Amazon・三菱地所、名古屋市に西日本最大の環境配慮型物流拠点を今夏開設 - 地中熱活用や壁面太陽光発電を導入

Amazonと三菱地所株式会社は7月1日(火)、西日本最大となる物流拠点(フルフィルメントセンター:FC)を愛知県名古屋市に今夏新設することを発表しました。この拠点は三菱地所の施設「ロジクロス名古屋みなと」をAmazon専用に設計したもので、延床面積約12万5千平方メートル、商品保管容量約137万立方フィートという大規模な施設となります。2024年8月からの稼働が予定されています。

この新拠点では環境に配慮した施設運営のため、地中熱空調システムや壁面設置の太陽光発電設備など先進的な技術が導入されます。これにより施設運営に関わる温室効果ガスの排出削減とエンボディドカーボン(建築物の資材調達から廃棄までのライフサイクルで発生する二酸化炭素)の削減を目指しています。また、日本の建物として初めて国際的な認証「International Living Future Institute(Living Future)のゼロカーボン認証」取得が見込まれています。

地中熱利用システムのイメージ
地中熱利用システムのイメージ

カーボンフリーエネルギーの積極活用

今回開設される物流拠点では、地中熱ヒートポンプを利用した空調システムが導入されます。この取り組みは国内の地中熱利用としては最大規模となる200本の地中熱交換器を実装し、地下100メートルから安定した熱エネルギーを取り出すものです。これを1階部分の冷暖房に活用することで、低エネルギー消費で快適な室温維持を実現します。

このシステム導入により、従来の空調と比較して約30%のエネルギー消費量削減が見込まれており、Amazon全体の物流拠点の中でも先進的な取り組みとなっています。

FC の下で稼働する地中熱交換システム(地表付近)
FC の下で稼働する地中熱交換システム(地表付近)

また、施設で使用される電力の一部を賄うため、建物の屋根および駐車・駐輪場の屋根部分に太陽光発電設備を設置するとともに、Amazonとして世界で初めて建物の壁面(南側)にも太陽光発電設備を導入します。これらの合計発電設備容量は5.5メガワット(MW)に達し、国内の物流施設に設置されているオンサイト型の太陽光発電としては最大級、Amazonのオンサイト型太陽光発電としては米国外で最大の発電容量となります。

さらに、蓄電容量2.9メガワット時(MWh)の蓄電池も併設することで、曇天時や夜間でもカーボンフリーエネルギーを活用できる仕組みが整えられています。これらの取り組みにより、この拠点は建築物省エネルギー性能表示制度(BELS)において最高評価基準である6つ星を取得しています。

建屋の屋根および壁面に設置された太陽光発電設備のイメージ
建屋の屋根および壁面に設置された太陽光発電設備のイメージ

低炭素型コンクリートの採用と水資源の有効活用

環境への配慮は建材選定にも表れています。資材の調達から廃棄およびリサイクルに至るまで、ライフサイクルで約30%の温室効果ガス削減を見込むコンクリート素材が建物基礎およびオフィス部分に採用されています。この低炭素コンクリートは、コンクリートの従来材料であるセメント(製造過程で大量の二酸化炭素を排出)の代わりに、製鉄所で排出される高炉スラグ等の産業副産物を利用して製造されています。

またこの拠点では水資源の有効活用も進められており、貯留槽に集めた雨水をトイレなどで再利用することで、同規模の従来のフルフィルメントセンターと比較して上水道の使用量を約40%削減する見込みです。

国際的なゼロカーボン認証取得への取り組み

この物流拠点では、International Living Future Institute(Living Future)のゼロカーボン認証取得を目指しています。この認証は所定のプロセスに則り、12か月間の運用データの評価を経て2026年中に取得となる見込みです。この認証は世界初の第三者機関によるゼロカーボン認証基準であり、建築物がエネルギー消費量およびエンボディドカーボンの削減目標を達成すること、また100%再生可能エネルギーでの運営が求められます。

国外では、2024年6月にAmazonの米国カリフォルニア州の施設が物流施設としては北米で初めてこの認証を取得しており、オーストラリアでもAmazonの施設が同国の物流施設として初めて同認証を獲得しています。日本国内での建物としては、この名古屋市の施設が初の取得となる見込みです。

雇用創出と働きやすい環境づくり

この新拠点では、職場の安全・衛生管理者、商品の品質管理者、設備の保全管理者、テクノロジーを使って商品のピッキング・梱包・出荷作業などを担当するポジションなど、さまざまな職種で数千の雇用機会が創出される予定です。物流施設などでの職務経験のない方も含め、多様な経歴を持つ方々が活躍できる環境を整え、定期的なトレーニングやスキルアップ機会の提供を通じて、働く人々の成長をサポートする体制が整えられています。

施設は自然光を多く取り入れた設計になっているほか、カフェテリア、マザーズルーム(搾乳室)、プレイヤーズルーム(礼拝室)、バリアフリー対応のお手洗いなど、働く人々の心身の健康と多様性に配慮した設備を備えています。また、従来のフルフィルメントセンターと同様に「Amazon Robotics」(ロボットが商品棚を持ち上げて移動するシステム)や紙袋の自動梱包機等のテクノロジーも導入し、作業効率化と労働負担軽減が図られます。

地域社会との共生

この新拠点は名古屋市より津波避難ビル(津波に対する指定緊急避難場所)の指定を受けており、津波発生の恐れがある場合には、地域住民の方々に一時的な避難場所として利用していただくことが想定されています。また、敷地北側の一部を最寄り駅である荒子川公園駅からの歩行者用通路として一般開放するなど、地域住民に配慮した計画となっています。

関係者のコメント

アマゾンジャパン合同会社 ジャパンオペレーション代表 島谷恒平氏は次のように述べています。

「このたび、三菱地所様との協業により、愛知県名古屋市に新たな物流拠点を開設できることを大変嬉しく思います。西日本最大となる本拠点は、クライメイト・プレッジのコミットのもと、2040年までのネット・ゼロ・カーボン(温室効果ガスの排出量実質ゼロ)達成を目指すAmazonにとって象徴的な拠点です。壁面太陽光発電や地中熱空調などの技術を導入し、温室効果ガスの排出削減に貢献します。また、最新のテクノロジーを活用し、これまで以上に安全で迅速、かつ効率的に全国のお客様に商品をお届けします。地域の働く機会を創出するとともに、引き続きお客様そして地球環境のために取り組みを進めてまいります」

三菱地所株式会社 代表執行役 執行役社長 中島篤氏は次のように述べています。

「当社は、『長期経営計画2030』において、社会価値向上戦略と株主価値向上戦略の両輪を経営の根幹に据えており、サステナビリティビジョン2050で定める『Be the Ecosystem Engineers』を基本方針に、事業とサステナビリティの融合を推進しています。物流施設事業では、施設ブランド『ロジクロス』の信念である『MOVING TOMORROW未来を動かす物流施設へ』のもと、地球環境や物流倉庫に関わる人に寄り添い、配慮した施設開発を推進しており、このたびAmazon様とともに先進的な物流施設の開発に挑戦できたことを光栄に思います。当社は自動運転トラックなど次世代モビリティの受け入れが可能な高速道路IC直結の基幹物流施設等の開発も推進しており、持続可能な物流の実現に向けて新たな価値を提供してまいります」

Amazonについて

Amazonは4つの理念を指針としています。お客様を起点にすること、創造への情熱、優れた運営へのこだわり、そして長期的な発想です。同社は、地球上で最もお客様を大切にする企業、そして地球上で最高の雇用主となり、地球上で最も安全な職場を提供することを目指しています。

カスタマーレビュー、1-Click注文、パーソナライズされたおすすめ商品機能、Amazonプライム、フルフィルメント by Amazon(FBA)、アマゾン ウェブ サービス(AWS)、Kindle ダイレクト・パブリッシング、Kindle、Career Choice、Fire タブレット、Fire TV、Amazon Echo、Alexa、Just Walk Out technology、Amazon Studios、気候変動対策に関する誓約(The Climate Pledge)などは、Amazonが先駆けて提供している商品やサービス、取り組みです。

出典元:アマゾンジャパン合同会社 プレスリリース

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