
ルームクリップ株式会社は、同社が運営する住生活に特化した日本最大級のソーシャルプラットフォーム「RoomClip」から収集したデータをもとに、「夏の暮らしの新スタンダード」に関する調査レポートを発表したことが分かりました。このレポートは、ルームクリップ株式会社が設置する「RoomClip住文化研究所」によって投稿写真や検索キーワードなどのデータを分析し、現代の夏の住まい方における新たな傾向を明らかにしています。
レポート発表の背景
現在の日本の夏は、記録的な猛暑と電気代の高騰という二つの大きな課題に直面しています。このような状況下で、多くの人々が「夏をいかに快適に過ごすか」という課題に取り組んでいます。
RoomClip住文化研究所では、プラットフォーム上に集まった膨大な投稿データを分析し、今夏の生活様式の変化を調査したとのことです。その結果、生活者たちは日用品から住宅本体に至るまで、4つの段階に分類できる多層的なアプローチで夏の課題を解決し、暮らしの質を向上させていることが判明しています。
今回のレポートでは、各アプローチにおける実例やデータを提示しながら、人々が編み出した夏の住まい方の知恵と、そこから見える新たな価値観を分析しています。
主なトピックス
恒例化した日本の猛暑
- 2025年8月30日には、関東から東海地方にかけて複数地点で気温が40℃を超え、今夏の40℃超えの日数は8回となり、過去最多を記録したとのことです。
- NHKが気象庁のデータを基に算出した結果によると、日本の夏の平均気温は基準値より2.3℃高く、記録的な暑さとなっています。
- 気象庁の8月から10月にかけての予報では、今後も全国的に平年を上回る高温が続く見込みです。
暑さ対策への関心の高まり
- 2025年と2020年を比較すると、「暑さ対策」というワードを含むコメントは6.09倍、検索回数は3.18倍に増加しており、猛暑対策への関心の高まりが顕著であると報告されています。
暮らしを快適にする「4つのステップ」
- ステップ1:日用品など手軽なアイテムによる工夫
- 冷感マットやガーゼケットなどの冷感寝具の活用
- 涼しげな印象を与えるカラーのインテリア選び
- ペパーミントなどの爽やかな香りのキャンドルを用いた空間演出
- ステップ2:「複合冷房」による家電を併用した工夫
- サーキュレーター:エアコンと組み合わせることで空気循環を効率化し、冷房効果を高める使い方。特にキッチンや湿度が高い場所での活用例が多く見られるとのことです。
- シーリングファン:階段や吹き抜けなどの空間で暖かい空気をかく拌し、冷暖房効率を向上させる役割を担います。季節を問わず一年中活用できる点も魅力です。
- スポットクーラー:特定のエリアをピンポイントで冷やすことができる移動式冷却機。特に寝室やサンルームなど、局所的に冷房効果が欲しい場所での導入が進んでいるようです。
- ステップ3:DIYやリフォームによる設備のアップグレード
- DIY:プラスチックダンボール(プラダン)を使った簡易内窓の作成や、吹き抜けに仕切り板を設置するなど、熱の出入りを抑えるための創意工夫が見られるとレポートは指摘しています。
- リフォーム:内窓(二重窓)の設置や、それに伴う補助金の活用によるコスト軽減策が人気だということです。このような改修は冷房効率の向上だけでなく、防音性の向上や結露防止、光熱費削減にも効果をもたらしています。
- ステップ4:住まいそのものの性能を重視する家づくり
- RoomClipユーザーを対象としたアンケート調査によると、ZEH(ゼロエネルギー住宅)に対する関心は非常に高く、回答者の87.7%が前向きな姿勢を示していることが明らかになりました。特に「光熱費の削減」(81.5%)と「年中快適に過ごせること」(71.4%)への期待値が高い結果となったそうです。
- 投稿データからは、断熱・高気密構造やセルロースファイバーを用いた断熱工法、ダブル断熱と全館空調を組み合わせた住宅など、実際に快適さを体感できる住まいの実例が報告されています。
総括・考察
多層的で多様な暮らしの知恵が、次のイノベーションのヒントに
今回のレポートでは、「猛暑」と「電気代高騰」という現代の二大課題に対して、生活者たちが日用品のような手軽なアイテムから住宅そのものに至るまで、多層的なアプローチで暮らしを豊かにしていく姿が明らかになったとのことです。ここには、一時的な対策や小さな工夫にとどまらず、長期的視点での大きな変革へとアプローチの幅を広げていくという、現代の生活者ならではの価値観が見て取れます。
このような多層的かつ多様な暮らしの知恵は、今後のイノベーションのヒントとなり、生活者と住まいに関わるすべての企業が共に暮らしの質を向上させるための、新たな対話の起点となることが期待されています。
出典元:ルームクリップ株式会社 プレスリリース