株式会社帝国データバンクの2024年2月企業倒産件数調査結果

株式会社帝国データバンクによる2024年2月の企業倒産の集計と詳細な分析が発表されました。本報告は、負債が1000万円以上の法的整理に基づいたものです。

<調査結果のまとめ>

  1. 2024年2月の倒産件数は768件(前年同月734件、4.6%の増加)に達しました。この数字は34カ月連続で前年を上回り、戦後最長記録を達成しています。2024年度の累計(2024年4月-2025年2月)は9195件となり、すでに2023年度(8881件)を超え、2013年度(1万102件)以来11年ぶりの1万件超えが予想されています。
  2. 負債総額は1672億8700万円(前年同月1361億6600万円、22.9%の増加)に達し、4カ月連続で前年同月を上回りました。「10億円以上50億円未満」の件数が前年から倍増し、全体に大きな影響を与えています。最高の負債額は、洋紙製造を行っていた丸住製紙株式会社の587億7500万円です。

<主要なポイント>

  1. 業種別に見ると、7業種中3業種が前年同月を上回りました。特に『サービス業』(前年同月165件→196件、18.8%増)が最多となり、過去10年間で2月としての最高件数を記録しました。
  2. 地域別では、9地域中7地域が前年同月を上回っています。特に『関東』(前年同月246件→256件、4.1%増)で、2024年度の累計では33府県が2023年度通年の倒産件数を上回っています。
  3. 「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」は37件となり、前年を下回る結果となりました。
  4. 「人手不足倒産」の2024年度の累計は308件で、2年連続300件を超えています。
  5. 「後継者難倒産」は42件とされ、その33.3%は「経営者の病気や死亡」に起因しています。
  6. 「物価高倒産」の2024年度累計は841件となり、2023年度の837件を上回りました。

集計期間:2025年2月1日~2月28日

発表日:2025年3月10日

集計対象:負債1000万円以上、法的整理による倒産


倒産主因別:『不況型倒産』が642件、34カ月連続で前年を上回る

主因別で見ると、「販売不振」が633件(前年同月583件、8.6%増)となっており、全体の82.4%(前年同月比3.0ポイント増)を占めています。「売掛金回収難」は前年同月の6件から1件にまで減少し、83.3%の減少となりました。「業界不振」は前年同月の6件から7件に増え、16.7%の増加です。こうした結果から不況型倒産は642件(前年同月596件、7.7%増)で、34カ月連続で前年を上回りました。

対照的に、コンプライアンス違反の「放漫経営」は前年同月比で減少し、前年の12件から11件に。「その他の経営計画の失敗」も前年の23件から19件に減少しました。

倒産態様別:「破産」は710件、2月として11年ぶりに700件超え

倒産態様別では、『清算型』倒産が742件(前年同月712件、4.2%増)となり、全体の96.6%を占めています。2024年度の累計は8949件で、2023年度の件数(8630件)を上回っています。『再生型』倒産は26件(前年同月22件、18.2%増)で、こちらも2カ月ぶりに前年を上回りました。

『清算型』倒産の「破産」は710件(前年同月687件、3.3%増)に達し、6か月連続で前年を上回りました。また、2月としては11年ぶりに700件を超える結果となりました。「特別清算」は32件(前年同月25件、28.0%増)と、こちらも3カ月ぶりに前年を上回りました。

『再生型』では、「民事再生法」が26件(前年同月22件、18.2%増)発生し、個人が17件、法人が9件となっています。

規模別:負債額規模の「10億円以上50億円未満」が前年から倍増

負債額の規模別では、「5000万円未満」が518件(前年同月408件、27.0%増)で最も多く、30カ月連続で前年同月を上回っています。「50億円以上100億円未満」と「100億円以上」の大型倒産がそれぞれ1件発生しましたが、中小零細規模の倒産が圧倒的に多い状況です。

資本金規模別では、『個人+1000万円未満』の倒産が590件(前年同月500件、18.0%増)と増加し、全体の71.1%を占めています。

業歴別:『新興企業』は241件、36カ月連続で前年を上回る

業歴別に分析すると、「30年以上」が251件(前年同月251件)で最も多く、老舗企業(業歴100年以上)の倒産は14件(同15件、6.7%減)でした。

業歴10年未満の『新興企業』は241件(前年同月219件、10.0%増)となり、これも36カ月連続で前年を上回っています。業種別に見ると、「サービス業」が最も多く、件数は65件から68件へ、続いて「小売業」が61件から64件、「建設業」が44件から49件に増加しました。

地域別:9地域中7地域で前年同月を上回り、33府県が2023年度通年の件数を超える

地域分析では、9地域中7地域が前年同月を上回っています。最も件数が多かったのは『関東』(前年同月246件→256件、4.1%増)で、特に「埼玉」の倒産件数が増加しています。次いで『近畿』(同181件→185件、2.2%増)は29ヶ月連続で前年を上回っています。

特に増加率が高いのは『四国』(前年同月14件→18件、28.6%増)で、これには丸住製紙を含む3社が影響しています。次いで『北海道』(同15件→19件、26.7%増)も、3カ月ぶりに前年を上回りました。また『中部』(同85件→107件、25.9%増)は、2月として11年ぶりに100件を超えました。

2024年度累計(2024年4月-2025年2月)では、33府県が2023年度通年の件数を上回っています。

注目の倒産動向

ゼロゼロ(コロナ)融資後の倒産事情

ゼロゼロ(コロナ)融資後に明らかになった倒産件数は37件、前年を3カ月連続で下回る

ゼロゼロ(コロナ)融資後の倒産件数は、37件(前年同月比56件、33.9%の減少)と記録され、3カ月連続で前年を下回りました。業種別では、『建設業』と『製造業』がそれぞれ10件で最多となっています。負債額の規模別では「1億円以上5億円未満」が16件、全体の43.2%を占めています。2024年度累計(2024年4月-2025年2月)は630件と前年同期(618件)を超えています。

人手不足による倒産の動き

2024年度の累計は308件、2年連続300件超え

「人手不足倒産」は22件(前年同月比16件、37.5%の増加)で、3カ月連続で前年を上回る結果となりました。業種別では、「サービス業」が最も多く7件、「建設業」が続き5件となっています。2024年度累計(2024年4月-2025年2月)は308件となり、前年同期の264件を44件上回る結果が出ており、年度累計の件数は2年連続で300件を超えています。

後継者難による倒産の現状

後継者難の倒産は42件、要因として「経営者の病気や死亡」が33.3%を占める

「後継者難倒産」の件数は42件(前年同月比54件、22.2%減)とされ、3カ月連続で前年を下回りました。業種別では、「建設業」が最も多く13件、「サービス業」が10件で続いています。「経営者の病気や死亡」に起因する倒産は14件に達し、その割合は33.3%に及びます。2024年度の累計(2024年4月-2025年2月)は461件となり、前年同期の527件を66件下回っています。

物価高が影響する倒産事情

2024年度累計は841件、2023年度を上回る

「物価高倒産」は72件(前年同月71件、1.4%の増加)が記録され、2カ月連続で前年を上回りました。業種別では、「建設業」が最も多く20件、次に「製造業」が19件、「小売業」が16件となっています。2024年度の累計は841件となり、2023年度の837件を上回っています。

今後の見通し

連続増加は戦後最長、2024年度の倒産件数は11年ぶりの1万件台に

2025年2月の倒産件数は768件となり、前年(734件)から34件増加しました。この結果、2022年5月以降34カ月連続で前年を上回ることとなりました。過去最長の1990年10月から1993年4月の31カ月を超えてこの記録が続いています。倒産件数の増加ペースは緩やかになりつつありますが、物価高や賃上げ、人手不足、追加利上げなど、コスト増加のリスクが企業に影響を与えています。これにより、小規模企業を中心に、今後もゆるやかな増加が予想されます。

年度ベースで見ると、2024年度の累計(2024年4月-2025年2月)は9195件となり、2023年度の合計(8881件)を既に上回っています。特に3月は多くの企業にとって年度末となり、12月と並んで倒産件数が最も多い月です。そのため、今後も企業倒産が減少する要因は乏しく、2024年度は2013年度(1万102件)以来の1万件超えの可能性が高まっています。

負債総額は1672億8700万円(前年同月1361億6600万円)とされ、4カ月連続で前年同月を上回っています。実体経済に影響を与える大型案件がいくつか発生しており、今後の動向が注目されています。

出典元: 株式会社帝国データバンク

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ