S-CANVAS、EC事業者向けAI販売エージェント「nattoku.ai」をリリース プロ販売員の接客を再現

S-CANVAS株式会社(東京都中央区、代表取締役:中村元俊)が、EC事業者を対象としたAI販売エージェント「nattoku.ai」をリリースしたことを発表しました。

同サービスは、熟練した販売スタッフが経験値と直感によって実践してきた「顧客の購買意欲を高めていくプロセス」を分析・体系化し、再現可能なフレームワークとしてAIに組み込んだEC向けAI販売エージェントとなっています。ECサイトのURLを登録するだけで、この「売れる接客」をその日から導入することが可能となっているとのことです。

ECサイトには「販売スタッフ」が不在という課題

国内のEC市場規模は22兆円を突破し拡大を続けている一方で、平均コンバージョン率は1〜3%、カート放棄率は70〜85%という状況が続いています。この数値は10年以上にわたってほぼ変化していないとされています。これに対し、販売スタッフが対応する実店舗でのコンバージョン率は約20%となっています(日本トータルテレマーケティング株式会社調べ)。この大きな差を生み出している要因は「販売スタッフ」の存在の有無だと同社は指摘しています。

顧客は商品スペックやレビューを確認していても、「本当に自分に適しているのか」という納得感を得られないまま離脱しているケースが多く見られます。実店舗では販売スタッフが築いていたこの「納得感」が、ECサイトには欠けているのです。nattoku.aiは、この構造的な課題を解決するためのプロダクトとして開発されたとのことです。

nattoku.aiは「プロ販売員の科学」を実現

同社では、プロの販売スタッフが経験と直感で実施してきた「顧客の購買意欲を育成するプロセス」を解析し、構造的なフレームワークとして体系化することに成功したとしています。

そのプロセスは以下の5段階で構成されています。

  1. 発見:顧客自身がまだ言語化できていない「迷いの正体」を把握する
  2. 整理:比較の視点と判断基準を明確化し、選択肢を絞り込む
  3. 提案:「なぜこの商品なのか」を根拠とともに提示する
  4. 納得:顧客の中で「これで良い」という確信を生み出す
  5. 信頼:購入後も「また相談したい」と感じてもらえる信頼関係を構築する

しかしながら、実際の販売接客においてはこの5段階を順番通りに進むわけではないと同社は説明しています。顧客の置かれた状況、価値観、迷いのタイプに応じて、会話は無数に分岐していくとされています。

例えば以下のような状況が挙げられています。

  • 失敗への恐怖:「以前ネットで購入した化粧水が肌に合わず、結局使えなかった」
  • 自分との適合性:「同じ成分のプロテインが20種類以上ある。どれが自分に最適なのか」
  • 確信を持てない:「他のブランドも同じような価格帯とレビュー評価。どちらが良いのか」
  • 購入を急がない:「もう少し調べてから決めよう」
  • 意思決定への不安:「誰かに『あなたに合うと思います』と後押ししてほしい」

こうした状況ごとに、最適な問いかけ方、情報の整理方法、提案の順序はすべて異なってくるとのことです。

nattoku.aiには、この分岐を制御する数百以上の販売分岐ロジックが実装されています。プロの販売スタッフであれば長年の経験と直感で瞬時に判断していたこの「場面ごとの最適解」を、構造化されたアルゴリズムとしてAIが実行します。そのため、属人的であった「売れる接客」が、品質を維持したままスケール可能になるとしています。

単なる「質問に回答する」ツールではなく、「顧客を納得へと導く」販売エージェントである点が、nattoku.aiの特徴となっています。

実証データによる効果の検証

実証データ

参照データ規模:n=279 / 会話データ数=6,013

同社は「納得の科学」が数字によって証明されていることを示す実証データを公開しています。

なぜ今、EC事業者に「AI販売エージェント」が必要なのか

AI販売エージェントの必要性

ECにおける「接客不在」は10年来の構造的な課題ですが、現在この問題はさらに深刻化しつつあると同社は警鐘を鳴らしています。

ChatGPTが「商品検索から比較、購入まで」を会話の中で完結させる機能を実装し、GoogleもAIによるショッピング体験を本格展開させています。消費者が商品を探す起点そのものが、ECサイトからAIプラットフォームへと移行し始めているのが現状です。

この変化がEC事業者にもたらすのは、二重の脅威だと同社は分析しています。

  • 第一に、広告費を投じて構築してきた集客導線がAIプラットフォームに吸い上げられ、自社ECが「APIの向こう側」、つまり消費者から見えない裏方的存在に追いやられること
  • 第二に、価格やスペックのみで比較される「コモディティ化」が進行し、ブランドの世界観や商品背景にあるストーリーがAI検索の過程で削ぎ落とされること

この環境下でEC事業者が生き残るためには、「AIプラットフォームでは代替不可能な顧客体験」を自社で保有する必要があるとされています。汎用AIが実施するのは「情報の整理と提示」ですが、nattoku.aiが実施するのは「顧客の迷いを理解し、納得を育成する接客」です。顧客一人ひとりの状況に寄り添い、ブランドの文脈の中で「なぜこの商品があなたに適しているのか」を語りかけます。この体験は、汎用的なAIショッピング機能では再現できないものだとしています。

接客から生み出されるゼロパーティデータという経営資産

AI検索やAgentic Commerceが普及し、消費者がAIプラットフォーム上で購買を完結させるようになると、ECサイトからは顧客の意思決定プロセスが見えなくなります。何に迷い、何と比較し、何が決め手となったのか。これまで行動ログやアクセス解析で部分的にでも把握できていた情報が失われることになります。

nattoku.aiの接客では、顧客自身が自発的にこれらの情報を語ります。これはCookieやアンケートでは取得困難な、質の高いゼロパーティデータとなります。自社でこのデータを収集・蓄積できることは、UI改善、商品開発、CRM施策を推進する経営資産になると同社は強調しています。

今後の展開について

今後はLINE以外のメッセージングチャネルやWeb接客への対応拡大、主要ECプラットフォームとの連携強化、および各種機能の拡充を予定しているとのことです。さらに、実店舗との連携も視野に入れたAI販売プラットフォームの構築を目指し、人々の「選択と体験の質を高め、経済活動の質を向上させる」というミッションの実現に向けて、プロダクトの進化を加速させていく方針です。

会社概要

会社名:株式会社S-CANVAS
所在地:東京都中央区銀座1-12-4N&E BLD.7
代表者:代表取締役 中村 元俊
設立:2023年8月
事業内容:EC事業者向けAI販売エージェント「nattoku.ai」の開発・運営

出典元:S-CANVAS株式会社

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