複数のAI検索エンジンが本格的に普及する中、Ahrefs Pte. Ltd.（エイチレフス）が各AI検索がどのようなドメインを引用しているのかについて、同社のAhrefs ブランドレーダーのデータ（2025年9月2日〜12月1日）をもとに自動車・IT・食品の3業界別に詳細な分析を行ったことが発表されました。
この調査では、3業界×3AI検索エンジンの組み合わせで、過去90日間の引用傾向が徹底的に分析されています。YouTubeがすべての業界で圧倒的な存在感を示す一方、ChatGPTはRedditを、AI OverviewsはGoo-netなど日本の専門メディアを重視するなど、AI検索ごとに明確な引用傾向の違いが明らかになっています。これらの結果から、2026年に向けたマルチプラットフォーム戦略の重要性が浮き彫りになっているとのことです。
この記事の目次
調査概要
- 調査期間: 2025年9月2日〜12月1日（90日間）
- データソース: Ahrefs ブランドレーダー
- 調査対象: 自動車・IT・食品の3業界×AI検索エンジン3種（AI Overviews・AIモード・ChatGPT）
- 数値の意味: AI応答数（各ドメインがAI検索結果に引用された回数）
※ Ahrefs ブランドレーダーの仕様上、90日間のデータ保存期間があるため、同調査は過去90日間のデータに基づいているとのことです。
主要発見
YouTube圧倒的な引用数
全9パターン（3業界×3AI検索）のうち、YouTubeが8パターンでトップ3入りを果たしたことが報告されています。特にAIモードでは全業界で1位を獲得し、動画コンテンツがAI検索において極めて重要であることが明らかになりました。
AI検索エンジンごとに明確な引用傾向の違い
- AI Overviews：日本国内の専門メディアを重視
- 自動車: goo-net.com（9,276応答）
- IT: eikaiwa.weblio.jpなど英会話サービス4サイトがトップ10入り
- 食品: macaro-ni.jp（レシピメディア、3位）
- AIモード：グローバルプラットフォーム優位
- YouTube・Googleが全業界で1位・2位独占
- Wikipedia、Instagram、Amazonなどグローバルプラットフォームが上位
- ChatGPT：英語圏コンテンツと日本のブログプラットフォームのバランス
- IT業界: Redditが圧倒的1位（5,439応答）
- 食品業界: PR TIMESが1位（2,445応答）―プレスリリース経由の引用が多い
- note、amebloなど日本のブログプラットフォームもランクイン
業界ごとに異なる引用メディアの特徴
自動車業界
- AI Overviewsでは中古車情報サイト（goo-net、nextage）が強い影響力を持っていることがわかりました。
- 保険会社サイト（zurich.co.jp、sompo-direct.co.jp）もランクインしており、業界特性を反映していることが指摘されています。
- ChatGPTでは英語版Wikipediaがトップとなり、グローバルな情報源を重視する傾向が見られるとのことです。
IT業界
- AI Overviewsでは英会話サービス（weblio、DMM、nativecamp、rarejob）が4サイトもランクインしており、英語学習と技術習得の関連性が示されています。
- AIモードはYouTube・英語版Wikipediaがほぼ同数で1位・2位となっており、視覚的コンテンツと基礎知識の両方が重視されていることがわかります。
- ChatGPTではRedditが圧倒的1位となり、技術コミュニティの影響力の強さが明らかになったと報告されています。
食品業界
- レシピメディア（macaro-ni.jp）がAI Overviewsで3位にランクインし、実用的なコンテンツの重要性が示されています。
- AIモードではECサイト（Amazon、楽天）とInstagramが上位にランクインしており、商品情報とビジュアル表現の両方が重視されていることが明らかになりました。
- ふるさと納税サイト（furunavi.jp）がランクインしているのは12月の季節要因と考えられ、時期による検索傾向の変化も示されています。
- ChatGPTではPR TIMESが1位となり、公式発表情報を重視する傾向が見られるとのことです。
2026年のコンテンツ戦略への示唆
この調査から、企業のSEO・コンテンツ戦略においては、従来の検索エンジン最適化（SEO）に加えて、AI検索最適化という新しい視点が必要不可欠であることが明らかになったと報告されています。
重要なポイント
YouTube動画コンテンツは必須
すべてのAI検索で高評価を得ている動画コンテンツは、製品紹介、How-to、業界解説など多様な形式で継続的に発信することが重要だとされています。
マルチプラットフォーム戦略が重要
AI Overviews向けには自社サイトでの専門的・網羅的コンテンツを充実させ、AIモード向けにはYouTube動画の質と量を高め、ChatGPT向けにはnote、amebloでの情報発信やPR TIMESでのプレスリリースを積極的に活用するなど、各プラットフォームの特性を理解した戦略が必要だと指摘されています。
業界特性を理解する
自動車業界では専門メディア・比較サイトが強い影響力を持ち、IT業界では英会話・辞書・技術コミュニティが重要視され、食品業界ではビジュアル重視やECサイトとの連携が鍵となるなど、業界ごとの特性を踏まえたコンテンツ戦略が求められるとのことです。
グローバルとローカルのバランス
AIモードでは英語コンテンツが重視される一方、AI Overviewsでは日本語の専門コンテンツが重視されるため、ターゲット市場に応じた言語戦略が必要となることが報告されています。グローバル展開を目指す企業は両方の言語でのコンテンツ開発が求められるとしています。
調査総括
2025年はAI検索エンジンが本格的に普及し始めた「AI検索元年」だったとの見解が示されています。どのAI検索エンジンをターゲットにするかによって、最適な媒体やコンテンツ形式が大きく異なることが同調査で明らかになりました。2026年もAI検索の進化と普及は加速していくことが予想されるとのことです。企業はマルチプラットフォーム戦略を展開し、各AI検索エンジンの特性を理解した上で、コンテンツ制作と配信を行うことが成功の鍵となるだろうと報告されています。
詳細データの公開
同調査の詳細データとインタラクティブチャートは専用サイトで公開されているとのことです。業界とAI検索エンジンを自由に組み合わせて、トップ10の引用ドメインを確認することができます。
データ出典: Ahrefs ブランドレーダー
分析期間: 2025年9月2日〜12月1日（90日間）
Ahrefs Pte. Ltd.（エイチレフス）について
Ahrefs Pte. Ltd.は、世界トップレベルの規模を誇る独自クローラーとデータ技術により正確かつ鮮度の高いデータを収集・解析し、世界をリードするSEO分析機能を主軸とし、AI検索分析、AIコンテンツ作成、ウェブトラフィック分析、SNS投稿などマーケティング機能を網羅したオールインワン・マーケティングツール「Ahrefs（エイチレフス）」を開発・提供しています。
同社のツールは世界180カ国以上を超えるユーザーに利用されており、競合分析からコンテンツ戦略まで、データに基づいた効果的なマーケティング戦略の立案・実行を支援しているとのことです。開発者コミュニティとの協力により、Ahrefsデータのエコシステムをさらに拡大していく予定だと伝えられています。
会社名: Ahrefs Pte. Ltd.
本社所在地: 7 Straits View, #08-02, Singapore 018936
代表者: Dmitry Gerasimenko
出典元：Ahrefs Pte. Ltd. プレスリリース
