博報堂生活総研調査:2025年12月の消費意欲指数は52.9点、クリスマス・年末向け消費意欲上昇も物価高で前年比は低下

株式会社博報堂のシンクタンク博報堂生活総合研究所は、20~69歳の男女1,500名を対象とした「来月の消費意欲」に関する調査結果を「来月の消費予報」として発表しました。2025年12月の消費意欲指数は52.9点となり、前月比では+6.6ptと大きく上昇しましたが、前年比では-1.5ptと低下する結果となっています。

博報堂生活総合研究所では毎月、消費の先行きに関する調査として、対象者に「来月の消費意欲」を点数化してもらうなどの調査を実施しているとのことです。今回の調査は11月4日から7日にかけて行われました。

12月らしく消費意欲は前月から急上昇するも、物価高と節約意識が水を差す

クリスマスや年末年始を控える12月は、1年の中で消費意欲指数が最も高まる時期として知られています。2025年も前月比で6.6ポイントと大きく上昇し、今年の最高値を記録しました。しかしながら、前年同月比では1.5ポイント低下し、2012年の調査開始以来、12月としては最も低い数値となっているようです。

消費意欲指数の理由に関する自由回答を分析すると、前月と比較して、消費に対するポジティブな回答は349件から597件へと大幅に増加しています。一方、ネガティブな回答は862件から694件へと大きく減少したとのことです。

具体的にポジティブな回答としては、「クリスマス・年末年始があるから」という理由が14件から256件へ、「ボーナスが入る」という回答も9件から76件へと増加しました。反対にネガティブな回答では、「今後の出費予定のために我慢」という意見が144件から100件へと減少しています。

前年同月との比較では、ポジティブな回答数は2024年12月の588件から2025年12月の597件へとほぼ横ばいでした。しかし、ネガティブな回答は2024年12月の660件から2025年12月の694件へと増加しています。特にネガティブな理由として、「欲しいものがない・すでに買った」という回答が197件から234件へ、「今月までに多く使った反動で節約」という回答が26件から46件へと増えているとのことです。

また、「物価高・値上げ・円安」に関するネガティブ意見は、クリスマスや年末年始に向けた意欲の高まりで前月比では減少したものの(2025年11月179件→2025年12月91件)、前年同月比では横ばい(2024年12月95件→2025年12月91件)となっており、依然として高い水準にあることが分かります。

このように、ボーナスへの期待感やイベントの多い年末年始に向けて、12月らしく消費意欲は前月から高まっていますが、長期化する物価高や強まる節約意識の影響から、例年の12月ほどには消費意欲が高まらない状況が見受けられるようです。

消費意向は「食品」「外食」「ファッション」など幅広いカテゴリーで前月比増加

「特に買いたいモノ・利用したいサービスがある」と回答した人の割合は37.9%で、前月比では9.8ポイントと大幅に上昇し、消費意欲指数と同様に2025年の最高値を記録したとのことです。前年比ではわずか0.6ポイントの減少でほぼ横ばいの状態となっています。

16の異なるカテゴリー別に消費意向を分析すると、前月比では「食品」「外食」「ファッション」など、15カテゴリーで20件以上の増加が見られました。特に「食品」「外食」の2カテゴリーは100件以上の大幅増加となっています。前年比では「スマートフォン・携帯電話」「書籍・エンタメ」の2カテゴリーが20件以上増加しているようです。

これらの結果から、クリスマスや忘年会、お正月といった年末年始のイベントに向けて、前月よりも幅広いカテゴリーで消費意向が高まることが予測されます。

博報堂生活総合研究所の調査によると、この「来月の消費予報」は毎月定期的に実施されており、消費者の購買行動の変化を継続的に追跡しているとのことです。今回の調査結果は、季節的要因によるポジティブな消費マインドの高まりと、経済環境によるネガティブな要因が混在している状況を示しています。

消費者のポジティブな意見としては、クリスマスや年末年始といった季節イベントへの期待感、ボーナス支給による一時的な収入増加が大きな要因となっています。一方で、長引く物価高や為替の影響による生活防衛意識、すでに必要なものは購入済みという声も多く見られたようです。

特に注目すべき点として、2025年の12月は過去の調査結果と比較しても消費意欲が抑制されている傾向があります。これは、単に季節的な消費パターンだけでなく、経済全体の状況や消費者心理の変化を反映していると考えられます。

カテゴリー別の分析からは、イベント関連の消費が増加する傾向が見られますが、高額商品については慎重な姿勢も見受けられます。「食品」や「外食」といった比較的単価の低い項目で大幅な増加が見られる一方、耐久消費財などへの意欲はそれほど高まっていない傾向があるようです。

このような消費者心理の変化は、小売業やサービス業にとって年末商戦の戦略策定に重要な示唆を与えるものです。特に物価高が続く中での消費者の選択的消費傾向に注目し、価格だけでなく価値訴求が重要になることが予想されます。

また、「スマートフォン・携帯電話」「書籍・エンタメ」などのカテゴリーが前年比で増加していることから、デジタル関連の消費やエンターテイメント分野への関心が高まっていることがうかがえます。これは、消費の質的変化を示す興味深いデータと言えるでしょう。

博報堂生活総合研究所の調査は、単に数値としての消費意欲だけでなく、その背景にある消費者の意識や行動の変化を詳細に捉えることで、今後の消費トレンドを予測する上で貴重な情報源となっています。

出典元:株式会社博報堂 プレスリリース

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ