【調査結果】アパレル業界のアプリKPI指標:価格帯別ユーザー行動の特徴が明らかに - ヤプリが実態調査を実施

デジタルエクスペリエンスプラットフォーム「Yappli(ヤプリ)」を提供する株式会社ヤプリは、同社のプラットフォームを導入しているアパレル企業のアプリにおける各種KPI指標の調査結果を発表しました。この調査は、アパレル業界におけるアプリの真価を分析し、単なる購買チャネルを超えた可能性を明らかにしています。また、価格帯別に分類した詳細なユーザー行動データの分析も行われています。

調査の目的

近年、企業の公式アプリは特別なものではなく、顧客とのスタンダードな接点として定着しつつあります。アプリは単に「購買行動」を促すだけでなく、他チャネルにない自由なコミュニケーションの場として機能し、ブランドと顧客を長期的につなぐ「エンゲージメントチャネル」へと進化しています。

そのため、アプリの「成果」を測る際には、売上やコンバージョン(CV)だけでなく、継続的なコミュニケーションの構築状況や、そのつながりの強さをどのコストで維持できているかが重要な指標となっています。

本調査では、「Yappli」を活用しているアパレル企業のデータを定量的に分析し、長期的なユーザー関係構築における指標を明らかにしています。企業がアプリ運用におけるアプリの立ち位置とKPIを検討する際の参考資料として活用できるものとなっています。

調査結果

アプリコミュニケーションにおける各種KPI

アプリコミュニケーションにおける各種KPI
指標 平均値
年間平均起動回数 13.8回
1日平均滞在時間 4.0分
月間平均アクティブ率(MAU(※1)/累計DL) 17.9%
年間平均プッシュ通知開封数 13回
プッシュ通知1ユーザーへの平均配信金額 0.1円
年間平均CVR(CVユーザー/起動ユーザー) 3.5%
1度でもCVしたユーザーの年間平均CV回数 4.2回
1CV平均獲得費用 147円

(※1)MAU:「Monthly Active Users」の略で、月に最低一回はアプリを開いたユーザー数を指します。

本調査により、アプリを通じた長期的な顧客接点作りの目安となる指標が明らかになりました。アプリは約0.1円のプッシュ通知を含むコミュニケーションを通じて、月に1回以上の起動を促し、さらに起動すれば1日あたり4分の回遊を生み出していることが判明しました。これがリピーター創出(年間4.2回)につながっていると分析されています。

ブランド価格帯別のアプリユーザー行動特性

アパレル業界を「プチプラ」「ミドルプライス」「ハイブランド」の3つの価格帯に分類して分析したところ、価格帯によってアプリの利用傾向に明確な違いが見られました。

指標 プチプラ
(単価5,000円以下)
ミドルプライス
(単価5千円超〜2万円)
ハイブランド
(単価2万円超)
年間平均起動回数 13.9回 13.4回 15.2回
1日平均滞在時間 238秒 234秒 268秒
月間平均アクティブ率(MAU/累計DL) 20.3% 17.5% 14.9%
年間平均プッシュ通知開封数 3.5回 4.3回 6.5回
プッシュ通知1ユーザーへの平均配信金額 0.07円 0.11円 0.23円
年間平均CVR(CVユーザー/起動ユーザー) 4.0% 1.91% 10.6%
1度でもCVしたユーザーの年間平均CV回数 3.9回 7.2回 1.9回
1CV平均獲得費用 147円 129円 205円

価格帯別の主な傾向

ハイブランド:月に1回以上の「起動」、1度でも起動すれば10人に1人がCV

ハイブランドでは、年間平均起動回数15.2回、プッシュ通知閲覧回数6.5回、平均滞在時間268秒と他価格帯と比較して最も高い数値を示しています。ユーザーは平均月1回以上、1回あたり4分以上アプリを開き、その半分近くはプッシュ通知経由で開いていることが判明しました。価格帯が高いため購入頻度は低いものの、アプリを起動したユーザーの約10人に1人が年間で一度はコンバージョンに至るという、高いブランド接触頻度と購買率が特徴です。

ミドルプライス:年7回のCVを最も効率的に獲得

1度コンバージョンしたユーザーの年間平均CV回数が7.2回と、全価格帯で最もリピーターが多い結果となっています。また、「CV獲得費用」も129円と最も低く、効率的なCV獲得を実現しています。一方、「起動したユーザーの年間平均CVR」は1.91%と最も低いことから、コアなリピーターがCV数を支え、アプリ起動はするものの購入に至らないライトユーザーも共存していることがわかります。アプリはライトファンをコアファンへと引き上げる役割も担い、幅広い施策が求められます。

プチプラ:アクティブ率が最も高く、安価にプッシュ通知配信

「月間アクティブ率」が20.3%と他価格帯と比べ最も高い水準であり、アプリがユーザーの生活に深く浸透していることがわかります。また「1プッシュ通知配信金額」は0.07円と最も安価であり、低コストで広範囲の顧客との関係構築・維持を実現していることが特徴です。

調査から見えた傾向

アプリは、継続的な顧客とのコミュニケーション機会を増やすことで、結果として年平均4回以上のコンバージョンを行うリピーターを生み出すことがわかりました。

このように、アプリは単なる購買チャネルではなく、その前段のコミュニケーションを幅広い施策で実現し、ブランド体験を強化、顧客との距離を近づける「エンゲージメント構築基盤」として機能していると言えるでしょう。逆に、前段のコミュニケーションが十分に練られていなければ「売上」につながることは難しいという結果も示されています。

株式会社ヤプリでは、本調査を通じて、企業が顧客体験におけるアプリの立ち位置と、アプリ運用におけるKPIを振り返るきっかけになることを期待しています。

同社が提供する「Yappli」は「速く、自由に、進化する」アプリ開発・運用プラットフォームです。求める顧客体験を実現する、アプリ開発・運用を支援しています。

本調査が示すように、アプリはブランドと顧客の間に深い絆を築く重要な接点となります。直近では、日々目まぐるしく変化する市場環境や顧客ニーズに合わせて、アプリの重要性を再認識しリニューアルする需要が増加していると同社は述べています。

アプリ施策に迷われている方に向けた資料

調査概要

調査主体 株式会社ヤプリ
調査期間 2016年〜2025年
調査対象 ヤプリで運用中のアパレル業界向け137アプリを、2024年8月以前にDLしたユーザー
対象ユーザー数 対象アプリにおける約3420万ユーザー
調査方法 Yappli Data Hub(※2)を用いて、アプリ利用者の行動データを集計・分析
定義 ・費用:ヤプリ平均月額費用を固定値として、プッシュ通知配信数、CV数で割ることで各単価を算出。
・プッシュ通知配信金額:ユーザー数×配信数の合計を、固定費用で割ることで算出。
・コンバージョン(以下CV):アプリ内にて「thanks/thank/complete/success/done/finish/ありがと/完了/成功/payment/order」のいずれかがURLに含まれるページへの遷移を重要な行動(CV)と定義。
・価格帯分類:プチプラ(1点あたり単価5,000円以下)、ミドルプライス(1点あたり単価5,000円超2万円以下)、ハイブランド(1点あたり単価2万円超)

(※2)Yappli Data HubはYappli製のアプリ上における、より詳細な属性・行動データを提供しているサービスです。

同社は、今後も企業のGo Mobileを推進し、デジタルを簡単に、社会を便利にするための支援を続けていくとしています。

株式会社ヤプリについて

株式会社ヤプリは、「デジタルを簡単に、社会を便利に」をミッションに、ノーコードでアプリを開発・運用・分析できる「Yappli」や、社内エンゲージメントアプリ「UNITE by Yappli」、次世代Web構築プラットフォーム「Yappli WebX」などを提供し、企業のデジタル体験の向上を支援しています。

Yappliの製品は750社以上に導入されており、アプリの累計ダウンロード数は2億回以上、店舗・EC、社内DX、BtoBなど多様な分野で活用されています。同社は、顧客体験と従業員体験を総合的に高めるデジタルエクスペリエンスプラットフォーム(DXP)として進化を続けていくとしています。

本社    :東京都港区六本木3-2-1 住友不動産六本木グランドタワー41階
エリア支社 :グランフロント大阪北館8階(大阪)、Signature 福岡大名ガーデンシティ8階(福岡)
代表者   :代表取締役 庵原 保文
事業内容  :「Yappli」「Yappli CRM」「Yappli WebX」の開発・提供

出典元: 株式会社ヤプリ プレスリリース

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