セブン-イレブン・ジャパンら3社、自動運転トラックによる長距離輸送実証開始バイオ燃料も活用

2025年12月2日 2025年12月2日

コマースピック編集部　プレス配信チーム

株式会社セブン-イレブン・ジャパン（東京都千代田区、代表取締役社長：阿久津知洋）、三井物産流通グループ株式会社（東京都港区、代表取締役社長：柴田幸介）および株式会社T2（東京都千代田区、代表取締役CEO：熊部雅友）の3社は共同で、コンビニエンスストア・スーパー業界では初となる自動運転トラックを活用した長距離輸送の実証実験を、関東-関西間の高速道路の一部区間において開始することが発表されました。

この実証実験では、地域で回収された使用済み食用油を原料としたバイオ燃料を店舗配送車に試験導入するセブン-イレブン・ジャパンの「サーキュラーエコノミー」の取り組みを拡大し、自動運転トラックの燃料として初めて活用されます。これにより、ドライバー不足対策と環境配慮の両面から持続可能な物流体制の構築可能性が検証されていきます。

この記事の目次

1 実証実験の背景
2 実証実験の概要
3 環境に配慮した取り組み
4 自動運転技術と環境配慮の融合
5 3社の役割分担
6 今後の展望
7 各社の概要

実証実験の背景

社会全体でドライバー不足が深刻化する中、高速道路を通じた長距離輸送において商品を安定的に供給する輸送力をどのように確保するかが大きな課題となっています。この課題に対応するため、3社は、セブン‐イレブンで販売されるプライベートブランド「セブンプレミアム」の商品を三井物産流通グループが輸送する際、2027年度にレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの開始を目指す株式会社T2の自動運転トラックを導入すべく検討を進めてきました。

その第一歩として、T2が本年7月より開始した商用運行で使用しているレベル2自動運転トラックを活用し、三井物産流通グループの埼玉県の物流拠点から兵庫県の拠点まで「セブンプレミアム」の商品を輸送する実証実験が実施されます。

実証実験の概要

期間	2025年12月1日から2026年4月までの計3回
区間	MRG埼玉第二センター（埼玉県新座市）からMRG関西センター（兵庫県尼崎市）までを結ぶ高速道路の一部区間（レベル2自動運転区間：東名高速道路・綾瀬スマートICー名神高速道路・尼崎IC）
役割	・SEJ：実証テーマの設定および対象商品の提供・MRG：物流拠点の提供、積込み・荷卸し、運行スケジュール管理、輸送前後のオペレーションを含む物流の統括・T2：自動運転トラックの提供、走行データの収集・分析、技術検証
積載物	「セブンプレミアム」の常温商品（傘、カップみそ汁、キッチンペーパー、ソフトパックティッシュなど）
検証内容	・自動運転トラックによる長距離走行の実現性・自動運転導入時の配送所要時間・自動運転を組み込んだ運行オペレーションの有効性

環境に配慮した取り組み

本実証実験ではさらに、地域の学校給食や一般家庭などから回収した使用済みの食用油を原料としたバイオ燃料を軽油に混合した「B5軽油」を店舗配送車に試験導入するセブン-イレブン・ジャパンの「サーキュラーエコノミー」の取り組みが拡大され、自動運転トラックの燃料として活用されます。

レベル4自動運転に向けてT2が設置を進めている「切替拠点」（高速道路での自動運転と一般道での有人運転を切り替えるためにドライバーがトラックに乗り降りする拠点）の敷地内にB5軽油などの給油スポットを設置しやすいという利点があります。また、長距離輸送で燃料を使用することでCO₂排出削減に一定の貢献が可能となるT2の自動運転トラックの特性を踏まえて、環境に配慮した輸送を実現できるかも3社で検証されていきます。

自動運転技術と環境配慮の融合

この実証実験は、物流業界が直面するドライバー不足という人的課題と、環境負荷低減という社会的課題の双方に対応する取り組みとなっています。自動運転技術の活用によって長距離輸送の効率化と安定化を図りながら、同時に使用済み食用油を原料としたバイオ燃料を活用することで、サーキュラーエコノミーの実現にも貢献します。

セブン-イレブン・ジャパンが推進する「サーキュラーエコノミー」の取り組みは、地域で回収した使用済み食用油を店舗配送車の燃料として再利用するという循環型の経済モデルを目指すものです。今回はその取り組みが拡大され、自動運転トラックの燃料としても活用されることで、より広範囲での環境配慮型物流の可能性が探られます。

自動運転トラックの活用は、ドライバー不足という社会課題に対する一つの解決策として期待されています。特に高速道路などの特定区間においてレベル2の自動運転を活用することで、ドライバーの負担軽減と安全性の向上が見込まれます。将来的にはレベル4の自動運転によって、さらなる効率化と安全性の向上が期待されています。

3社の役割分担

この実証実験では、3社がそれぞれの強みを活かした役割分担で協力します。セブン-イレブン・ジャパンは実証テーマの設定と対象商品の提供を担当し、三井物産流通グループは物流拠点の提供から運行スケジュール管理まで物流全体を統括します。そしてT2は自動運転トラックの提供と技術的な検証を担当します。

特に三井物産流通グループは、埼玉第二センターから関西センターまでの長距離輸送において、積込みや荷卸し、運行管理など物流オペレーション全体を担当します。また、T2は自動運転トラックの提供だけでなく、走行データの収集・分析を行い、技術的な課題や改善点を明らかにしていくとのことです。

今後の展望

3社は今回の実証実験を通じて、自動運転トラックによる長距離走行の実現性、導入時の配送所要時間、自動運転を組み込んだ運行オペレーションの有効性などを検証します。これらの検証結果をもとに、2027年度に予定されているレベル4自動運転トラックによる幹線輸送サービスの開始に向けた準備を進めていく予定とのことです。

また、環境面では、バイオ燃料の活用による CO₂ 排出削減効果や、給油スポットの設置など運用面での課題も検証されます。これにより、人手不足対策と環境配慮の両面から持続可能な物流体制の構築を目指しているとのことです。

この取り組みは、コンビニエンスストア・スーパー業界では初めてとなる自動運転トラックを用いた長距離輸送の実証であり、物流業界全体にとっても重要な先行事例となることが期待されています。