
「化粧品ビジネスを始めたい」。そんなとき、味方になってくれるのが「化粧品OEMメーカー」です。この記事では、貴社に代わって処方開発、製造までを一手に引き受けてくれる化粧品OEMの流れについて記載しています。
松崎 淳
株式会社天真堂 取締役
2014年に医薬部外品、化粧品、健康食品のOEMを展開する株式会社天真堂に営業としてジョイン。取締役となった現在も、EC通販をメインとする化粧品会社や、スタートアップおよび異業種から参入する企業に対し、商品企画、事業立ち上げ支援など、OEMの枠を超えたサポートを行っている。
開発から製造までのプロセス
開発から製造までは、大きく分けて以下の3つについて進めていくことになります。
- バルク(中身)の試作
- パッケージの選定およびデザイン
- 製造(パッケージ→バルクの順で行う)
こうして出来上がったバルクを容器に充填し、各種包装を行うことで完成し、晴れて貴社へと納品する流れとなります。

さらに細かく見ていくと、「商品の名称を決める」「商標を確認し、登録を行う」「バーコードを発行する」「問い合わせ用の電話番号を取得する」など、商品を構成する各要素を分解して備えておく必要があります。(特に商標などの知財関係は入念に調べておくことをおすすめします。)
また、商品を製造、販売した後も、試作時の品質をきちんと担保できるかという点において、「容器との相性」ならびに「時間の経過や環境(温度や湿度)による影響をどの程度受けるか」の確認も必要となります。
こうした専門的な試験や評価については、処方の特性、新規性、過去実績などによってOEM企業が決定、実施しますが、内容によっては数か月での確認が必要になることもあります。
どのタイミングで何が必要になるかは、処方や仕様により都度異なりますので、OEM企業と相談しながら進めると良いでしょう。
開発から製造までの期間
前述したプロセスを進めていくと、「6か月~8か月」で納品となるケースが多いようです。もちろん、試作の回数、試験内容やその期間によっては1年を超えることもあります。
どこまでこだわるのか、事業計画上のローンチ時期が決まっているのかなどによって期間の考え方は異なりますので、あくまでも目安として考えつつ、優先すべきが何であるかを事前にOEMケーカーへ伝えたうえで進行できるとスムーズです。

化粧品OEMを成功させるために
貴社にとって満足のいく商品を製造するために最も重視されるのは、多くの場合で試作品プロセスになることでしょう。
この試作品の精度を上げるためにも、貴社の考えを正しくOEMメーカーへ伝える必要があります。
しかしながら、化粧品は非常に抽象的な言葉が用いられる領域でもあります。「伸びが良い」「しっとりする」「べた付かない」など、これらのほとんどは抽象かつ主観であり、出し手、受け手の感覚に依存する可能性が高いワードです。
その結果、OEMメーカーとの齟齬が生まれ、試作品のFIXまでに想像以上の時間を要することになり、販売時期が大きく後ろにズレこんでしまうことがあります。
また、試作品を繰り返すうちに、依頼側(出し手)でさえ着地点を見失い、そもそもの目的がなんであったのか迷路に迷い込んでしまうことがあり、ここまで来るともはや理想を叶えることは難しいでしょう。(そもそも理想がなんであったかがわからなくなってしまっている状態。)
こうしたリスクを排除するためにも、「GOALを正しく伝える」ということが必要になるのです。一方で、初めて化粧品ビジネスに参入する企業において、「何を、どの粒度で、どう伝えれば良いのか」自体の難易度が高いことも事実です。

前述した使用感(プロダクト領域)だけでなく、伝えることで精度を高められる項目はたくさん存在します。
こうした点を前提に、貴社を理解し、並走してくれるパートナーに出会うことも、化粧品ビジネス成功の肝であると言えるのです。
試作品で迷走しないために
わたしも業界に入りたての頃は、お客様の要望をそのまま持ち帰り、GOALを見失ってしまうことがありました。
試作品(初回)提出→「もっと保湿感を高めてほしい」→開発へ伝達→試作品(二回目)提出→「ちょっとベタつきますね」といった具合です。
これでは、両社の時間を浪費するだけでなく、オーダーに従って改良を行った開発も混乱させ、全員で迷走する結果になってしまいます。
こうした状況を打開するためにも、「絶対評価」ではなく、「相対評価」を行うことを心がけています。
では、何を対象物として評価するのか。それが「参考品(ベンチマーク品)」です。すでに販売されている商品を比較対象として、試作品がどのレベルにあるのかを確認していきます。
その際に重要なのは「評価ポイントを細分化」することです。参考品であっても、「浸透感は参考にしてほしいが、今回のターゲット年齢を考えるともう少しこっくりしたテクスチャにしたい」と、全ての条件を満たしているわけではありません。
そのため、「浸透感の参考品」「テクスチャの参考品」「香りの参考品」など、叶えたい条件を細分化して参考品を選定することで、より精度が高まります。

しかしながら、これらを知識として理解していても、正確にオーダーするのは難しいものです。まずはコアとなる参考品が1~2点あれば、そこからのヒアリングを通じて「貴社がお作りになりたいもの」を具現化することは可能です。
そのため、前述した「貴社を理解し、並走してくれるパートナーに出会うこと」が、化粧品ビジネスを成功させるための重要ポイントだと言えるのです。
ぜひご相談ください
いかがだったでしょうか。
株式会社天真堂では、オリジナル化粧品を1,000個から製造可能です。(商品内容により異なります。)
また、メイク品を除き、スキンケア、ヘアケア、オーラルケアなど、多くのカテゴリにおいて開発実績がございます。
OEM経験はもちろんのこと、ご要望に応じてEC通販に精通した特別なスタッフが対応しております。本記事にある「試作品の要件定義」や、「ゼロからの化粧品事業立ち上げ」など、ぜひお気軽にご相談ください。
お問い合わせ先
https://www.tenshindo.ne.jp/contact
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