
越境EC支援会社の株式会社マルコネクト(本社:福岡市中央区、代表取締役CEO:新倉 明)は、2025年8月21日、ジェトロ(独立行政法人 日本貿易振興機構)「JS-Links(海外ビジネスに係るサービスプロバイダーリスト)」に登録・掲載されたことを発表しました。
同社は、「日本市場での売上が伸び悩んでいる」「海外での販売ノウハウがない」「海外向けの人材リソースがない」「急成長中の市場に挑戦したい」という課題を抱える事業者に対し、越境EC支援、海外販売の準備・構築・決済・発送・運営等のコンサルティング、海外展開のサポートを提供しています。
2025年7月30日、アメリカのトランプ政権が少額の輸入品について関税を免除する「デミニミス(非課税基準額)ルール」を全面的に停止する大統領令に署名し、同年8月29日から品目に応じた関税が課されることになりました。これにより、アメリカから他マーケットへの販路開拓が加速することが予想され、今回マルコネクトがジェトロ「JS-Links」に登録・掲載されたことで、日本企業の東南アジア・台湾向けの海外販売をより強力に支援していくとしています。
この記事の目次
越境EC拡大の背景

2024年9月25日に発表された、経済産業省「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によると、2023年の世界のB2C EC市場規模は5.82兆USドル、EC化率は19.4%と推計されています。世界がパンデミック時代からニューノーマル時代へと移行する中で、電子商取引売上の伸びはやや鈍化しているものの、今後も緩やかに市場規模の拡大とEC化率の上昇が予想されており、2027年には7.96兆USドル、EC化率は22.6%まで上昇すると予測されています。
越境EC拡大の背景には、大きく分けて技術面・経済面・消費者行動の変化・制度環境の整備の4つの要因が絡み合っています。特に近年は、SNSとインフルエンサーの発信が購買の直接的トリガーとなり、「知る→欲しい→買える」までが数分で完結する時代に入っていると同社は説明しています。
① 技術面の進化
- インターネット・スマホの普及により、世界中の消費者がオンラインで検索・購入できるようになっています。
- 国際決済サービス、物流インフラの向上により、国境を越えた取引が容易になっています。
- Amazon、Shopeeなど、ECプラットフォームが国際展開の仕組みを提供しています。
② 経済面の変化
- 東南アジアや中南米など、新興国の所得向上により、購買力が増加しています。
- 円安など為替の影響で、海外需要を押し上げる要因となっています。
- コロナ禍で多くの消費がオンラインへ移行し、世界経済のオンラインシフトが越境ECにも波及しています。
③ 消費者行動の変化
- SNSや動画を通じて、海外トレンドや文化に触れる機会が増え、海外ブランド・商品の需要が高まっています。
- 越境ECでは、同じ商品を国内より安く買える場合があり、価格比較が容易になっています。
- 海外限定版や地域特産品など、差別化されたギフト・限定商品の需要が増しています。
④ 制度・政策面の後押し
- FTA(自由貿易協定)・EPA(経済連携協定)の拡大で、関税削減や通関手続き簡略化により、国際取引のコストが低下しています。
- 各国政府のデジタル貿易推進により、国境を越えるデジタル取引環境が整備されています。
- ジェトロの越境EC支援や各種補助金など、中小企業支援策の充実で、参入障壁が低下しています。
アメリカ「デミニミス(非課税基準額)ルール」適用停止

アメリカには「デミニミス(非課税基準額)ルール」という、一定額以下の小口貨物への関税を免除し、輸入申告も簡素化する特例措置があります。「800ドル免税ルール」として知られ、個人輸入の場合、1回の注文が800ドル(約12万円)以下であれば関税がかからないというものです。
このデミニミスルールは、当初2027年7月1日で廃止予定(2025年7月4日発表)となっていましたが、急遽2025年8月29日に前倒しで適用停止(2025年7月30日発表)されることになりました。これにより、日本国内のEC会社、中小の輸出会社、個人などの越境セラーは費用負担が生じることとなり、通関業務の遅延、顧客とのトラブルなども予想されるため、アメリカから他マーケットへのシフト(販路開拓)が加速することが想定されています。
2025年4月2日:トランプ米大統領、中国に対するデミニミスルールの適用を終了する大統領令を発表
2025年7月4日:米国の非課税基準額(デミニミス)ルール、2027年7月1日で廃止
2025年7月30日:トランプ米大統領、全世界に非課税基準額(デミニミス)ルール適用を停止する大統領令発表
出典:ジェトロ(日本貿易振興機構)
なぜ今、東南アジア・台湾か?

東南アジア・台湾は、「人口ボーナス期」「モバイル先進市場」「国際志向の若年層」が揃った成長市場で、世界的にも越境ECの伸びが著しいエリアです。特にSNSとモバイル決済の親和性が高く、「発信から購入までが一気通貫」という購買モデルが成立している点は、日本市場とは大きく異なる特徴となっています。
① 市場・人口構造の追い風
- 人口規模と若年層比率の高さ:東南アジア(ASEAN)は約6.7億人、台湾は約2,300万人の市場規模を持ち、特にASEANは平均年齢30歳前後と若く、ネットやSNSに慣れた層が購買の中心となっています。
- 都市化と中間層の急成長:インドネシア、ベトナム、フィリピンなどで都市部人口と中間層が増加し、可処分所得が伸び、海外ブランドや高品質商品への需要が拡大しています。
- 人口ボーナス期の経済成長:東南アジアは2040年頃まで人口増加が続く見込みで、消費市場としてのポテンシャルが高いとされています。
② デジタル環境とECインフラの成熟
- モバイル先進国:東南アジア・台湾ともにスマホ普及率は高く、特にインドネシア・フィリピンでは「スマホ=インターネット」の構図が強くなっています。
- ECプラットフォームの地域展開:Shopee、Lazada、TikTok Shopが現地語・現地通貨対応を整備し、越境セラー(販売者)が参入しやすい環境を提供しています。
- 決済・物流の国際化:GrabPay、Gcash、LINE Payなどのモバイル決済が普及し、DHL、J&T、Ninja Vanなど越境物流サービスも拡充しています。
③ 消費者行動の変化
- 日本製品への信頼と人気:東南アジアや台湾では「日本=品質・安全」のイメージが強く、化粧品、健康食品、ベビー用品、家電などの需要が安定しています。
- SNS経由の購買増加:Instagram、TikTok、Facebookなどのライブコマースや短尺動画から直接購入する流れが加速しています。
- 旅行経験が購買意欲に直結:インバウンド旅行で日本製品を知った現地消費者が、帰国後も越境ECでリピート購入する「旅アト需要」が定着しています。
JS-Links(海外ビジネスに係るサービスプロバイダーリスト)

海外への輸出や進出にあたり、物流会社や保険、決済、通訳、契約、ウェブサイトの構築など、様々なサービスを適切に組み合わせて活用することが重要です。ジェトロ「JS-Links」では、海外ビジネスに係るサービスプロバイダーリストとして、実務面で日本企業の海外展開を支える様々なサービスを紹介しています。
東南アジア・台湾・ブラジルECモール出店・出品販売支援(Shopee)

マルコネクトでは、東南アジア・台湾最大級のECモール「Shopee(ショッピー)」への出店支援を行っています。2025年8月現在、日本からはブラジル、台湾、シンガポール、タイ、マレーシア、ベトナム、フィリピンの7つのマーケットに販売可能で、Shopeeに対する初期費用・維持費用はゼロで出店できるとのことです。
東南アジア・台湾・アジア向け越境ECサイト構築(SHOPLINE)

東南アジア・台湾・アジア向けに自社越境ECサイトを構築する際、マルコネクトではECサイト構築サービス「SHOPLINE(ショップライン)」を活用しています。SHOPLINEはアジアで広く利用されている自社ECサイト構築プラットフォームで、特に台湾、香港、シンガポールで高い支持を得ているとのことです。
株式会社マルコネクトについて

株式会社マルコネクト(Mul-Connect Inc.)は、「多言語化(Multi-lingualize)で、世界をツナゲル(Connect)」をコーポレートビジョンに掲げ、日本企業の越境EC支援を行うため、海外販売の準備・構築・決済・発送・運営等のコンサルティングを提供しています。
【会社概要】
会社名 :株式会社マルコネクト
所在地 :〒810-0041 福岡市中央区大名2-6-11 Fukuoka Growth Next
代表者 :代表取締役CEO 新倉 明(SHINKURA Akira)
事業内容:越境EC支援事業
- 市場調査・戦略、マーケティング等のコンサルティング
- モール(出店、運用)、自社ECサイト(構築、運用)等の店舗構築
- 受注管理、在庫管理、決済等の店舗管理
- SNS運用、インフルエンサー手配、アンバサダー依頼管理、SEO等のプロモーション
設立年月:2019年10月
出典元:株式会社マルコネクト プレスリリース