株式会社電通が運営する消費者研究プロジェクトチーム「DENTSU DESIRE DESIGN(デンツウ・デザイア・デザイン)」、通称「DDD」は、消費者の欲望を測定するための「欲望未来指数」に関する最新の調査結果を発表しました。この調査によれば、2024年5月の前回調査と比較して指標が大幅に改善され、消費意欲が高まっていることが確認されました。さらに、来年度の消費者トレンドを示す「欲望トレンド2025」では、「ポジティブ・ブースト」がテーマとして取り上げられています。

以下に、「欲望未来指数」と「欲望トレンド2025」の詳細をお届けします。

1. 最新版「欲望未来指数」について

(1)「心が動く消費調査」と最新結果

「欲望未来指数」の推移

「欲望未来指数」は、2021年から実施されている「心が動く消費調査」を基に作られており、外部環境の影響を受けることなく消費者の「欲しい・したい」という内面的な欲求の変化を可視化しています。本調査は、消費者が持っている43種の「根源的欲求」と105種の「価値観」を基に算出され、「今後欲しい物や体験についての具体的な意欲」が加味されています。

最近の調査結果では、欲望未来指数が前回調査から30.4ポイント上昇し、数値は255.4に到達しました。これは2023年11月の水準まで回復しており、経済状況の厳しさから欲望が抑制されていた以前とは異なり、消費意欲が高まっていることを明らかにしています。また、2023年11月から新たに15〜19歳のデータが調査対象に加わったため、2023年5月以前の結果は参考値となります。今年3月には「11の欲望」が改訂され、過去の指数も新たに算出されたとのことです。

(2)「11の欲望」について

2024年11月調査における「欲望未来指数」と「11の欲望」

「11の欲望」の推移

「11の欲望」は、消費行動を引き出す感情を可視化したもので、最新の調査では9つの欲望が前回の指数より上昇しました。特に直近の金利の上昇や円安、生活コストの増加に対抗しつつ、消費者の意欲が再び高まっていることが示されており、具体的には「他人という鏡に映した欲望」、「資本集中型消費欲望」、「守りたいものがある欲望」、「愛がなくちゃね欲望」、「あっ、コレわたしっぽい欲望」の5つの欲望が過去最高の値を記録しています。

これにより、他者や社会への貢献意欲が高まっているだけでなく、自分自身の好みや欲望に対してもお金を使う意欲が増していることが読み取れ、今後の消費意欲の活発化が期待されています。

2.「欲望トレンド2025」について

「欲望トレンド」は、DDDが提案している「11の欲望」を基にして、社会現象を欲望の観点から捉え、今後日本社会が迎える複数のトレンドを予測するものです。さまざまなトレンドやヒット商品とDDDの独自の知見を交え、消費者の内面的な満たされたい気持ちや思考を深め、今後トレンドになりそうな欲望を引き出しています。

その中から2025年のメイントレンドの一つとして「ポジティブ・ブースト」に注目が集まっています。

(1)ポジティブ・ブーストの概要

・物価の高騰や経済の停滞といった困難な時代において、消費者は明るく楽しい選択肢を求める傾向が高まっています。

・具体的には、消費者はポジティブな気持ちを引き出す商品やサービスに惹かれています。

(2)具体的な事象としての4要素

・成績を残したアスリートや著名人に関連するアイテムへの関心が高まり、その影響を受けたい気持ちが強まっています。

・優しさなどを感じさせる商品名やデザインが好まれる傾向です。

・安心感を与えてくれるコミュニティで過ごすことの重要性が強調されています。

・自己肯定感を高めるコンテンツが注目されています。

(3)「11の欲望」視点での考察

新型コロナウイルスの影響が強く、2023年までは「無理のない自由」や「心身平常運転」を求める欲望が存在しましたが、これらは今後も引き続き低迷する見通しです。その一方で、「他人という鏡に映した欲望」や「資本集中型消費欲望」は活発になってきており、日々の生活で自らを前向きに保つための消費行動が求められるようになっています。

DDDは今後も、消費行動を促す感情「欲望」の視点を重視することで、企業向けの深い顧客理解の手法を強化し、マーケティングの高度化・効率化を図っていく方向です。

出典元:株式会社電通

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