費者が商品・サービスに対して想起する価格(RP)と販売価格(LP)の関係図>
電通は「洗剤・柔軟剤」「ヘアケア」「アイスクリーム」「ビール」の4つのカテゴリーに着目し、RPとLPの関係やRPと需要の関連性についての独自調査を行いました。この調査では、商品・サービスの購入意図やブランド価値、RPに関するデータを分析しました。その結果、各カテゴリーごとの価格形成要因や価格戦略の違い、消費者の動向の違いが明らかになりました。
< 調査・分析結果の一部>
「Marketing For Growth With Pricing」ではこの調査結果を基に、「単価」を決定する評価項目を定量化し、需要以外から新しい収益を生み出す支援を行います。例えば、コミュニケーション戦略によってブランド価値が向上すれば、RPの上昇と需要創出が同時に期待できます。マーケティング活動を通じて「価値があるからこの価格になる」と消費者に納得してもらい、需要を生み出す仕組みの構築を目指しています。
<「Marketing For Growth With Pricing」でできること>
さらに、LPを変動させた際の購入数量への影響についてリスクと潜在的利益を両面で試算し、数量とLPの最大化を図るアプローチが可能です。LPの引き上げが需給に及ぼす影響やRP向上のために商品の価値をどれほど上げるべきかについても、定量的な分析を進めていきます。
今後も電通はブランドとコミュニケーション戦略に関して価格戦略を一つのテーマとして取り入れ、企業のmROI(マーケティング投資対効果)の最大化に寄与していく所存です。
出典元: 株式会社電通