博報堂生活総合研究所が発表、2025年11月の消費意欲指数は46.3点 物価高影響と年末年始の節約意識高まる調査結果

株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所が、毎月実施している消費に関する調査「来月の消費予報」の結果を発表しました。2025年11月の消費意欲指数は46.3点となり、前月比では+1.0ポイントと上昇、前年比では+0.1ポイントと横ばいの結果となっています。

今回の調査では、出費の予定は増える一方で、物価高の影響と年末年始に向けた節約意識が高まっていることが明らかになりました。また、消費意向については外出・食関連が前月比で減少する傾向が見られています。

同研究所の調査は、20~69歳の男女1,500名を対象に「来月の消費意欲」を点数化してもらうなど、消費の先行きに関するデータを収集したもので、10月2日から6日にかけて実施されました。

出費の予定は増えるも、物価高の影響と年末年始に向けた節約意識が高まる

11月は例年、消費意欲指数が前月から微増する傾向があり、今年も前月比で+1.0ポイントと上昇しています。前年比では+0.1ポイントとほぼ横ばいとなっています。

消費意欲指数の理由(自由回答)を分析すると、前月と比較して消費にポジティブな回答(10月341件→11月349件)とネガティブな回答(10月865件→11月862件)はともに横ばいでした。詳細に見ると、ポジティブな回答では「(季節もの以外で)出費の予定・欲しいものがある」が10月の151件から11月は172件へと増加しています。

一方、ネガティブな回答では「年末年始のために我慢」が10月の10件から11月は44件へと大幅に増加し、「欲しいものがない・すでに買った」は10月の303件から11月は271件へと減少しています。

前年との比較では、消費にポジティブな回答(2024年11月344件→2025年11月349件)、ネガティブな回答(2024年11月877件→2025年11月862件)はともにほぼ横ばいとなっています。具体的には、ポジティブな回答で「(季節もの以外で)出費の予定・欲しいものがある」が2024年11月の138件から2025年11月は172件へと増加し、「秋・冬物の購入」は2024年11月の74件から2025年11月は59件へとやや減少しています。

ネガティブな回答では「金欠・収入減などで余裕がない」が2024年11月の71件から2025年11月は97件へと増加傾向にあります。また、「物価高・値上げ・円安」に関する言及は、前月まで続いていた微減傾向から一転し、前月比・前年比ともに増加しました(2024年11月146件→2025年10月112件→2025年11月179件)。

このように、出費の予定や欲しいものがあるといった消費意欲は見られるものの、生活者が感じる物価高の影響が再燃していることや、年末年始に向けた引き締め意識が高まっていることから、昨年同様、11月の消費意欲は高まりきらない状況が予想されます。

※10月には食品や飲料を中心に3,000品目以上が値上げされており、3,000品目を超える値上げは今年4月以来となっています。

消費意向は外出・食関連で前月比減少、「書籍・エンタメ」のみ前年比増加

調査によると、「特に買いたいモノ・利用したいサービスがある」と回答した人の割合は28.1%で、前月比では-1.2ポイントと低下し、前年比では-0.2ポイントと横ばいでした。男女別に前月比を見ると、男性は27.8ポイント(前月比+1.9ポイント)、女性は28.4ポイント(前月比-4.4ポイント)と、女性での低下が顕著となっています。

16カテゴリー別の消費意向を分析すると、前月比では「外食」「旅行」「食品」「レジャー」が20件以上減少しています。特に女性においては、「外食」「食品」「書籍・エンタメ」が20件以上減少しました。一方、前年比では「書籍・エンタメ」が20件以上増加しており、唯一の増加カテゴリーとなっています。

通常、11月は外出や食関連といった秋らしいカテゴリーで消費意向が高まる傾向がありますが、今回の調査では前月から減少しており、消費意向が伸び悩んでいる様子がうかがえます。

これらの結果から、2025年11月の消費動向については、出費の予定はあるものの物価高の影響や年末年始に向けた節約意識が強まっていることで、全体的な消費意欲は抑制される傾向にあると考えられます。特に女性の消費意向の低下が全体の傾向に影響している点が注目されます。

博報堂生活総合研究所では、毎月こうした消費意欲に関する調査を実施し、消費動向の変化を継続的に分析しているとのことです。今回の調査結果は、企業のマーケティング戦略や商品開発において重要な指標となるでしょう。

今回の消費予報調査から見える傾向として、生活者の消費意欲は物価高や年末年始の出費を見据えた節約意識に左右されており、企業としては、これらの消費者心理を踏まえた訴求が今後重要になってくると考えられます。特に、書籍・エンタメ分野の前年比増加は、他のカテゴリーと比較して注目すべき点です。

消費者の財布の紐が固くなる年末に向けて、各企業がどのような戦略を打ち出していくのか、今後の展開にも注目が集まります。特に食品や外食産業においては、値上げによる消費者離れを防ぐための付加価値提供が課題となりそうです。

博報堂生活総合研究所の調査データは、これからの消費トレンド予測や企業の戦略立案に役立つ重要な情報となっています。消費者の心理変化や行動変容を捉えることが、今後のビジネス展開において一層重要になっていくでしょう。

出典元:博報堂生活総合研究所

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