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データ公開の背景
日本政府観光局(JNTO)の報告によりますと、2024年9月の訪日外客数は2,872,200人に達し、前年同月比で31.5%の増加が見られました。また、2019年同月との比較でも26.4%の上昇を記録し、8ヶ月連続で過去最高の数字を叩き出しています。
(引用・参考)日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計
越境ECのトータル支援を行うZenGroup株式会社は、日本企業が海外市場に進出する際の障壁を軽減し、日本の商品を世界中の顧客に届ける役割を担っています。急速なインバウンド需要の回復や円安による価格競争力の向上、日本商品の品質への信頼度向上など、様々な要因が絡み合い、日本商品への需要が増加しています。
これを受け、ZenGroupでは海外ユーザーの購買データに基づいて、海外の消費者の購買行動やニーズを詳細に分析しています。
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概要
調査対象:2023年10月1日から2024年9月30日までの期間にZenGroupを通じて購入された商品データに基づく分析
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平均購入単価とドル円相場
円安が進行している場面では、平均購入単価が上昇する傾向が顕著です。例えば、2022年10月の147.01円や2024年6月の157.82円(※)など、円安が進行した月では平均購入単価が比較的高いレベルを維持しております。円安により、海外の消費者は日本の商品を経済的なお得感で購入する傾向が強まっていると考えられます。
(※)引用元:国際通貨基金(International Monetary Fund)
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平均購入単価の推移
2022年10月から2023年9月までの1年間において平均購入単価は7,053円でしたが、2023年10月から2024年9月の1年間では7,590円に到達しました。この増加率は約7.6%です。今後もこの成長が続くと見込まれ、とくに円安が続く場合にはさらに平均購入単価の上昇が期待されます。
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販売アイテムランキング
購入件数が最も多かったカテゴリーは「プラスチックフィギュア」で、次いで「トレーディングカード」、さらに「ぬいぐるみ」が続きます。日本のアニメや漫画、ゲームは世界的に高い人気があり、それに関連する商品(プラスチックフィギュア、トレーディングカード、ぬいぐるみなど)は多くのコレクターやファンからの需要が集中しています。
また、音楽関連商品である「CD」や「レコード」も世界中で人気が高く、音楽や映像が収録された物理メディアの需要が顕著であることがわかります。
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人気のフィギュアランキング
アメリカ市場においての人気フィギュアランキングでは、見事にポケモンが1位を獲得しています。続いて2位に多種多様なフィギュアの詰め合わせ、3位にはワンピースが名を連ねています。
加えて、ボカロ関連の初音ミクなどの商品も高い人気を見せており、アメリカ市場におけるボカロの存在感が浮き彫りになっています。
フランスでは、ドラゴンボールが最多人気を誇り、2位にはワンピース、3位にはフィギュアの詰め合わせが登場しています。また、鬼滅の刃や僕のヒーローアカデミアといった新しいアニメシリーズへの関心も高まっています。
メキシコではドラゴンボールが1位、ポケモンが2位、聖闘士星矢が3位となっています。この国でも懐かしいアニメキャラクターへの人気が顕著です。
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中古品と新品の割合
2021年10月から2022年9月の期間中、中古品の割合は64.8%に達しましたが、次の期間(2022年10月~2023年9月)で73.9%に増加し、さらに2023年10月から2024年9月には74.6%となり、3期連続で中古品の出荷割合が着実に増加していることが示されています。
近年では、発展途上国でも経済成長に伴って生活水準が向上し、持続可能な形での生活が重要視されるようになっています。とりわけリサイクルやリユースは資源の効率的な利用と環境負荷の軽減に寄与するため、ますます重要視されているようです。この状況の中で、日本の中古品が海外で人気を集めるケースが増加しています。
日本は物を大切にする文化が根付いており、日本の中古品はたとえ何年も使用された後でも、コンディションが極めて良好なものが多いです。このように「ユーズドインジャパン」として知られる日本人によって使用された商品は、高い品質と安心感から好まれる傾向にあります。
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出荷国ランキング
発送件数のデータを観察すると、最も多いのは「アメリカ」で、次いで「メキシコ」、そして「ウクライナ」となっています。
日本商品に対する海外の需要はますます高まっており、2024年9月末時点で、出荷実績が175の国と地域にわたります。
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ユーザー数と登録ユーザーの分布
2023年10月から2024年9月にかけて、新たに登録されたユーザー数は46万人を超えました。
この新規登録ユーザーにおいては、アメリカ合衆国の割合が11.1%と最も高く、その後にメキシコ、ポーランドが続いています。
新規登録ユーザーの上位10カ国には北米、南米、アジア(タイや台湾、インドネシアなど)、中東(サウジアラビアやエジプトなど)、さらにはヨーロッパの国々(ポーランドやトルコなど)が含まれており、日本の商品は多様な地域や文化、経済において魅力を持っていることが示されています。
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急成長する言語
同社では19言語を展開しており、中でもスペイン語圏市場の著しい成長が見られます。これは日本製品の人気が非常に高まっていることの表れといえます。
メキシコ、ペルー、スペインなどのスペイン語圏各国において全て出荷量が前期と比較して増加しており、特にペルーの増加率が最も高いため注目されています。
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海外決済動向
決済方法のシェアにおいては、Stripeが59.8%を占め、次いでPayPalが24.7%という結果になりました。
Wiseや暗号通貨であるCoinGateなども多くのシェアを獲得しており、特にドイツでは約31%がWiseを利用しております。
さらに、5月に導入したTazaPay(※)により、タイ語バージョンの売上が伸びています。
(※)TazaPayは、多様な決済方法を提供する決済処理システムで、タイを中心に東南アジア地域で展開されているデジタル決済サービス「TrueMoney」やQRコードでの送金サービス「PromptPay」、モバイルバンキングなども含まれています。
タイではクレジットカードの普及は徐々に進んでいるものの、現金や銀行振込、モバイル決済が主流となっており、クレジットカードが十分に普及していない国も多いですが、これらの課題が解決されることで新たな市場が開ける期待が高まっています。
出典元: ZenGroup株式会社