近年、ビジネスシーンにおける動画コンテンツの活用が急速に拡大しています。多くの企業がマーケティングや情報発信のツールとして動画を取り入れるようになっていますが、社内で動画制作を担当している方々からは「効果的な企画が思いつかない」「競合他社との差別化が難しい」といった悩みの声が多く聞かれています。
このような状況を受けて、BtoBマッチングサイト「一括.jp」を運営する株式会社ecloreが、実際に動画制作に携わる企業担当者150名を対象に、動画企画やアイデア創出における課題と解決策に関する詳細な調査を実施しました。この調査では、動画企画で苦労するポイントや、企画がスムーズに進まない原因、現場で実践されている改善策、そして「効果的な動画」を制作するために重視されている判断基準まで、多角的に分析されています。
この記事では、これから動画制作に取り組もうとしている企業担当者の方々はもちろん、すでに動画活用を進めていて、さらなる質の向上を目指している方々にとっても参考になる調査結果をご紹介します。動画制作の現場で直面する課題とその克服方法について、具体的なデータを基に解説していきます。
この記事の目次
調査結果1：動画制作の企画・アイデア出しで、特に難しいと感じるポイントは何ですか？
最も多かったのは「ストーリーや構成の作り方」（43.3%、65人）で、動画制作において全体の流れや物語性をどのように組み立てるかに苦労している人が多いことが判明しました。
次いで「動画のテーマやコンセプト設定」（30.7%、46人）や「企画を生み出す発想力・アイデア力の不足」（28.0%、42人）も上位に挙がっており、企画の初期段階でつまずきを感じる傾向が強いことがわかります。
また、「他社との差別化ポイントの設定」（19.3%、29人）や「明確なターゲット設定やターゲット理解」（13.3%、20人）など、市場分析やターゲット戦略に関する課題も一定数の担当者が直面していることが明らかになりました。
「企画・アイデアを形にするまでのプロセス」（6.0%、9人）はやや少数派でしたが、アイデアの具体化や実行段階での難しさを感じている担当者も存在しています。
一方で「特に難しいと感じる点はない」と回答した担当者も15.3%（23人）おり、企画・アイデア出しのプロセスにおいて特に大きな障壁を感じていない層も一定数存在することがわかりました。
調査結果2：動画の企画やアイデア出しがうまく進まない場合の主な原因は何だと思いますか？
(注) 本設問は複数選択式ですが、選択肢は2つまでに制限しています。これにより、動画の企画やアイデア出しがうまく進まない原因をより明確に把握できるようにしています。
最も多かったのは「担当者の経験やスキル不足」（34.7%、52人）で、動画の企画やアイデア出しがうまく進まない要因として、現場における知識やノウハウの蓄積不足が最大の課題となっていることがわかりました。
続いて「企画の目的やゴールが不明確」（29.3%、44人）や「リソース（時間・人員・予算）の不足」（28.0%、42人）も多く、プロジェクトの方向性の曖昧さや、必要な資源の不足が大きな障壁になっていることが浮き彫りになっています。
また、「社内での情報共有や意思決定に時間がかかる」（27.3%、41人）という回答も多く、関係者間のコミュニケーションや承認プロセスの遅れが企画の進行を妨げる要因となっていることも明らかになりました。
「過去の制作事例や参考になる情報が少ない」（6.0%、9人）は比較的少数でしたが、参考事例やナレッジ不足による不安を感じている担当者も一定数存在することがわかります。
一方で「特に問題は感じていない」と回答した担当者も18.0%（27人）おり、スムーズに企画を進められていると認識している現場も少なくないことが示されました。
調査結果3：動画制作の企画力やアイデア出し改善のために行っていることはありますか？
(注) 本設問は複数選択式ですが、選択肢は2つまでに制限しています。これにより、動画制作の企画力やアイデア出し改善のために行っていることをより明確に把握できるようにしています。
最も多かったのは「定期的な企画会議やアイデア出しのミーティング実施」（32.7%、49人）で、動画制作の企画力やアイデア創出を改善するために組織的な話し合いの場を積極的に設けている企業が多いことがわかりました。
「他社の成功事例の分析・研究」（30.7%、46人）や「外部の専門家や制作会社への相談・協力依頼」（30.7%、46人）もほぼ同じ割合で選ばれており、業界の事例研究や外部専門家の知見活用も重要視されていることが明らかになっています。
また、「ワークショップや研修を通じたスキル向上」（18.7%、28人）も一定数の回答があり、組織的な人材育成や能力開発を通じてクリエイティブ力を高める取り組みも見られます。
「書籍やセミナーなどでのインプット強化」（8.0%、12人）は比較的少数でしたが、個人的な知識獲得や最新トレンドの学習に取り組んでいる担当者も存在しています。
一方で「特に何も行っていない」と回答した担当者も18.7%（28人）と少なくなく、企画力強化やアイデア創出力向上のための具体的な施策を講じていない現場も一定数あることが示されました。
調査結果4：動画の企画・アイデアを考える際、特に重視している要素はどれですか？
(注) 本設問は複数選択式ですが、選択肢は2つまでに制限しています。これにより、動画の企画・アイデアを考える際に重視している要素をより明確に把握できるようにしています。
最も多かったのは「わかりやすさ・伝わりやすさ」（36.0%、54人）で、動画企画において視聴者への明快なメッセージ伝達を最優先している担当者が多いことが明らかになりました。
次いで「ターゲットや視聴者ニーズとの適合性」（29.3%、44人）や「独自性・差別化ができているか」（27.3%、41人）も高い割合で選ばれており、対象視聴者の関心に合致した内容提供や競合との明確な差別化も重要視されていることがわかります。
また、「費用対効果（コストパフォーマンス）」（22.0%、33人）や「話題性やトレンド性」（11.3%、17人）も一定数挙げられており、投資対効果や時代の流れを捉えた企画立案にも意識が向けられています。
「ブランドイメージやメッセージの一貫性」（9.3%、14人）や「視聴後の具体的なアクション喚起」（1.3%、2人）は比較的少数でしたが、長期的なブランド戦略や具体的な成果指標を念頭に置いている担当者も存在することがわかりました。
「特に重視している要素はない」と回答した担当者も16.7%（25人）おり、明確な判断基準を持たずに企画を進めている層も少なくないことが示されています。
まとめ：動画企画力向上への道筋 ～ 現場課題の克服と成功への具体策 ～
ビジネスにおける動画コンテンツの重要性が日々高まる中、動画の企画力やアイデア創出能力は企業の競争力を大きく左右する要素となっています。今回の調査から見えてきた最大の課題は、多くの企業担当者が「ストーリー構成の方法」や「独自性のあるアイデア発想」に苦労している点です。特に担当者自身のスキル不足や明確な目標設定の欠如、限られたリソースという現実が、これらの課題をさらに深刻なものにしています。
しかし、調査結果からは同時に、こうした課題に対して効果的な解決策を実践している企業の姿も見えてきました。成功している企業では、定期的な企画会議を設けてチーム全体の知恵を集め、業界の成功事例を研究し、外部の専門家の知見を積極的に取り入れるなどの工夫を行っています。
また、効果的な動画制作において特に重視されているのは、視聴者にとっての「わかりやすさ」と「ターゲットとの適合性」です。企画段階からこれらの要素を徹底して追求することが、視聴者の心に響く動画を生み出す鍵となっています。
今後、動画活用で競争優位性を確立したい企業に求められるのは、「現場で直面する課題」を単なる問題として片付けるのではなく、組織の共有財産として蓄積し活用していく体制づくりです。個人の経験不足やアイデア創出の難しさを個人の問題として捉えるのではなく、組織的なトレーニングや部門間の連携強化、外部パートナーとの協力関係構築などを通じて、総合的な企画力を高めていくことが重要です。
「選ばれる動画」を制作するための鍵は、現場のクリエイティブ力を育む環境整備にあります。視聴者のニーズを正確に把握し、他社にはない独自のストーリーやメッセージを提供できるかどうかが、競争優位性を左右する重要な要素となるでしょう。現場の課題と真摯に向き合い、失敗から学び次の成功につなげていく姿勢こそが、動画企画の質を高め、企業の持続的な成長をもたらす確かな道筋となります。
出典元：株式会社eclore プレスリリース
