
Ahrefsが、AI検索可視化ツール「ブランドレーダー」を活用し、日本国内における主要AI検索エンジン4社(ChatGPT、AIモード、Microsoft Copilot、Perplexity)が回答生成時に引用している情報源について分析・調査しました。調査の結果、日本市場における各社の情報源の傾向とポジショニングに明確な違いがあることが判明しています。
この記事の目次
調査サマリー
Ahrefsが、AI検索可視化ツール「ブランドレーダー」を使用して、日本国内において主要AI検索エンジン4社(ChatGPT、AIモード、Microsoft Copilot、Perplexity)が回答生成時に引用している情報源を分析・調査しました。その結果、日本市場における各社の情報源の傾向とポジショニングに明確な違いがあることが明らかになっています。
主要な調査結果
1. 日本国内において、各AI検索で引用する情報源が全く異なる:Reddit特化型、YouTube特化型、Yahoo! 知恵袋特化型、Wikipedia特化型など明確な棲み分けが見られます
2. ChatGPTは日本でも海外コミュニティRedditを最重視(228,388回引用で圧倒的1位)
3. Perplexityは日本国内のYahoo! 知恵袋を圧倒的に重視(518,977回引用、他AIの2-5倍)
4. AIモードはYouTubeとSNSを重視、Googleエコシステムとの統合が明確です
5. Copilotは自社サービスBingとの連携が顕著(93,300回で2位にランクイン)
調査背景
生成AI検索が急速に普及する中、「AIの回答はどこから来ているのか?」という疑問が高まっています。同じ質問でもAIによって回答の傾向が異なる理由は、引用している情報源が異なるためです。
この調査では、Ahrefsブランドレーダーを用いて、日本国内において各AI検索エンジンが回答生成時に参照・引用している情報源(ドメイン)のトップ10を分析し、日本市場における各社の情報源の傾向を定量的に明らかにしています。
AI検索における情報源参照の仕組み
現代の生成AI検索エンジンは、RAG(Retrieval-Augmented Generation:検索拡張生成)技術を用いて、回答生成前にリアルタイムで外部データベースやウェブを検索し、その情報を参照して回答を作成しています。
各AI検索エンジンは、情報源の信頼性・正確性・鮮度・ユーザーエンゲージメントを独自の基準で評価し、引用優先度を決定しています。
調査結果

ChatGPT
トップ3引用ドメイン
1. Reddit(228,388回)- 海外コミュニティ圧倒的1位
2. Wikipedia英語版(166,445回)
3. Ameblo(131,629回)
情報源の傾向:
- 海外最大級のコミュニティプラットフォームRedditを最優先で引用
- Wikipedia英語版からグローバルな情報を取得
- 日本のブログプラットフォーム(Ameblo、note)やPR TIMESも活用
傾向:海外の専門的な議論、グローバルな視点、企業公式情報に強いことが特徴です。
AIモード
トップ3引用ドメイン
1. YouTube(91,954回)- 圧倒的1位
2. Google.com(35,191回)
3. Wikipedia日本語版(33,006回)
情報戦略の特徴:
- YouTube動画コンテンツを最優先で引用
- google.comを重視(Googleエコシステムとの統合)
- SNS(Instagram、X)を積極的に引用
傾向:動画解説、ビジュアル情報、SNSのトレンドに強いという特徴があります。
Microsoft Copilot
トップ3引用ドメイン
1. Wikipedia日本語版(125,842回)
2. Bing.com(93,300回)
3. note(65,023回)
情報戦略の特徴:
- Wikipedia(百科事典)を最重視し、正確性を担保
- 自社検索エンジンBingとの連携(2位)
- 辞書系サイト(Pixiv辞典)を積極活用
傾向:客観的で信頼性の高い情報、定義・比較情報に強いことが特徴です。
Perplexity
トップ3引用ドメイン
1. Yahoo! 知恵袋(518,977回)- 圧倒的1位(他AIの2-5倍)
2. YouTube(276,702回)
3. Wikipedia日本語版(252,313回)
情報戦略の特徴:
- Yahoo! 知恵袋を極端に重視(51万回以上)
- YouTube動画も大量に引用
- Wikipedia、辞書サイト、ブログも総合的に活用
傾向:最も総合的で幅広い情報源戦略を持ち、あらゆる質問に対応可能な特性があります。
調査結果から見えるマーケティングへの示唆
SEOからAEOへ:広がる最適化の視点
これまでのデジタルマーケティングでは、Google検索で上位表示されることが最優先事項でした。ターゲットとするキーワードで検索結果の1ページ目に表示され、自社サイトへのトラフィックを獲得すること。これが成功の定義でした。
しかし、AI検索エンジンの台頭により、SEOを基盤としながらも、より幅広い情報源への展開が求められる時代になっています。
多角的なコンテンツ展開の必要性
AIは自社サイトだけでなく、SNSでの言及、ユーザー生成コンテンツ(UGC)、プレスリリース、外部メディアの記事、ブログなど、Web上のあらゆる情報源を参照します。AI時代のマーケティングは、自社サイトという「点」から、Web全体という「面」へと視野を広げることが不可欠です。
Ahrefsブランドレーダーについて
AI検索・Webを統合した360°ブランド可視化プラットフォーム
Ahrefsブランドレーダーは、AI検索・Web上のブランドシェアを一元的に可視化し、ブランドの「強い領域」「見落としている領域」「アクションが必要な領域」を俯瞰的に把握できるAI検索可視化ツールです。

主な機能
- ブランドのAI検索シェアを可視化:「強い領域」「見落としている領域」「アクションが必要な領域」を俯瞰的に把握
- 6大AIエンジン対応:Google AIモード、ChatGPT、Perplexity、Gemini、Copilot、AI Overviewsといった6大AIエンジンの1億件以上のプロンプトデータとWeb指標を一元化
- 即時利用可能:セットアップ不要で即時利用可能。AEO(AI検索エンジン最適化)の基盤をすぐに構築
- 競合分析:特定のクエリだけでなく、競合ブランドの言及を俯瞰し、これまで見逃していた露出機会を発見
多方面への情報発信が必要な時代だからこそ、各チャネルでの成果を可視化することが重要です。
調査概要
調査期間:2025年5月〜9月(過去5ヶ月間)
- ChatGPT、Perplexity: 5-9月データ
- Copilot: 7-9月データ
- AIモード: 9月データ
調査対象国:日本(日本国内のデータを分析)
調査方法:Ahrefsブランドレーダーによる引用ドメイン分析
調査対象:ChatGPT (OpenAI)、AIモード (Google)、Microsoft Copilot (Microsoft)、Perplexity
分析項目:各AI検索が回答生成時に引用しているドメインのトップ10
会社概要
【Ahrefs Pte. Ltd.(エイチレフス)】
本社所在地:シンガポール(16 Raffles Quay #33-03, Hong Leong Building, Singapore 048581)
設立:2010年
代表者:Dmitry Gerasimenko(創業者・CEO)
事業内容:Ahrefsは、独自開発のウェブクローラーとデータセンターを活用し、SEO分析、AI検索可視化、コンテンツマーケティング、ウェブ分析、SNS投稿などマーケティング機能を包括的に提供しています。世界トップレベルの規模を誇るクローラーとデータ技術により、正確かつ鮮度の高いデータを収集・解析。被リンク分析、キーワードリサーチ、競合調査、トラフィック解析、ブランドモニタリングなど、多角的なマーケティングデータソリューションを展開しています。世界中の企業やマーケターに利用され、データサイエンスとインテリジェンスを駆使してマーケティング戦略の最適化を支援しています。
出典元: Ahrefs Pte. Ltd. プレスリリース