個人の生活満足度と社会全体の生活の質向上を目指している、くふう生活者総合研究所(以下、くふう総研)が、2024年の夏に向けた買い物行動調査を実施しました。この年の夏は異常な暑さが続く中、アンケート調査とくふうカンパニーグループが運営する家計簿アプリ「Zaim」に登録されたレシートデータを分析し、厳しい高温が消費者の購買行動に与えた影響が明らかにされました。

■2024年夏の買い物行動に関する調査概要

1)アンケート結果から見える2024年夏の消費者行動と感情
- 日中の外出は控えられ、常に冷房が稼働するのが基本となりました。「疲れた」という声が多く聞かれています。

- 食料品購入時には「車を使う」「暑さを避けた時間に行動する」「まとめて買う」という傾向が強まっており、日焼け止めや暑さ対策商品への関心も高まっています。

2)猛暑の影響をレシートデータで分析

買い物時間の変化

- スーパーマーケットでの買い物は夕方17時以降に集中し、コンビニエンスストアでは「行きたいときに行く」傾向が見られました。
- ショッピングモールは貴重な避暑地として活用されていました。

 暑さ対策商品購入層の変化

- 男性用の日傘の需要が急増し、中高年層でもハンディファンの購入が広がっています。
- 暑さを避けるためにタクシーの利用も増加しました。

1)アンケート調査での猛暑に際する生活者の行動と感情

● 外出を控え、エアコンをつけっぱなしにすることが一般的になりました。

● 「夏を楽しむ」という余裕は失われ、「疲れた」という声が多くあがっています。

● 食料品に関しては「車を使う」「まとめて買う」「暑さを避ける時間帯に行動する」といった選択が際立っています。

● 暑さ対策として多くの冷感アイテムや日焼け対策商品が購入されています。

気象庁の報告によると、2024年の夏(6月から8月)にかけて全国の平均気温は過去最高を記録し、猛暑日の頻発が懸念されました。この猛暑の影響で、全国で観測された猛暑日数は昨年を大幅に上回り、過去最多の地点数を記録しました。

環境省による「熱中症(特別)警戒アラート」によって、テレビなどでのエアコン使用と不要不急の外出回避が強く呼びかけられた結果、多くの人々は日中の活動を控え、早朝や夜間に行動するようになりました。この影響で、日常の食料品の買い物方法や時間帯に大きな変化が見られました。

調査の結果、回答者の65.5%が「長い暑い時期で疲れた」と述べた一方、「夏を楽しく過ごせた」と回答した人はわずか7.5%でした。

【調査概要】
調査テーマ:2024年夏の買い物行動について
調査エリア:全国
調査対象者:①「トクバイ」ユーザー、サンプル数: 3,916名 ②「Zaim」ユーザー、サンプル数: 3,352名
調査期間:2024年10月18日(金)〜2024年10月21日(月)
調査方法:インターネットによる調査

2)2024年猛暑時の買い物行動のレシート分析

2-1)買い物時間の変化について

家計簿アプリ「Zaim」のレシートデータを扱った結果、猛暑日と通常の日での買い物時間に明らかな違いが見られました。

■スーパーマーケットでの買い物傾向は夕方に集中

東京と大阪、福岡の3都市を対象としたデータ分析の結果、猛暑日には正午から午後3時の最も暑い時間帯に行動が減少し、反対に夕方17時以降の買い物が増加していることが確認されました。特に福岡では猛暑日数が昨年の約2倍に増加したことから、夕方の買い物集中が顕著でした。

猛暑の持続によって、今後もスーパーでの食料品購入は夕方に集中する傾向が続く可能性があります。

*福岡の猛暑日は2023年は17日、2024年は39日

■コンビニエンスストアでは暑さの影響を受けず

コンビニエンスストアにおける買い物時間について調査した結果、地域による違いはあるものの、全体的には猛暑日でも大きな変化は見られず、必要な物を必要な時に購入する姿勢が顕著でした。

■ショッピングモールは貴重な涼しい場所として

前述のアンケートでは「公共施設やショッピングモールで涼しい場所を求める人が多くいる」との結果が示されています。特に福岡のデータが顕著でした。

午前中の買い物が減少し、正午からの買い物は昨年と比べて増加する傾向が見られました。特に午後の暑い時間帯には、涼しいショッピングモールで過ごす人々が多く見受けられ、東京や大阪でも同様の現象が確認されています。

ショッピングモールは、環境省と連携され「クーリングシェルター」としても指定されており、多くの家族が集まり食事や買い物を楽しむための重要な避暑スポットとなっています。

2-2)暑さ対策商品購入層の変化

「Zaim」ユーザーのレシートを基にした調査によると、暑さ対策商品としての日傘やハンディファンの購入が目立っています。

*商品の名称は当社の定義する「日傘」「ハンディファン」のみに限ります。

■男性向けの日傘の購入が増加

日傘に関する「Zaim」へのレシート登録数は、2024年全月で2023年を上回る結果が見られています。特に日差しが強くなる4月以降、前年に比べて購買数が約1.5倍に増加し、7月の購入数も1.2倍に達しました。

特に「子どもを持つ」家庭では昨年に対して購入数が約1.5倍に増加しており、自身の使用にとどまらず家族のための購入も増えている傾向があります。

かつては主に女性が使用していた日傘も、最近では男性や子どもに利用されるようになり、男性向けの商品も増加しています。レシートの登録データによると、女性は昨年比約1.2倍、男性は約1.7倍の伸びを示し、男性の購買が市場に与える影響が大きいと考えられています。

■中高年層でのハンディファンの普及

携帯扇風機である「ハンディファン」の購入数も2024年には2023年を上回り、6月には前年に比べて約1.7倍、7月もピーク時に約1.5倍の増加が見られました。

購入層は年齢を問わず拡大しており、流行した若年層に加え、中高年層にも広がりつつある様子が見受けられます。新しいタイプの製品が登場することで流通店舗が増え、中高年層が使いやすくなったことが影響していると推測されます。

2024年の夏に、猛暑を避けるために消費者の買い物行動が大きく変わったことが示されました。こうした行動の変化に応じて、今後の暑い日々を快適に過ごすための新たな商品やサービスが期待されます。

●「くふう生活者総合研究所」について

くふうカンパニーグループが実施している生活者向けサービスによって得られたデータや意見を分析し、個人の生活満足度と社会全体の生活の質向上に寄与する情報を提供しています。

出典元: くふう生活者総合研究所

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