
TOPPANグループの株式会社ONE COMPATHは、株式会社PLANTと協力し、生成AIを利用して電子チラシサービス「Shufoo!」および店頭デジタルサイネージ向けの販促クリエイティブを自動生成・配信する実証実験を実施しました。この実験はPLANT川北店(石川県)で行われ、クリエイティブ制作業務の効率化に加えて、一部コンテンツにおいて通常のチラシと比較して若年層の閲覧数が増加する傾向が見られたことが報告されています。
この記事の目次
実証実験の背景と課題

昨今の小売業界では、原材料価格の上昇や人手不足といった構造的な課題に直面しており、さらにデジタル施策の高度化・複雑化が進行しています。こうした環境下で、販促活動においても従来以上の効率性と成果が必要とされているのが現状です。販促の現場では、限られた人員で、チラシをはじめアプリ、SNS、店頭サイネージといった複数メディアを横断的に運用しなければならず、各媒体の特性に合わせたクリエイティブ制作やツール対応が大きな業務負担となっています。
こうした課題を解決するため、同社では「Shufoo!」が保有する膨大な生活者データとAI技術を組み合わせ、販促業務の効率化と効果の最大化に向けた取り組みを進めています。今回の実証実験では、特に工数がかかるクリエイティブ制作プロセスに着目し、生成AIを用いた制作自動化を実現するβ版ツールの検証が行われました。
販促クリエイティブ自動生成ツール(β版)の概要

このツールは、Shufoo!AIのオプション機能として開発されたもので、商品情報を登録してテンプレートを選択するだけで、簡単かつ自動的に販促クリエイティブを生成できる仕組みとなっています。テーマ設定や商品配置についてもAIが判断を行います。AIによる出力後は、編集機能を使って内容の修正や追記を行うことも可能です。定期的に配信されるチラシとは別に、工数をかけることなくコンテンツを配信することで、情報の隙間を埋め、来店促進に貢献することを目指しています。
実証実験の詳細内容
今回の実証実験では、同社が開発した「販促クリエイティブ自動生成ツール(β版)」を用いて、PLANT川北店において実際の販促業務への導入検証が実施されました。単なる機能検証にとどまらず、小売業が直面している複数の課題解決を目標としています。

販促用クリエイティブ制作の完全自動化への挑戦
デザインスキルや専門知識を持たない担当者でも、商品情報を入力するだけで、スマートフォン(Shufoo!)や店頭サイネージそれぞれに最適化された視認性の高いクリエイティブを生成できる環境を目指しました。店舗ごとに人気商品やおすすめ商品の情報をあらかじめ登録しておけば、コンテンツのテンプレートを選ぶだけで10分から15分程度でチラシの生成が可能になります。
デジタルチラシ掲載による来店効果の最大化
PLANT川北店では、特売日などのレギュラーチラシに加えて、特定の商品や施策に絞ったデジタル専用チラシの制作・展開が、販促効果を向上させるための重要な施策として検討されていました。しかしながら、制作リソースや予算配分の問題から、レギュラーチラシと並行して個別のデジタルチラシを制作することが困難な状況でした。
この課題に対して、Shufoo!AIが提供する「チラシ生成AI」を活用した新しい制作フローが導入されました。レギュラーチラシの既存コンテンツをAIで効率的に再構成し、デジタル専用チラシとして情報を公開する体制が構築されました。これにより、制作工数を抑えながら、レギュラーチラシの公開間隔に新しい情報を挟み込むことができ、顧客向けの情報発信数を増やすことに成功しました。
この施策の結果、複数のチラシを同時に掲載することでユーザーとの接点が拡大し、チラシ閲覧数の平均は1.3倍に増加しました。それに伴って、チラシ閲覧後の来店回数の平均は1.8倍と大幅な増加を記録しました。特に追加したデジタルチラシの一部では、レギュラーチラシと比較して20代から30代の閲覧数が多いものもあり、全年齢層の閲覧数向上に加えて、若年層との接点増加の可能性が見出されています。
今後は、デジタルチラシを活用して施策と施策の隙間を埋める打ち手を追加するだけでなく、店舗、商品、施策ごとの販促目的に応じたデジタルコンテンツの作成を簡単に実現できるようになりました。
また、他店舗との比較では、Shufoo!AIで生成したデジタルチラシに掲載した商品のPI値が高く推移した結果も確認されており、今後の活用に対する期待が高まっています。なお、PI値とは(購買個数÷顧客数)×1000で算出される指標で、購買意欲や関心度を測る重要な指標とされています。数値が高いほどニーズが高い傾向にあります。

実証実験の実施概要
実施店舗はSUPER CENTER PLANT川北店(石川県能美郡川北町)です。検証内容としては、店舗担当者が訴求したい商品情報とテンプレートを選択するだけで、生成AIがキャッチコピーの作成、レイアウト調整、画像生成までを自動で実施する仕組みが採用されました。生成されたクリエイティブは、電子チラシ「Shufoo!」および店頭デジタルサイネージへ即時配信されました。実施期間は2025年7月5日から2025年9月27日までとなっています。
実証実験による導入効果
実証実験の結果、最小限のリソースで「レギュラーチラシ以外」の集客施策を展開することが可能となり、未実施期間と比較して20代から30代の閲覧数が多いという傾向が確認されました。
株式会社PLANTの担当者コメント
営業サポート本部 マーケティング部 部長 古宿様
「折込チラシをデジタル配信用やサイネージ、その他複数メディアへ展開することは常に課題として挙がっていました。それぞれのメディアに合わせた専用画像の作成にかかる社内リソースの確保が難しく、これまで実施を断念していました。今回、Shufoo!AIによって社内の工数削減が可能になれば、メディア活用の幅を広げることができます。また、将来的にはメーカー広告の掲載やリテールメディアとしての活用など、サイネージ利用による販促をさらに拡大していくことが可能になると考えています」と述べています。
営業サポート本部 マーケティング部 マネージャー 西岡様
「Shufoo!AIなら画像作成ソフトや専門的な技術を必要とせず、誰でも作業が可能で、大幅な作業時間短縮が見込めるのではないかと考え、POCに参加させていただきました。POCを進める中で改善要望も柔軟に反映していただき、理想の形に近づいていると感じています。今後はさらなる作業効率化に加え、AIならではの『売れる商品の選定』や『チラシタイトル決定』などの機能開発にも期待しています」とコメントしています。
今後の展開について
同社は、今回の実証実験で得られた知見をもとに、より汎用的に利用可能なツールの開発を進めていきます。将来的には、同社が提供する「Shufoo! AI」の分析データ(閲覧数や来店等の反響データ)と連携させることで、コンテンツ画像を作るだけでなく、データに基づいた「生活者に響く(効果の高い)」クリエイティブを自動生成する機能の実装を目指しています。同社は今後も、AI技術を積極的に活用し、流通小売業界のDXと販促効果の最大化を支援していく方針です。
Shufoo!について
月間1,600万人(2026年12月現在、提供ASP上のアクセスを含む)が利用し、全国12万店以上が参加している国内最大級の電子チラシサービスです。日本全国のスーパーやホームセンター、家電店、ドラッグストア等のチラシを無料で閲覧できるほか、お店のおすすめ商品、タイムセール、バーゲン情報、クーポンや割引デーの情報、レシピ検索など、毎日の買い物を便利でお得にする情報が満載です。スマートフォンアプリのほか、PCやタブレットなど様々な端末で利用可能です。2001年8月よりTOPPAN株式会社が運営を開始し、2019年4月1日よりTOPPANグループの株式会社ONE COMPATHが運営しています。
株式会社ONE COMPATHについて
所在地は東京都港区芝浦3-19-26 TOPPAN芝浦ビルで、1997年1月20日に設立されました。資本金は100百万円、代表者は代表取締役社長CEO 早川礼氏、従業員は130名(2026年4月1日時点)です。主なサービスとして、地図検索サービス「Mapion」、電子チラシサービス「Shufoo!」、ウォーキングアプリ「aruku&(あるくと)」などを提供しています。
出典元:株式会社ONE COMPATH













