株式会社博報堂(本社:東京都港区、代表取締役社長:水島正幸)のシンクタンク博報堂買物研究所(以下、買物研究所)は、2003年に設立以来、長年にわたり生活者の消費実態・トレンドを研究しております。2022年4月から、株式会社博報堂をはじめとするグループ9社横断の戦略組織「ショッパーマーケティング・イニシアティブ®(※1)」の傘下に入り、新しい体制を構築し、デジノグラフィ(※2)を活用した分析により、令和時代の知られざる買物行動を明らかにする研究を行っています。

今回は楽天グループ株式会社(以下、楽天)と共同研究を実施し、研究発表の第一弾として、ビッグデータに埋もれているECモールでの買物行動を明らかにする分析を行いました。活用したデータは、楽天のECモール 楽天市場(以下、楽天市場)の購入データです。

 今回の分析では、 ECモールではでシームレスな買物ができるため、新しい購買行動が発見できるのではないかと考え、楽天市場のメンズとレディースの商品618ジャンルに着目しました。

 研究の中で、メンズとレディースの同一ジャンルの商品が同日に買われることを「ペア購買」、さらにペア購買の中でもブランドやデザインがお揃いの商品が買われることを「ペアルック購入」と名付け、分析しています。分析結果のポイントを以下、ご紹介いたします。

<分析結果のポイント>
1.「ペア購買」が高かった商品ジャンルは“おうち”と“足元”

・楽天市場でペア購買が起こりやすいジャンルを分析すると、1位「ナイトウェア・ルームウェア」2位「靴下・レッグウェア」3位「スニーカー」という結果に。“おうちペア”や “足元ペア”の周りから気づかれにくい商品が上位にランクイン。

2. 「ペア購買層」はミドル(40代)層が中心
・ペア購買の起こりやすい「ナイトウェア・ルームウェア」「靴下・レッグウェア」「スニーカー」の3ジャンルの購入者の年代を、楽天全体のユーザーの年代と比較したところ、3ジャンルすべてで、40代が6%~11%高い結果に。

3. 「ペア購買」の約半数はブランドやデザインがお揃いの「ペアルック購入」
・ペア購買の起こりやすい3ジャンル「ナイトウェア・ルームウェア」「靴下・レッグウェア」「スニーカー」において、“ペアルック購入”されているのは約50%。

4. おうちペアは“良いもの”を、足元ペアは“お得感”重視
・ペア購買の起こりやすい3ジャンルの平均購入単価について調べたところ、「ナイトウェア・ルームウェア」はペア購買することによって、楽天全体の平均と比較してメンズ・レディースともに高単価に。一方で、「靴下・レッグウェア」低単価の結果となりました。
おうちペアはお揃いにすることで品質の良いものを購入する傾向、足元ペアはお得感を重視する傾向があることが明らかになりました。

■分析概要
【ペア購買について】
ペア購買の定義:メンズとレディースの同一ジャンルの商品を同日、同一ユーザーの購入
期間:2021/01/01-2021/12/31    2022年5月データ分析実施
対象:20代~70代の全楽天市場アクティブユーザーから個人データが特定できない形で1万人をランダムサンプルで抽出
分析方法:1万ユーザーの年間購入データから、商品ジャンルのペア購入の起こりやすさを算出
ペア購買の起こりやすい商品ジャンルの算出方法:Lift = (X&Y/N)/(X/N * Y/N)
あるG3_XとG3_Yの同時発生(購買)確率 ÷ G3_XとG3_Yの発生(購買)確率の積。
G3=楽天のアイテムジャンル第三階層で今回の場合はメンズ/レディースを活用/N=ユーザー数
【ペア購買者の分析】
対象ジャンル:「ナイトウェア・ルームウェア」「靴下・レッグウェア」「スニーカー」
【ペルソナ分析】
対象ジャンル:2021年内に「ナイトウェア・ルームウェア」「靴下・レッグウェア」「スニーカー」のうち1つでもペア購買したことがある20代~70代のユーザーからランダムサンプリングされた10万人
楽天全体: 2021年内に一度でも購入があったユーザーから、ランダムサンプリングされた10万人
【ペアルック購入】
メンズとレディースの見た目のペア度(ブランドやデザインがお揃い)
2021年内に対象ペアでクロスバイした全てのユーザーを対象とした中から、
ナイトウェア、靴下・レッグウェア、スニーカーのペア購買アイテムトップ50の商品名から判断して、ペア(ブランドやデザインがお揃い)、クーポン・ポイント、季節性、ギフトを集計
【平均単価】
2021年内に対象ジャンルを購入した全てのユーザーの購入単価の平均

1.「ペア購買」が高かった商品ジャンルは“おうち”と“足元”
・ 楽天市場で2021年1~12月に取引された、メンズとレディースに分かれている618ジャンルにおいて、(ジャンルには、「ファッション」「インナー・下着・ナイトウェア」「ジュエリー・アクセサリー」「バッグ・小物・ブランド雑貨」「靴」「腕時計」などの領域のものが含まれています。)メンズとレディースの同一ジャンルの商品が同日に買われたペア購買が起こりやすいジャンルのランキングを算出しました。
・結果は、以下の通りで 1位「ナイトウェア・ルームウェア」2位「靴下・レッグウェア」3位「スニーカー」4位「Tシャツ・カットソー」5位「インナー・下着」というランキングに。
・周りから見てわかりやすい「Tシャツ・カットソー」よりも、 “おうちペア”や “足元ペア”の周りから気づかれにくい商品が上位にランクインしました。

「ペア購買」の起こりやすい商品ジャンル ランキング
1位 ナイトウェア・ルームウェア 61.3 
2位 靴下・レッグウェア 10.9 
3位 スニーカー 8.5 
4位 Tシャツ・カットソー 3.2
5位 インナー・下着 2.5
(単位:lift値)

起こりやすさの算出方法:lift値 = (X&Y/N)/(X/N * Y/N)
あるG3_XとG3_Yの同時発生(購買)確率 ÷ G3_XとG3_Yの発生(購買)確率の積。
G3=楽天のアイテムジャンル第三階層で今回の場合はメンズ/レディースを活用/N=ユーザー数
数値が高いほど相関性が高く、ペア購買が起こりやすい

2. 「ペア購買層」はミドル(40代)層が中心
・ ペア購買の起こりやすい「ナイトウェア・ルームウェア」「靴下・レッグウェア」「スニーカー」の3ジャンルの購入者の年代を、楽天全体のユーザーの年代と比較して特徴的なペルソナを検証したところ、3ジャンルすべてで、40代が6%~11%高いということが明らかになりました。
・その次のボリュームゾーンは30代。特に「スニーカー」は高く、30~40代のファミリー層が家族の必要なものをまとめ買いしている可能性が考えられます。逆に、20代が低くなっているのは、独身の比率が高いためだと考えられます。
・性別では、 3ジャンルすべてで、女性のほうが高くなっています。

3. 「ペア購買」の約半数はブランドやデザインがお揃いの「ペアルック購入」
・ペア購買の起こりやすい3ジャンルにおいて、ブランドやデザインなど見た目がお揃いの“ペアルック購入”について調べると、 「ナイトウェア・ルームウェア」は43%、「靴下・レッグウェア」は47%、「スニーカー」は54%と約50%がペアルック購入しています。
・“おうちペア”や “足元ペア”の周りから気づかれにくいジャンルで“隠れペアルック”が行われている実態が明らかになりました。

4. おうちペアは“良いもの”を、足元ペアは“お得感”重視
「ナイトウェア・ルームウェア」の平均購入単価は、ペア購買することによって、楽天全体の平均と比較してメンズ・レディースともに高単価に。またギフト向け商品の購入も多く、お揃いにすることで品質の良いものを購入する傾向にあることが分かりました。
「靴下・レッグウェア」はメンズ・レディースともに平均購入単価は減少しました。ペア購買商品の特徴(※3)からもわかるように、クーポンやポイントを積極的に活用しお得感を重視していることが分かりました。
・「スニーカー」は特にメンズの平均購入単価が安くなっており、ペアで購入する際は、個人消費とは違い相手に合わせている可能性が考えられます。

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