食品業界の年間1000億円コスト削減へ!グラファーが「Graffer Databridge」クローズドβ版提供開始

生成AI活用による企業変革を実現する株式会社グラファーが、食品業界における大きな課題となっている食品規格書のデータ連携問題を解決するための新サービス「Graffer Databridge」のクローズドβ版提供を開始したことが発表しました。このサービスは、食品業界で年間推計1,000億円規模のコスト要因となっているデータ連携の非効率性を解消することを目指しています。

同サービスでは、AIエージェントがPDFやExcel形式などの非構造データを自動で読み取り、取引先ごとに異なる指定フォーマットに即時変換することでデータ連携を高度化します。まずは食品業界向けに提供が開始され、将来的には同様の課題を抱えるECモールやHR領域への拡大も計画されているとのことです。

サービス提供の背景

食品業界では、メーカーから卸売企業、さらに小売企業へと商品情報を連携するプロセスにおいて、業務効率化が重要な課題となっています。経済産業省の調査によると、商品情報の授受には年間30万人月(EC掲載などの実務を含めると年間82万人月)の工数が必要であり、これは概算で1,000億円規模のコストに相当すると考えられています。

この問題の背景には、小売企業が指定する「食品規格書」のフォーマットが各社で異なっており、卸売企業がメーカーから受け取った情報を手作業で転記し、目視でチェックしているという現状があります。特にExcel形式の帳票のような非構造データからの転記作業は労働集約的であり、ミスを引き起こす原因ともなっています。

現在、官民連携のもと「産業横断レジストリ」の構築が進められており、商品データの参照元を一元化することで情報連携の効率化が図られています。しかし、各社の独自フォーマットに変換する後工程の変換作業は依然として課題として残されています。

このような業界特有の問題を解決するため、株式会社グラファーはAIエージェントが各社独自のフォーマット形式を解釈し、任意の形式に即座に変換する「Graffer Databridge」を開発しました。このサービスにより、データの授受において発生する構造化・形式変換作業を最小限に抑え、データ流通を円滑にすることで顧客のビジネス価値拡大に貢献することを目指しているとのことです。

サービスの概要

「Graffer Databridge」は、AIエージェントが企業間のデータ連携を高度化するサービスです。第一弾として、食品業界向けに提供が開始されます。

このサービスでは、まずメーカーが独自フォーマットのPDFやExcel形式の帳票をアップロードすると、AIエージェントが内容を自動で読み取り自動転記することで、データ入力の負担を最小限に抑えるサポートを行います。次に、卸売企業側では、メーカーから提出されたデータをもとに、ボタン一つで取引先である小売企業が指定する食品規格書へ変換・出力することができます。

これまで人の手で行われていた非構造データの転記、抜け漏れチェック、修正依頼といった一連の作業をAIエージェントが代行・支援することで、データ連携に関わる業務効率を向上させる仕組みとなっています。

「Graffer Databridge」は当面の間、クローズドβ版として一部の企業にのみ提供されるとのことです。今後のサービス提供時期等については、決定次第発表される予定です。

サービス導入による効果

「Graffer Databridge」は、食品規格書を提出するメーカーと転記・集約する卸売企業の双方の業務効率化に貢献し、商流全体のデータ連携をスムーズにします。

メーカー(食品規格書を提出する側)の利点

1. これまで機械化できなかった転記作業を自動化

メーカーが卸売企業や小売企業に対して商品情報を提出する際、自社の独自フォーマットの規格書(PDF、Excel形式の帳票等)をウェブフォームにアップロードするだけで、AIエージェントが内容を解析します。フォームの項目に合わせて「cmからmm」といった単位の自動変換なども含めて内容を編集し、自動で転記します。これにより、これまで手作業で行っていた入力の手間が大幅に削減されます。

2. チャット機能によるコミュニケーションコストの削減

万が一データに不備があった場合も、メールや電話ではなく、システム上のチャット機能を通じて卸売企業から修正依頼が届きます。修正履歴がシステム上に残るため、確認作業やコミュニケーションの負担が軽減されます。

卸売企業(食品規格書を転記・集約する側)の利点

1. ボタンひとつで、あらゆるフォーマットに即時変換

メーカーから提出されたデータをもとに、生成AIが取引先である小売企業指定の食品規格書(PDF)や、社内システム用のCSVなど、任意のフォーマットへボタン一つで即時変換・出力します。これにより、これまで人手で対応していた非構造データからの転記作業が不要になります。

2. データ品質の向上と確認作業の削減

メーカーからのデータ提出時に、システムが抜け漏れや矛盾を自動検知します。これにより、手戻りや確認作業が大幅に削減され、データの品質向上につながります。

3. 案件管理・データ管理の効率化

これまでメールやExcel形式の帳票で分散しがちだったデータ連携の進捗や、商品情報のバージョンをシステム上で一元管理できるようになります。これにより、案件管理やコミュニケーションの効率化が実現します。

今後の展望

株式会社グラファーは、「Graffer Databridge」を食品業界に提供することで得られた知見を活かし、同様の課題を抱える他業界への横展開を推進していく方針とのことです。ExcelやPDF形式の帳票でのデータ授受が慣習となっているECモール、HR(人材派遣)、製造、アパレルといった領域に対し、各業界に特化したソリューションを開発・提供し、日本全体の生産性向上に貢献することを目指しています。

株式会社グラファーについて

グラファーは、「プロダクトの力で 行動を変え 社会を変える」をミッションに掲げ、企業・行政機関における業務のデジタル変革を手掛けるスタートアップ企業です。生成AIの活用支援を通じて企業変革を実現する「Graffer AI Solution」や、市民と行政職員の利便性を追求したデジタル行政プラットフォームを提供しています。

同社の行政デジタルプラットフォームは全国200以上の自治体が導入しており、政令指定都市での導入率は70%に達しています。2021年10月には経済産業省が主導するスタートアップ支援プログラムである「J-Startup2021」に選定されました。

企業情報

所在地:東京都渋谷区千駄ケ谷1-5-8

代表者:石井 大地

設立:2017年7月18日

資本金:1,544,977,927円(資本準備金含む)

出典元:株式会社グラファー プレスリリース

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