
株式会社メルカリは2025年9月30日、越境取引事業における新戦略を発表しました。同社初となる世界共通アプリ「メルカリ グローバルアプリ」の提供開始と、国内事業者向け越境EC基盤の強化により、越境取引における購入者・事業者双方の課題解決を図るとのことです。新アプリは本日より台湾・香港で利用可能となり、今後展開地域を順次拡大していく予定だと発表されています。
この記事の目次
背景
メルカリは「新たな価値を生みだす世界的なマーケットプレイスを創る」という創業時のミッション実現に向けた挑戦を続けており、中期的な経営戦略としてグローバル展開に注力しているとのことです。
同社は2019年に越境EC事業者との連携を通じた越境取引事業をスタートさせ、2024年8月には台湾、2025年5月には香港でWeb版「メルカリ」の提供を開始するなど、積極的なグローバル展開を進めてきました。
これらの取り組みや、累計40億品を超える豊富な商品在庫などを強みとして、メルカリの越境取引事業の流通総額は過去3年で15倍以上に成長し、年間900億円を超える規模に拡大しているということです。
世界の越境ECの市場規模も急速に拡大しており、経済産業省の推計によれば、2024年の1.01兆USドルから2034年には6.72兆USドルにまで拡大し、2025年から2034年の年平均成長率は約23.1%と予測されています。
メルカリはこの市場成長を大きな機会として捉える一方で、日本の優れた商品やカルチャーをより多く世界に届ける上で、海外の購入者と日本国内の出品者・特に事業者がそれぞれ直面する課題があると考えているようです。
- 海外の購入者が直面する課題:
- 言語の壁や複雑な購入プロセスなどの体験面
- 海外のプラットフォームにアクセスする際にサイトの信頼性への不安
- 国内の事業者が直面する課題:
- 多くの事業者が海外への販路拡大に関心を持つ一方、「最初の一歩」を踏み出すことが難しい
メルカリの新たな越境取引事業戦略
こうした背景を踏まえ、メルカリは越境取引事業の新たな戦略を策定したとのことです。新戦略では、海外の購入者と日本国内の事業者の双方の体験を向上し、よりかんたんかつ安心・安全な取引環境構築を実現するとしています。その戦略の中核として、2本の柱を掲げています。第一に迅速なグローバル展開を可能にする世界共通のプラットフォーム「メルカリ グローバルアプリ」(グローバルアプリ)の提供、第二に国内事業者の海外展開を支援する「メルカリ グローバルEC基盤」です。この2本の柱を両輪として、成長を加速させていく方針だと説明しています。

また、越境取引事業の拡大にあたっては、特に世界的に人気の高い日本のエンタメ・ホビー領域に注力していくとのことです。予約販売やオークション機能など、エンタメ・ホビー領域の取引を促す機能を順次導入し、コンテンツの権利元企業とも連携しながら、購入者・事業者双方にとって魅力的な取引体験を提供する計画だと発表しています。
「メルカリ グローバルアプリ」の概要
メルカリ初となる世界共通アプリで、海外の購入者は「グローバルアプリ」を通じて日本の「メルカリ」と「メルカリShops」の商品を閲覧・購入することができるとのことです。言語や決済、複雑な手続きなどの課題が解消され、海外の購入者は日本の「メルカリ」と同様、かんたんかつ安心・安全にお買い物を楽しめる環境が整いました。本日より台湾・香港で提供を開始し、今後、展開する国や地域を順次拡大する予定だと伝えられています。

「グローバルアプリ」の特長
特長1. 日本最大のマーケットプレイスへのアクセスによる、夢中になれる買い物体験
累計出品数40億品を誇る日本最大のマーケットプレイス「メルカリ」の豊富な在庫にアクセスでき、使いやすいUI/UXと安心・安全な取引環境の中で、"偶然の発見"を楽しめるお買い物体験を提供するとしています。
特長2. 言語や通貨の壁のない、シームレスな購入体験
AIによるリアルタイム翻訳機能に加え、各国や地域の通貨や決済方法に対応。言語や通貨の違いによるストレスもなく、快適な操作性で商品を購入できる環境を実現するということです。
特長3. 検品から配送まですべてメルカリがサポート、取引の不安を解消
お届け先の国や地域に最適化された配送方法で、確実・安全に配送される仕組みを構築しています。2026年1月以降は、発送前にメルカリがすべての商品をチェックして品質を保証する「全品検品」を導入し、決済から配送状況の追跡までの全プロセスがアプリ上で完結する一気通貫のUXへとアップデートされます。「商品は本当に届くのか」「品質に問題はないか」など越境取引の不安を解消する取り組みを進めていくとのことです。

事業者の海外展開を支える「メルカリ グローバルEC基盤」概要
「グローバルアプリ」では、魅力的な商品のラインナップを増やし、プラットフォームの魅力を拡大させるために、国内事業者の出店を積極的に促進するとしています。日本国内のマーケットプレイス運営で培ったメルカリのノウハウを活かし、越境ECの専門知識や経験がない事業者の海外展開を支える「グローバルEC基盤」を構築していく方針です。

グローバルEC基盤の特長
特長1. いつもの「メルカリShops」で、かんたんに越境販売
日本の「メルカリShops」の操作で、海外の購入者へ商品を販売できる仕組みを提供。設定・申請などの特別な対応は不要とすることで、事業者の負担を軽減しているとのことです。
特長2. あんしんの取引体制
多様な海外決済への対応、複雑な国際配送・通関手続き、外国語での顧客対応といった、専門知識を要する煩雑な業務をすべてメルカリが機能でサポートするとしています。決済はStripe、配送は佐川急便など信頼できるパートナーと連携し、安心・安全な体制を整備。また、国・地域ごとの販売設定が可能となる予定で、現地権利者とのトラブルを回避する機能も提供するとのことです。さらに、2026年上半期からはパートナー連携による「あんしん鑑定」が導入される予定とされています。
特長3. 成長基盤サポート
メルカリの海外ネットワークやノウハウを活かし、ただ出品するだけではなく、より効率的にコンテンツや商品を世界中のファンにリーチできるような基盤を提供するとしています。今後、事業者向けのテーマページの構築や、公式であることを示す「公式バッジ」などの機能を順次追加し、事業の継続的な成長を支援していく方針だと説明されています。
今後について
「グローバルアプリ」は、本日より台湾・香港で提供を開始し、2026年春にはアメリカでの提供開始を予定しているとのことです。その後は展開する国や地域を順次拡大し、3年以内に50以上、中長期的には100以上の国や地域へ展開する計画だと発表されています。
さらに、UI/UXや機能のアップデートを行い、お客さまの体験向上に注力していくとしています。
メルカリは、新たな越境取引事業戦略を通じて、「越境するならメルカリ」という体験を深め、今後も日本発No1の越境マーケットプレイスを目指していくとのことです。
出典元: 株式会社メルカリ プレスリリース