BCGとVestiaire Collective、中古ファッション市場調査を発表 Z世代の所有品の3割超が中古品

経営コンサルティング企業のボストン コンサルティング グループ(BCG)は、世界的な中古ファッション・高級品販売プラットフォームのVestiaire Collectiveと共同で実施した調査レポート「Resale's Next Chapter: How Fashion and Luxury Brands Can Win in the Secondhand Market」を公開しました。本調査は、Vestiaire Collectiveの利用者7,800人を対象に実施され、中古市場における消費者の購買行動の実態が明らかになっています。

中古品がファッション・高級品売上の約8%に到達

調査結果によると、ファッション・高級品における中古市場の規模は、2022年の約1,300億ドルから2025年には約2,100億~2,200億ドルへと成長する見込みとなっています。この期間における年平均成長率(CAGR)は15~20%と推定されています。現在、ファッション・高級品の総売上において中古品が占める割合は約8%となっており、特に循環型経済を推進する規制が強化されている欧州を中心として拡大を続けています。今後5年間においては、新品市場の3倍に相当する10%前後のCAGRで成長が継続する見通しとなっており、2030年には市場規模が約3,200億〜3,600億ドルに達すると予測されています。

中古ファッション・高級品市場の成長予測

中古ファッション・高級品を購入する理由として最も多く挙げられたのは「手頃な価格」であり、調査回答者の約8割がこれを主な理由として挙げています。その他にも、豊富な品揃えとユニークさ(55%)や環境への配慮(40%)などが購入を促進する要因となっています。一方で、中古品を売却する主な理由としては、「クローゼットの整理」と「副収入を得るため」が多数を占めました。副収入については、別の中古品を購入するため(44%)、新品を購入するため(18%)など、次の買い物の資金源とする動きが見られています。

Z世代が中古市場を牽引、所有アイテムの3割超が中古品

世代別の分析では、Z世代の回答者において所有アイテムの3割超を中古品が占めており、市場成長の牽引役となっていることが明らかになりました。Z世代においても購入の主な動機は「手頃な価格」(74%)である一方、他の世代と比較すると、限定品や完売品といった掘り出し物を発見する楽しさや、自分らしいスタイルを構築する喜びから中古品を購入する傾向が強いことが判明しました。さらに、Z世代の回答者の約80%が「中古品を通じて新しいブランドを購入した・知った」と回答しており、これは全体平均の66%を大きく上回っています。このデータから、中古品は特にZ世代にとって新たなブランドとの出会いの入り口として機能していることが分かります。

世代別の中古品所有率

デジタル製品パスポート(DPP)への注目が高まる

ファッション・高級品業界は、これまで自社のECサイトや実店舗を通じた中古品販売、あるいは中古品販売プラットフォームとの提携など、戦略的な再販モデルによって循環型経済への基盤構築を進めてきました。しかしながら、販売後の体系的なデータが存在しないことが、中古品販売における課題となっています。こうした状況において、製品情報をライフサイクルの全段階で記録・管理する「デジタル製品パスポート(DPP)」が重要な仕組みとして注目を集めています。

調査回答者の過半数は、商品の正規品であることを証明する仕組みや、素材・仕様などの詳細な商品情報を把握できることに価値を感じており、DPPは循環型経済の促進だけでなく、信頼性向上の観点からも強力なツールとなる可能性があります。しかしながら、DPPの認知度は依然として低く、調査回答者の65%が「聞いたことがない」と回答し、さらに15%は「名称は知っているが理解していない」と回答しています。

BCGデュッセルドルフ・オフィスのマネージング・ディレクター & パートナーで、本レポートの共著者であるCatharina Martinez-Pardo氏は次のようにコメントしています。「DPPは規制への対応として必須の事項にとどまらず、顧客との信頼関係を構築するための戦略的なツールへと進化しています。DPPは消費者の購入時における手間や不安を軽減し、製品の真正性を保証するとともに、ブランドにとっては製品ライフサイクル全体において新たな価値を創出する機会を生み出します」

なお、デジタル製品パスポート(DPP)とは、製品情報をライフサイクルのあらゆる段階(製造、配送、使用、廃棄など)において、デジタル形式で記録・管理するシステムを指します。欧州を中心として導入が進められており、製品の情報や環境負荷を「見える化」することで透明性を確保し、消費者がより環境に配慮した選択をできるようにすることを目的としています。

調査概要

本調査は、Vestiaire Collectiveを利用する中古品売買に積極的な消費者を対象に実施されました。

  • 実施時期:2025年4月〜5月
  • 回答者数:7,800人

出典元:ボストン コンサルティング グループ

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