
グローバルEコマース分野をリードするShopify(ショッピファイ)の日本法人であるShopify Japan株式会社(本社:東京都渋谷区、カントリーマネージャー:馬場道生)が「2025年版 Shopify年次事業者調査」の結果を発表しました。
この調査では、事業者のAI活用の実態について詳細に調査されており、世界の事業者たちが今後AIをビジネスや業務にどのように取り入れようとしているかが明らかになっています。調査は2025年6月30日から7月10日にかけて実施され、世界全体で4,765以上のShopify事業者から回答が集められ、そのうち日本からは125の事業者が参加しています。この調査結果は、地域、年齢層、事業規模ごとのAI活用傾向を幅広く把握できる内容となっています。
【調査結果サマリー】
- グローバルにおいて54%の事業者がコンテンツ生成にAIの導入を予定しています
- 世界全体で47%の事業者がマーケティング施策にAIの活用を計画しています
- 日本の事業者は92%がAI導入の意向を示し、世界でトップの導入意欲です
- 日本では37%の事業者が翻訳支援・多言語対応にAI活用を検討しています(APAC平均の2倍以上)
この記事の目次
グローバルで54%の事業者がコンテンツ生成にAIを導入予定
調査によると、世界全体ではShopify事業者の半数を超える54%が、今年中に商品説明文やブログ記事、SNS投稿などのコンテンツ生成領域でAIを活用する予定だと回答しています。特筆すべきは、55歳以上の経営者が61%と最も高い導入意欲を示している点で、35〜54歳は57%、18〜34歳は47%となり、幅広い世代でAI活用の動きが拡大していることが分かります。
さらに、約半数(47%)の事業者が商品レコメンデーションやソーシャルメディア広告などのマーケティング施策にAIを取り入れる予定と回答しています。その他の主な活用用途としては、商品画像の強化(39%)、データ分析とインサイト抽出(35%)、カスタマーサービスの改善(31%)、業務プロセスの自動化(31%)が挙げられています。

属性別のAI活用の傾向――カスタマーサービスのAI導入は若年層が最多
今回の調査では全体的な傾向に加え、性別や年代といった属性による違いも浮き彫りになっています。性別による比較では、男性の方が女性よりもAI活用への意欲がわずかに高い傾向が見られました。特にデータ分析(男性37%・女性32%)やカスタマーサービス(男性34%・女性29%)の分野で差が確認されています。
年齢層による分析では、18〜34歳の若年層がカスタマーサービスでのAI活用に最も積極的で、34%が導入を予定していることが分かりました。一方、35〜54歳では30%、55歳以上では29%にとどまっています。また、全体の31%が業務プロセスの自動化にAIを活用する予定ですが、55歳以上の層では27%と他の年齢層と比べて導入意欲に差が見られました。
日本の事業者の92%がAIを導入意向
調査結果から、日本では実に92%の事業者が今年中にAIをビジネスに導入する意向を示していることが明らかになりました。この数字はアジア太平洋地域(APAC)でもトップクラスであり、オーストラリアおよびニュージーランドの83%を大きく上回っています。マーケティングやパーソナライゼーションといった一部の分野では他地域と比較してやや低い数値も見られましたが、総じて日本の事業者がAI導入に対して非常に積極的な姿勢を持っていることが浮き彫りになっています。

日本の事業者のAI活用予定のトップは文章生成――データ分析・インサイト、業務効率化まで多方面で導入意欲
日本国内でのAI活用予定の分野の首位はコンテンツ生成(51%)で、事業者の半数以上が商品説明やマーケティング用テキストの作成にAIを取り入れる計画があると回答しています。次いでデータ分析・インサイトの獲得(39%)、商品画像の強化(32%)、カスタマーサービスの改善(32%)、業務プロセスの自動化(27%)と続き、多岐にわたる分野での活用意欲が見られます。
一方で、マーケティング施策へのAI活用を計画している事業者は29%にとどまり、アジア太平洋地域の平均である49%を下回る結果となっています。この差は、日本市場特有の顧客へのアプローチスタイルを反映しているものと考えられます。
翻訳支援・多言語対応のAIを導入意向の日本の事業者は37%でAPAC平均の2倍超え――越境ECを後押し
特筆すべき点として、日本の事業者が他地域を大きくリードしているのが翻訳支援の分野です。日本の事業者の37%がAIによる多言語対応を計画しており、これはアジア太平洋地域の平均(17%)の2倍以上に達しています。
長い間、クロスボーダーEコマース展開における大きな障壁となってきた言語の壁に対して、AIは新たな成長機会を切り開く強力なツールとなりつつあります。ストアフロントやマーケティング素材、カスタマーサポートのローカライズをより簡単かつ正確に行うことができるようになり、AIが日本の事業者のグローバル市場進出を力強く支援しています。

すでにAIを活用する日本のブランド事例
日本の事業者はすでに、ShopifyのAIアシスタント「Sidekick」をはじめとするAIツールを業務全般に取り入れることで効率性と拡張性を高め、具体的な成果を上げ始めています。
例えば、小嶋陽菜氏がプロデュースするファッションブランド「Her lip to」では、自然言語を用いた注文データの抽出・分析、Shopify機能に関する自動応答、商品ページのローカライズなど、多岐にわたる業務でAIを積極的に活用。これにより業務効率化と越境EC推進を同時に実現しています。
また、デジタル機器メーカーの「Ankerグループ」では、画像生成やプラットフォーム開発などの業務でのAI活用に加え、AIを用いたカスタマーサポートシステム「Anker AI Assistant」を導入。これによって、従来は人による対応が必要だった複雑な問い合わせにも迅速に対応できるようになり、顧客の待ち時間短縮と効率的なサポート提供を実現しています。
まとめ
今回の調査結果について、Shopify Japanカントリーマネージャーの馬場道生氏は次のようにコメントしています。
「AIは一過性のブームではなく、これからのコマースを形づくる未来そのものです。いま業務全体にAIを取り入れなければ、取り残されることになるでしょう。Shopifyが提供するAI機能は、汎用的なツールとは異なり、コマースに特化して設計・学習され、Shopifyのプラットフォームと深く連携しているため、すぐに実務へ活用できるのが大きな特徴です。2025年夏のShopify Editionsで発表した新しいテーマ『Horizon』では、AIによってコンテンツブロックを生成できるようになり、ストアの立ち上げや最適化の手間を大幅に軽減します。Shopifyは今後もコマースの最前線をリードし、事業者の皆さまに最先端のAIツールを提供し続けてまいります。」
出典元:Shopify Japan株式会社 プレスリリース