
アスクル株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:吉岡晃)は5月23日、東日本基幹センターである「ASKUL関東DC(ディストリビューションセンター)」(以下「関東DC」)の開所式を実施したことを発表しました。同センターは本年6月から稼働予定となっています。また同日、埼玉県上尾市(市長:畠山稔)およびアレス・マネジメント・コーポレーション(ニューヨーク証券取引所:ARES)の一部である日本GLP株式会社(本社:東京都中央区、代表取締役社長:帖佐義之)の3者間で「災害時の物資の供給及び一時保管等に関する協定」を締結したことも発表されました。
アスクルは物流センターにおける最先端技術の活用や高度自動化を今後も積極的に推進し、企業価値のさらなる向上に努めるとともに、地域住民と共生しながら地域に貢献する物流センターを目指していくとしています。
関東DCの特徴
1.ロングテール商品を集約し、配送費比率の低減を実現
関東DCは、アスクルの中期的な物流戦略において重要なミッションを担う東日本の基幹センターであり、同社の11拠点目となる物流センターです。アスクルの物流拠点としては ASKUL関西DCに次ぐ2番目の賃借面積を持つ大規模物流センターで、事業所向けEC「ASKUL」と一般消費者向けEC「LOHACO」双方の物流を担当します。
このセンターにロングテール商品を集約することで、様々な商品を1箱にまとめて配送することが可能となり、箱単価を向上させることで配送費比率の低減を図る計画です。関東DCの稼働により、高頻度商品とロングテール商品の翌日配送の両立が実現し、現在AVC関西から出荷しているロングテール商品の東日本出荷分を本センターに切り替えることで、東日本の顧客への輸配送距離を短縮し、ロングテール商品も"明日来る"サービスの実現を目指しているとのことです。
2.高度自動化、高効率化を実現
アスクルは人手不足が進む中でも高い生産効率を実現するため、従来センターで培った知見や最新技術を活用した物流設備を導入し、高度自動化を進めています。関東DCでは従来センターのコンベア設備に加え、近年国内でも導入が進んでいるAGV(Automatic Guided Vehicle、自動搬送ロボット)を積極的に導入することで、さらなる高度自動化と高効率化を実現する予定だとしています。
3.駅や高速ICに近くアクセスしやすい「好立地」、早期復旧が可能な免震構造、健康に働ける「環境」
関東DCは上尾駅から徒歩圏であることに加え、圏央道、東北自動車道、首都高の3つの高速道路へ容易にアクセスが可能であり、関東エリアから東北エリアまでを網羅できる優れた立地にあります。また、本センターは早期復旧が可能な免震構造を採用しているほか、空調設備として暑さ・寒さ対策にスポットエアコンを多数導入しており、労働環境に配慮した施設設計となっています。さらに、働くスタッフへ昼食を無償で提供するなど、健やかに働ける環境づくりにも努めているとのことです。
4.使用済みクリアホルダー由来の再生材を活用した折りたたみコンテナを初めて導入
アスクルでは2022年4月より使用済みクリアホルダーを再資源化する「アスクル資源循環プラットフォーム」の取り組みを始動し、クリアホルダー由来の再生材を活用した様々なアスクルオリジナル商品やナショナルブランド商品での採用が進んでいます。関東DCではセンター内で使用する折りたたみコンテナの一部に、このクリアホルダー由来の再生材を約11%配合したものを導入しています。まずは11,500個から始め、導入率を増やしていく予定だとしています。

関東DCで導入した、新たな物流設備

アスクル初!搬送コンベアの代わりにAGV「Table-sorting system」を160台導入
同社では初めてトーヨーカネツ株式会社(Zhejiang Libiao Robotics社製)の自動仕分けAGV「Table-sorting system」を高頻度品のデジタルピッキングエリアで搬送コンベアの代わりに160台導入しました。搬送コンベアという固定ではない設備を導入することで、フレキシビリティを高めています。
「Table-sorting system」は高い柔軟性(物量に合わせて台数・面積を変化させ処理能力増減可能等)と機動力(故障時は当該AGVを取り除けば運用可能等)を持ち、今後使用しながら導入台数拡大や機能向上を進化させていく予定だとのことです。

GTPソリューション「PopPick」Ver.1.3を444台導入
株式会社ギークプラスの GTP(Goods To Person、ピッキングを担当する作業員のいる場所まで商品を運び、定点作業を実現する物流ソリューション)ソリューション「PopPick」最新AGVのVer.1.3を444台導入。ステーション数は28台設置しています。「PopPick」Ver.1.3の導入により、入荷の効率改善、さらなる保管と出荷効率向上を目指しているとのことです。

アスクル初!入荷自動搬送AGV「Carry Bee Dragon3」導入
入荷商品を保管場所まで搬送する工程を自動化するため、今回初めて愛知機械テクノシステム株式会社の6輪台車搬送AGV「Carry Bee Dragon3」を12台導入予定です。このAGVは6輪台車の下面に潜り込み台車前端をリフトアップして搬送することが可能で、本設備の導入により入荷場から保管場所までの何往復もの移動が不要となり、作業負担の低減につながるとしています。

日本初導入!フォーク付AMRで複数階層の工程間搬送を自動化
プラスオートメーション株式会社の工程間搬送ロボット「LUC-L1500V」1台を導入し、本年6月からPoCを実施予定とのことです。このAMRはエレベーターに乗り込み他階までの搬送が可能で、入荷や保管等の工程間搬送においてパレットを無人で搬送することで、従来ハンドリフトを使用した作業の効率化を実現します。この機構の導入は国内では初の試みとなります。
※LUC-L1500Vは高精度の3Dビジョンセンサーにより無人搬送を行います
災害時協定締結の背景
アスクルは2017年の物流センター火災の後、改めて万全な防災体制を整えることに加え、地域における物流センターの在り方を再検討しました。"地元の皆様に安全・安心な物流センターとして信頼いただき、地域に対して貢献していきたい"という想いを新たに、各物流拠点における自治体との災害時協定を順次締結してきたとのことです。
埼玉県上尾市内で運営する関東DCには飲料・食品や日用品などの生活必需品を潤沢に在庫していることや、災害時に市外から集まる支援物資の一時的な物資保管に活用できることから今回の協定締結に至ったとしています。災害発生時または発生するおそれがある場合は、上尾市の要請に応じて生活必需品等の物資の提供と物資の一時保管を行うことで、地域住民のライフラインとしての役割を果たしていく予定です。

左から、日本GLP帖佐社長、上尾市畠山市長、アスクル吉岡社長
防災協定概要
名称 | 災害時の物資の供給及び一時保管等に関する協定 |
締結者 | 上尾市、日本GLP、アスクル |
内容 | 大規模災害時、および発生するおそれがある場合における物資の提供と物資の一時保管 |
対象商品 | 飲料・食品、生活用品、衛生用品等 |
施設概要
名称: ASKUL関東DC(ディストリビューションセンター)
所在地: 埼玉県上尾市愛宕3丁目1番22号
稼動開始: 2025年6月(予定)
敷地面積: 45,922.36㎡
延床面積: 104,951.51㎡
建物階数: 5階建・免震構造

出典元: アスクル株式会社 プレスリリース