YTGATE、EMV 3-Dセキュア導入後の決済承認率低下を初めて数値化した「キャッシュレスセキュリティレポート2025年次版」に協力

2025年10月3日 2025年10月3日

コマースピック編集部　プレス配信チーム

株式会社YTGATE（本社：東京都中央区、代表取締役：高橋祐太郎）が、株式会社リンクとかっこ株式会社が共同発行する「キャッシュレスセキュリティレポート2025年次版」への協力を行ったことを発表しました。同社は専門的な決済承認率分析を提供することで、EMV 3-Dセキュア導入後の承認率変化を初めて数値化し、不正利用リスクだけでなく正規取引の機会損失も明らかにする包括的な分析を実現しています。

このレポートはクレジットカード情報流出事件の統計とECにおける不正利用傾向を分析した年次報告書であり、YTGATEの協力により「攻めの指標」も加わったことで、セキュリティと承認率のバランスを考慮した実務的に活用しやすい内容となっています。

この記事の目次

1 レポートの概要
- 1.1 YTGATEが新たに追加した指標
2 調査背景
3 キャッシュレスセキュリティレポート2025年次版の目次
4 「キャッシュレスセキュリティレポート」は、このような方にオススメ

レポートの概要

キャッシュレスセキュリティレポート2025年次版は、クレジットカード情報流出事件に関する統計とECに関する不正利用傾向を分析した年次報告書です。今回の報告書では、YTGATEによる「EMV 3-Dセキュア導入に伴うカード決済承認率の変化」に関する調査が追加され、カード決済承認率低下の要因と考察が新たに提供されています。

YTGATEが新たに追加した指標

対象範囲： (5) EMV 3-Dセキュア導入に伴うカード決済承認率の変化

EMV 3-Dセキュア導入前後の承認率推移
エラーコード別の否認理由分析
導入事業者における「カゴ落ち」影響の可視化
消費者調査による離脱率把握

これらの新指標により、従来の不正利用額や事件件数の増加という「守りの指標」だけでなく、承認率や顧客離脱といった「攻めの指標」も加わったことで、より実務的に活用できる内容へと拡張されています。

調査背景

近年、日本におけるクレジットカード不正利用の被害額は急速に拡大しています。2016年には約140億円だった不正利用被害額は、2024年には555億円という過去最高額にまで増加しました。その内訳を見ると「番号盗用」による手口が9割以上を占めており、特にECサイトを介したカード情報の盗用事案も深刻化しています。従来の「カード番号＋有効期限＋セキュリティコード」だけで決済可能な仕組みでは、情報が流出すると容易に不正利用に結びつくリスクが高まっている状況です。

このような背景から、2025年3月には「EMV 3Dセキュア」の導入が義務化され、決済プロセスのセキュリティ強化が進められています。一方で、認証ステップの増加が決済エラーを引き起こすケースも増加傾向にあります。さらに、不正利用発生時の損失負担は、かつてEC事業者（加盟店）が負っていたものが、3Dセキュア採用店では原則としてカード会社側へと移行（ライアビリティシフト）しています。

このようにEC市場の拡大とともに、事業者は「不正利用対策の強化」「正規取引の承認率向上」「カート放棄（カゴ落ち）の抑制」といった相互に密接に関わる複雑な課題に直面しています。本調査の結果からも、EMV 3-Dセキュアの導入が決済承認率の低下を引き起こしている実態が明らかとなり、EC事業者・カード会社・消費者の三者にとって重要な課題であることが裏付けられています。