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広告なのに、最後まで見てもらえる。ショートドラマがひらく新しいブランド発信

広告なのに、最後まで見てもらえる。ショートドラマがひらく新しいブランド発信

コマースピック読者の皆様、こんにちは。株式会社リスポの黍田です。

今回は、いま映像とマーケティングの世界で急速に存在感を増している、縦型のショートドラマについてお話しさせていただきます。数十秒から数分の短い物語を、スマートフォンの縦画面で連続して届ける。この新しいコンテンツのかたちが、企業のブランド発信のやり方を大きく変えようとしています。

広告は飛ばされる。動画も冒頭で離脱される。これまでの連載でも、そうした前提のもとで、いかに見てもらうかを考えてきました。ところがショートドラマは、広告でありながら、続きが気になって最後まで見てもらえる。しかもシリーズとして、何話にもわたって視聴者との関係を育てられます。

本記事では、なぜいまショートドラマが注目されているのかをデータで確認したうえで、実際に成果を上げている企業の事例、広告としての強み、制作にともなう現実的な課題、そしてその課題をAIがどう解いていくのかを、定性・定量の両面でお伝えできればと思います。

この記事の執筆者

黍田 龍平
株式会社リスポ

2001年生まれ、鹿児島県出身。高校時代に教育系の学生団体を立ち上げ、大学入学前に海外へ。帰国後はスタートアップでデザイナー・BizDev職を担い、グラフィックデザインからWeb・UI/UXまで幅広く手がけながら、クライアント開拓営業やマーケティングにも従事。その後、2つの事業を立ち上げ、大学在学中の2021年5月に株式会社リスポを創業。 これまでのデザイン経験を基に、動画生成AIとLLMを統合した独自のクリエイティブエンジンと制作ワークフローを開発し、AIクリエイティブプラットフォーム「UGC Maker」をローンチ。

AIクリエイティブプラットフォーム「UGC Maker」
https://service.ugcmaker.jp

なぜいま、ショートドラマなのか

背景にあるのは、映像を見る場所が、テレビからスマートフォンへと大きく移ったことです。とりわけ若年層のテレビ離れは加速し、物語コンテンツの受け皿として、縦型のショートドラマが一気に広がりました。中国では「微短劇」と呼ばれる縦型ショートドラマがすでに巨大産業へと成長しており、日本もその数年遅れの流れをたどっています。

市場の数字が、勢いを物語っています。市場調査によれば、日本のショートドラマ市場は2026年に約1,530億円規模に達すると予測されています。これは、日本の年間映画興行収入のおよそ6割から7割に相当する水準で、ショートドラマがすでに映像産業の主要な一角になりつつあることを示しています。世界に目を向けても、市場は2023年の約55億ドルから2029年には566億ドル、日本円で約8兆7,000億円へと、数年で約10倍に伸びる見通しです。

【図1】日本のショートドラマ市場規模の予測と映画興行収入の比較
出典:YH Research/CREAVE、日本映画製作者連盟(2024年統計)をもとに作成

この成長を、企業の側から後押ししているのが動画広告市場の拡大です。サイバーエージェントとデジタルインファクトの調査では、2025年の国内動画広告市場は前年比22%増の8,855億円に達し、2026年には初めて1兆円を突破する見込みとされています。縦型動画が広告費全体のなかで存在感を増すなかで、物語で最後まで見せられるショートドラマは、企業タイアップの新しい選択肢として注目を集めているのです。

すでに大手企業が動いている

この流れは、机上の話ではありません。TikTokで「ショートドラマ」を付けて投稿された動画の総再生回数は2024年6月時点で727億回を超え、同年のTikTok上半期トレンド大賞でも「ショートドラマ」が大賞を獲得しました。そして、NTTドコモやヤンマーをはじめ、さまざまな企業がすでに活用に乗り出しています。代表的な事例を2つご紹介します。

ひとつ目が、NTTドコモのショートドラマシリーズ「ドコモ×青春」です。青春をテーマにした縦型の連載ドラマをTikTokで展開し、公式アカウントはフォロワー38万人超、いいねの累計は1,700万を超えるまでに育ちました。なかには1本で900万回以上再生された作品もあります。成果として注目すべきは再生数だけではありません。Z世代の2人に1人が同社のTikTok公式アカウントを認知し、ブランド好意度の上昇にも貢献したと報告されています。通信サービスの機能や料金を語るのではなく、青春の物語を届けることで、若年層のなかにブランドの居場所をつくった事例です。

ふたつ目が、産業機械メーカーのヤンマーホールディングスです。BtoB企業がショートドラマで成果を出した例として、しばしば取り上げられます。同社は2023年7月にTikTok公式アカウントを開設し、2024年4月に農業を題材とした前後編の縦型ショートドラマ「土の香り」を配信しました。かつて「ヤン坊マー坊天気予報」で広く知られた同社にとって、番組終了後に若年層との接点をどう作るかは長年の課題でした。その答えのひとつが、物語で農業の世界を見せるショートドラマだったわけです。BtoBだから、地味な業界だから届かない、という思い込みを覆す事例と言えます。

企業タイアップの作品が、どれだけ見られているのかを示す数字もあります。日本テレビが運営するショートドラマアカウントでは、企業やブランドとのタイアップ案件の平均再生回数が300万回を超えるとされ、先ほどのドコモのシリーズも平均200万再生を記録しています。広告でありながら、この規模で最後まで見てもらえるコンテンツは、そう多くありません。

【図2】企業タイアップのショートドラマの平均再生回数
出典:日経クロストレンド、MarkeZine 公表データをもとに作成

ショートドラマが持つ、広告としての強み

こうした成果の背景にあるのが、物語の力で「最後まで見てもらえる」という、ショートドラマならではの性質です。商品を説明する広告は数秒で飛ばされますが、続きが気になる物語は、視聴者が自ら見続けてくれます。その分、ブランドの世界観やメッセージを、時間をかけて深く届けられます。

届く量とコスト効率でも、優位が表れています。ある制作会社の事例では、1作品あたりの若年層への平均リーチが185万人にのぼり、地上波ドラマ1話(ゴールデン・プライム帯)の平均到達110.6万人を上回りました。しかも製作費はテレビCMのおよそ10分の1で、コスト効率にすればテレビの約17倍という結果も報告されています。短い時間で、より多くの若年層に、より安く届く構造が整いつつあるということです。

【図3】1作品あたりの若年層への平均リーチ
出典:CREAVE/MarkeZine 公表データをもとに作成。製作費はテレビCMの約10分の1、コスト効率は約17倍とされる

さらに、シリーズとして連続で発信できることも、単発のキャンペーン広告にはない強みです。1話で興味を引き、2話3話と続けるうちに、視聴者はキャラクターやブランドに愛着を持ちはじめます。ドコモの事例で認知だけでなく好意度まで動いたのは、まさにこの連続性があったからです。一度きりの情報伝達ではなく、視聴者と一緒に物語を育てていくこと自体が、ブランドの価値になっていく。企業の発信は、これからますますシリーズ型・連続ドラマ型へとシフトしていくと見ています。

それでも「作り続ける」のは、難しい

ここまで読むと、では自社でもショートドラマを、と思われるかもしれません。しかし、いざ作ろうとすると、そこには大きな壁が立ちはだかります。ショートドラマは参入障壁が低いぶん供給量が急増し、市場はすでに「量産フェーズ」へと移っています。1本作れば売れる時代は、すでに終わりつつあるのです。

まず、脚本の壁があります。冒頭の数秒で心をつかみ、毎話の最後を引きで締める。この構成は独特の技術を要し、書ける人材はかぎられています。次に、キャストと撮影の壁です。出演者を手配し、撮影し、編集する。この一連の工程には、相応の費用と時間がかかります。1本あたり数十万円規模になることも珍しくありません。

そして最大の壁が、量産と改善です。どの作品が伸びるかは、事前には読み切れません。だからこそ数多く出し、視聴データを分析し、脚本を書き直して、また作り直す。この高速なPDCAを回し続けられるかどうかが、成果を左右します。実際、今後は制作だけを行う会社よりも、制作と運用と分析を一体化した体制を持つ企業が優位に立つと見られています。良い物語を1本作る力だけでは、もはや足りないのです。

AIが、その壁を解く

この、脚本・撮影・量産という三つの壁を、いま大きく崩しはじめているのが生成AIです。連載の第6回でもお伝えしたとおり、AIはすでに広告制作の前提になりつつありますが、ショートドラマの領域でも、その効果はとりわけ大きく表れています。

脚本については、AIが構成案やセリフのたたき台を生成し、冒頭のフックから毎話の引きまでを含む骨組みを、短時間で用意できるようになりました。キャストと撮影については、AIキャストを使えば、出演者の手配も撮影も編集も必要ありません。画面のなかで人物が自然に演じ、話す映像を、机の上で作り出せます。その結果、1本あたりの制作コストは、従来の5分の1から10分の1にまで下がるとも予測されています。

コストとスピードが変われば、量産と改善のサイクルも一変します。数多くの作品を素早く生み出し、伸びたものを見極めて磨き込み、次に活かす。これまで一部の体力のある企業にしかできなかったデータドリブンな制作運用が、AIによって、より多くの事業者の手に届くようになります。ドコモやヤンマーのような大手企業の取り組みを、桁違いに小さな予算で試せるようになる。ショートドラマで成果を出す鍵が「作り続けられること」にあるのなら、AIはまさにその鍵を握っています。

もちろん、AIに任せれば売れる、という単純な話ではありません。誰の心を、どう動かしたいのか。その企画と、物語の芯を描く力は、これまで以上に人に求められます。AIが量とスピードを担うからこそ、何を伝えるかを決める人の役割は、むしろ重みを増していきます。

最後に

今回は、ショートドラマが広告としてなぜ強いのか、すでに成果を出している企業の事例、そして制作の壁をAIがどう解いていくのかについてお伝えしました。物語で最後まで見てもらい、シリーズで関係を育て、データで磨き続ける。この新しいブランド発信のかたちは、AIによって、いよいよ多くの企業にとって現実的な選択肢になりつつあります。

とはいえ、脚本づくりからAIによる映像化、そして連載としての運用までを自社だけで立ち上げるのは、簡単ではありません。可能性は感じていても、何から手をつければよいかわからないという事業者様も多いのが実情だと感じています。

弊社では、AIを活用したショートドラマの制作サービスを提供しています。撮影もキャスティングも不要なため、1本3万円から制作できます。ショートドラマ専用に構築したAIモデルが、テレビ局などで培われた脚本や演出のノウハウをもとに、構成案からカット割り、映像化までを支援します。

ショートドラマでブランドを発信してみたいけれど、制作の進め方に不安があるという方のお役に立てるかもしれません。導入のご相談からサポートまで対応しておりますので、お気軽にお問い合わせください。

AIクリエイティブプラットフォーム「UGC Maker」
https://service.ugcmaker.jp

参考・出典

※本記事の数値・事例は上記出典および各社の公開情報に基づいています。市場規模は調査会社による推計・予測値であり、前提により幅があります。事例の数値は各報道時点のものです。図はいずれも出典データをもとに作成しています。掲載にあたっては最新の一次情報をご確認ください。

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この記事を書いた人

黍田 龍平 / 株式会社リスポ
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