Shopify、2026年第1四半期決算:AI時代のコマース基盤へ、GMVは初の1,000億ドル超え

Shopifyは、2026年第1四半期決算を発表しました。GMV(流通総額)は初めて1,000億ドル(約15.6兆円)を突破し、売上高は前年同期比34%増となる31.7億ドル(約4,900億円)に達しています。

主力のマーチャントソリューション事業が引き続き成長を牽引する中、今回の決算ではAI関連の取り組みも大きく打ち出されました。Shopifyは、オンラインストア構築にとどまらず、POS、B2B、SNS、さらにはAIを活用した新たな販売チャネルまでを視野に入れた展開を進めています。

本記事では、2026年第1四半期決算から、Shopifyが進める“次のコマース”戦略を見ていきます。

GMVは初の1,000億ドル突破、マーチャントソリューション事業が成長を牽引

2026年第1四半期のGMV(流通総額)は1,007億ドルとなり、前年同期比35%増加しました。Shopifyの四半期GMVが1,000億ドルを超えるのは今回が初めてです。

売上高は31.7億ドルで、前年同期比34%増となりました。中でも、決済や配送、金融関連サービスなどを含むマーチャントソリューション事業は24.2億ドル(約3,700億円)となり、前年同期比39%増と全体成長を牽引しています。一方、Shopifyの月額利用系サービスを含むサブスクリプション事業は7.5億ドル(約1,160億円)で、前年同期比21%増でした。

また、決済サービス「Shopify Payments」のGMV浸透率は67%となりました。前年同期の64%から拡大しており、加盟店による決済機能の利用が進んでいることがうかがえます。

決算説明では、地域、加盟店規模、販売チャネルを問わず成長が継続していることも説明されました。Shopify のジェフ・ホフマイスターCFOは、「第1四半期だけで1,000億ドルを超えるGMVを記録した」とした上で、「このモデルの持続性によって、加盟店向け機能や社内開発基盤への投資を継続できる」とコメントしています。

AI活用による事業者支援を強化

今回の決算では、加盟店向けAI機能の利用拡大も強調されました。Shopifyは、AIを活用した事業者支援機能の強化を進めています。

AIアシスタント「Sidekick」の利用は拡大しており、週次アクティブショップ数は前年同期比で4倍に増加しました。Sidekickは、Shopify管理画面上でストア運営を支援するAI機能で、商品管理や分析、設定変更などを自然言語でサポートします。

また、テーマ編集機能の利用は前年同期比で1,000%増加しています。加えて、業務自動化機能「Shopify Flow」で第1四半期に作成されたフローのうち、約半数がSidekick経由で生成されたことも明らかにされました。

Shopifyは今回の決算で、「AI時代におけるコマース基盤」を繰り返し打ち出しています。ハーレー・フィンケルスタイン社長は「ShopifyはAI時代において優位性を持っている」とコメントしました。また、20年にわたるコマースデータや運営知見を背景に、AI関連機能の強化を進める考えを示しています。

AIチャネルが新たな販売接点に

Shopifyは今回の決算で、AIを活用した新たな販売チャネルへの対応も強調しました。

同社は、商品データ基盤「Shopify Catalog」において、10億点を超える商品情報を構造化していることを明らかにしています。このCatalogを通じて、AIエージェントやAI検索サービスが、リアルタイムの商品情報へアクセスできる仕組みを整備しています。

その中核となるのが、「UCP(Universal Commerce Protocol)」です。UCPは、AIエージェントが商品情報や在庫情報へアクセスし、購買体験を構築するためのプロトコルとして位置付けられています。Shopifyは、AIを活用した購買行動の拡大を見据え、AIチャネルへの対応を進めている形です。

また、Catalog経由のAI検索流入は、一般的なAI検索経由と比較して2倍高いコンバージョンを記録したことも紹介されました。

「AI Chats」も販売チャネルの1つとして位置付けられています。従来のオンラインストア、SNS、マーケットプレイスに加え、AIとの対話を起点とした購買導線が、新たな販売接点として想定されていることがうかがえます。

「Unified Commerce Hub」として複数チャネルを統合

Shopifyは今回の決算で、自社プラットフォームを「Unified Commerce Hub」と位置付けています。オンラインストアに加え、POS、B2B、SNS、マーケットプレイス、AIチャネルまでを単一基盤上で統合する構想です。

「Online Store」「Offline」「B2B」「Marketplaces」「Share Commerce」「AI Chats」など、多様な販売接点が1つのプラットフォーム上に並べられています。Shopifyは、販売チャネルが増加する中でも、「1つの在庫」「1つの顧客情報」で運営できる点を強みとして打ち出しているのです。

また、オンラインとオフラインを横断した販売基盤として、POS領域の拡大も継続。加えて、B2B機能についても成長領域として位置付けており、SMB(中小事業者)からエンタープライズ企業まで、対応範囲を広げています。

Shopifyは、「One platform, every surface(1つのプラットフォームであらゆる販売接点へ対応)」という表現を用いています。販売チャネルが多様化する中、複数ツールを組み合わせるのではなく、統合型プラットフォームとしての役割を強めていることがうかがえるでしょう。

加盟店基盤の拡大と長期利用が成長を支える

Shopifyは、加盟店基盤の積み上がりによって成長が継続する「コホート型モデル」も強調しました。

2015年第1四半期に加盟したマーチャント群の売上が、2026年第1四半期までの直近4四半期で、加盟後最初の4四半期と比べて3.1倍に成長していることが示されています。2015年以降の各コホートでも同様の傾向が続いており、加盟店が長期的に利用領域を広げていることがうかがえます。

Shopifyは、「加盟店が増えるだけでなく、既存加盟店がより深く利用することで成長するモデル」と説明。オンラインストア構築に加え、決済、POS、B2B、広告連携、アプリなど、利用機能が広がることで売上が積み上がる構造です。

また、「SMB」「North America」「DTC」「Online」といった既存領域に加え、「Enterprise」「International」「B2B」「Offline」などを今後の成長領域として挙げています。

加えて、「700以上の新機能を過去24か月で追加した」と説明しており、継続的な機能拡張によって加盟店基盤の拡大と利用継続を促進していることを示しました。

Shopifyが描く「次のコマース」の方向性

今回の決算では、Shopifyが「オンラインストア構築ツール」から、「コマース全体の基盤」へと位置付けを広げていることが改めて示されました。

特にAI関連の取り組みは、加盟店向け運営支援だけでなく、購買行動そのものの変化を見据えたものとなっています。Shopifyは、AIエージェントやAI検索を新たな販売チャネルとして捉えており、商品データ基盤「Shopify Catalog」や「UCP」を通じて、AI時代に対応したコマースインフラの構築を進めています。

また、オンラインストア、POS、B2B、SNS、マーケットプレイスなどを単一基盤で統合する「Unified Commerce」の考え方も継続して打ち出されました。販売チャネルが増加する中、在庫や顧客情報を一元管理できる点を強みとして訴求しています。

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