物販にとどまらない!NFTやeチケットなどエンタメ業界を支援する「Shopify Entertainment Program」とは【参加レポート】
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2023年6月29日にShopify Japanは記者向けのオンライン説明会を開催。エンターテインメント業界向けコマース支援プログラム「Shopify Entertainment Program」(以下、本プログラム)に関する発表をしました。本記事では説明会で話された内容を解説していきます。

Shopifyがエンタメ業界を支援する理由

エンタメ業界の対象となるマーチャントは、インフルエンサーやクリエイターなどの個人と、ゲーム・ライブなどのエンタメ領域の法人の2つに分けられます。今回Shopifyが焦点を当てるのは個人ではなく法人です。法人を対象にする理由として、次のエンタメ業界のトレンドを4つ挙げていました。

・顧客接点がさまざまな形で拡大
デジタルネイティブ世代を中心に消費者とマーチャントとの接点が拡大しています。オフラインで行われるイベントチケットのデジタル化(eチケット)や、ライブ会場およびスタジアムで限定のNFTが配布されることなどが例として挙げられました。

・顧客との長期的な関係がより重要に
広告一辺倒で集客するビジネスモデルを継続することが難しくなっています。一人ひとりのお客様と長期的に付き合うことの重要性が増す中で、ファンとのつながりが深いエンタメ業界においてはこのトレンドに対して優位といえるのです。

・消費者ニーズの多様化
消費者にとって、従来のECサイトは物販が行われる場でしたが、ニーズの変化により、デジタルコンテンツの販売が求められています。例えば声優の音声データや写真集の電子ファイル化など、最新テクノロジーを活用することで販売できる商品の幅を広げることが可能になります。

・求められるフレキシビリティ
最適な場所・タイミングでの商品提供や受取といった消費者のニーズに柔軟に対応することが求められています。ECサイトとライブ会場で販売されるグッズの在庫連携や受取対応など、消費者のニーズは多様化しています。

エンタメ業界のDXを阻害する課題とShopifyが提供する解決策

エンタメ業界のDXが進まない課題として、

  1. コマースのソリューションが業界標準化されていないこと
  2. 老朽化されたシステムの利用により検討から実装までに時間がかかること
  3. エンタメとコマースを融合させたトータル設計のノウハウがないこと

の3つを挙げられていました。

Shopifyが本プログラムを提供することで上記3点の課題解決を目指すとのことです。では、具体的な提供内容について触れていきます。

顧客対応から商品販売まで一気通貫のソリューション

顧客対応から商品販売まで一気通貫のソリューション

顧客対応(上図上段)のフロント部分と商品販売(上図下段)のバックエンド部分を一気通貫でサポート。Shopifyで構築されたサイト内にファンクラブを管理することや物販以外のデジタルコンテンツの販売など、エンタメ業界に適したソリューションが提供されます。

YouTubeとの連携によりファンにシームレスな購買体験が提供可能です。本記事公開時点で、日本国内でYouTubeと連携できるECプラットフォームはShopifyとSUZURIに限られています。動画・ライブ・Shortなど、YouTubeを介して顧客接点を拡大できる点は大きな強みといえるでしょう。

ShopifyとYouTubeの連携で実現できること

特に2023年5月から利用できるようになったShortのショッピング機能について、「10分の横長動画を作成するには、撮影から編集までに要する時間を考えるとハードルが高かった。一方、長くとも30秒尺が適切といわれるShortでは、コンテンツ制作にかかる時間が大幅に減り、運用が楽に。実店舗内で撮影した動画をShortにアップすることで、ショッピング体験が提供可能になる」という点を強調していました。

Shopify×エンタメの顧客接点

さらに、ライブ会場やポップアップストアなどのリアルな空間において、来場前・会場・来場後を包括的にサポート。消費者は来場前にECサイトでチケットやグッズを購入し、各々に発行されたユニークコードにより入場時の提示や会場でのグッズ受取を可能に。会場で売り切れたグッズは後日ECサイトでも購入するといった、ゼロベースからシステムを構築すると時間・コストともに掛かる運用を、Shopifyのアプリエコシステムにより解決できるのです。

エンタメに適したプラットフォームShopify

Shopifyとエンタメ

上記の4つのエンタメ業界に必要とされるプラットフォームの特徴をすべて網羅するとなると、企画から実装まで1年以上掛かってしまうと話されていました。スピーディにビジネスを始めたい中小企業から大手企業まで、クイックにECサイトを立ち上げることができるそうです。

SNSとの連携や、必要性に応じて機能を足したり外したりできるアプリのエコシステム、物販だけではないさまざまな商品展開など、業界特有の課題を解決できるでしょう。

Shopify Entertainment Programを支えるパートナー企業

今回、この「Shopify Entertainment Program」を支える企業として6社のパートナー企業が名を連ねていました。企業ごとにそれぞれが強みを持ち、得意とする支援の領域が異なるとのことです。

  • コマースメディア株式会社
  • 株式会社 電通プロモーションプラス
  • 株式会社TwoGate
  • トランスコスモス株式会社
  • 株式会社フィードフォース
  • playground 株式会社

(五十音順)

説明会に参加して:消費者のニーズに合わせたテクノロジーの提供

ポストコロナになり、人流は回復し、屋外で行われるイベントは2019年と比べて遜色のない開催回数になっていくと思われます。コロナ禍にECが利用される機会が増え、さまざまな技術が進化しました。小売店やポップアップストアのように、物販の領域に注視された機能の拡張が進められた中で、今回の説明会はエンタメの領域に焦点を当てた内容であり、新鮮さを感じられるものでした。

NFTの配布・売買やeチケットの販売に加え、デジタルコンテンツの取り扱いなど、従来はそれぞれ異なるプラットフォームを活用していたために、消費者の購買体験は良いものとは言えなかったはずです。これが単一のECサイト上で提供可能になると、より「推し」とファンのエンゲージメントが深まる世界が予見できます。

イベントの来場前・会場・来場後を1つにつなぐECサイトが当然になる世界が訪れるのは少し先の話になりそうですが、着実にエンタメ業界におけるECの形が変わると本説明会に参加して感じました。

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