シニア層および高齢者向けのマーケティングリサーチに特化したコスモラボが、最新の調査結果を公開しました。

調査の要点

▶シニアの8割以上が「支出の増加」を実感
全体的な生活費に関する調査で、81.6%の回答者が「増えた」(62.6%)または「やや増えた」(19.0%)と返答しました。これは、食費や水道光熱費の高騰がシニア層の日常生活に影響を与えていることを示しています。

▶収入は変わらないが、3割は「減少」を経験
収入については「変わらない」(43.7%)が最も多いものの、「減った」(13.8%)および「やや減った」(17.2%)の合計は31.0%となっており、収入の二極化の傾向が見られます。

▶消費意欲は「旅行・レジャー」と「健康」に集中
今後の消費増加を希望する項目では、「旅行・レジャー」が40.8%を占め、次いで「健康と医療関連サービスや商品」が35.6%と、高まっています。生活必需品の支出が増える一方で、健康および精神的な豊かさを求める傾向が強まっています。

1. 1年前と比べて、生活全体の支出額はどうなったか(有効回答者数:174名)

シニアの大多数が支出増加を実感しています。「増えた」と「やや増えた」を合わせると81.6%に達し、「変わらない」(10.9%)、「やや減った」(3.5%)、「減った」(1.2%)、「わからない」(2.9%)は少数派となっています。

支出増加グラフ
支出の変化に関するグラフ

2. 1年前と比べて、生活全体の収入額はどうなったか(有効回答者数:174名)

収入の状況では「変わらない」が最多です。固定的な年金収入や安定した給与を持つシニア層がこれに寄与しています。特に「減った」と「やや減った」を合わせると、31.0%が減収を経験しており、これは年金調整や退職による影響が考えられます。「増えた」および「やや増えた」は23.5%と報告されています。

収入状況グラフ
収入の変化に関するグラフ

3. 1年前と比べて、支出が増えた項目(複数回答可)(有効回答者数:174名)

支出が大きく増加した項目は「食費」が78.7%、次いで「水道光熱費」が70.7%となり、基本的な生活費が顕著に上昇しました。「医療費」の33.3%増も見られ、健康管理に対する費用が重視されています。

支出増加グラフ
支出増加項目に関するグラフ

4. 1年前と比べて、支出が減った項目(複数回答可)(有効回答者数:174名)

「特にない」が40.2%と最多であり、支出削減に苦労しているシニアが多いことが浮き彫りになりました。減少した項目は「被服費」(26.4%)、次いで「娯楽・趣味費」(22.4%)、「交際費」(13.2%)となり、生活に必須でないものが削減されています。

支出減少グラフ
支出減少項目に関するグラフ

5. 今後増やしたい消費(複数回答可)(有効回答者数:174名)

今後の消費意向において「旅行・レジャー」が最も高く(40.8%)、ほかに「健康・医療関連サービスや商品」(35.6%)や「高品質な食品・飲料」(28.2%)が続いています。これらは質の高い生活を求める傾向を示しています。

未来の消費意向グラフ
今後の消費意向に関するグラフ

6. この1年で消費意識の変化(有効回答者数:174名)

消費意識の変化を感じた人は「変化があった」(46.0%)と「ややあった」(32.8%)を合わせると78.8%に達し、多くのシニアが消費に対する考えを再検討しています。これは物価上昇やCOVID-19による生活様式の変化によるものと考えられます。

消費意識の変化
消費意識の変化に関するグラフ

7. 消費意識の変化具体例(複数回答可)(有効回答者数:174名)

最も多かったのは「健康志向が高まった」(61.5%)で、「節約志向が高まった」(60.3%)がそれに続きます。健康を重視しつつ支出を管理するという相反する価値観が共存しています。

消費意識の変化の具体例
消費意識の変化の具体例に関するグラフ

全体的な評価

今回の調査結果からは、シニア層の消費習慣における2つの重要な変化が観察されました。生活コストの上昇により、81.6%にも上る回答者が支出の増加を実感しており、「食費」や「水道光熱費」の高騰が特に顕著です。これらは日常生活の基本的な支出で、シニア層の家計に大きな影響を与えています。

収入の面においては、「変わらない」との回答が43.7%を占める一方で、「減少」を経験した層も31.0%存在し、支出が増加する中で収入が横ばいまたは減少するという不均衡が見られ、多くのシニアが消費行動の見直しを迫られています。消費意識に変化があったと感じる人は78.8%に達しており、それを裏付けています。

将来の消費意向として「旅行・レジャー」や「健康関連商品」が注目されており、経済的制約を感じつつも生活の質と健康を重視する姿勢が垣間見えます。これらの結果は、シニア層が現状に適応しつつ長期的な視点で生活の設計を行おうとしている意欲を示しています。

今後のシニア消費市場では「必要なものに投資し、そうでないものは節約する」といった賢い消費判断が一般的になると予測されます。特に健康維持や生活の質向上に関連する分野では、価値を重視した消費の増大が期待されています。

調査の概要

◾️調査方法:オンライン調査
◾️調査地域:全国
◾️対象者:コスモラボのアンケートモニター
◾️回答者数:174
◾️調査対象期間:2025年2月25日

出典元: コスモラボ

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ