
株式会社博報堂のシンクタンクである博報堂生活総合研究所は、毎月実施している「来月の消費予報」の最新結果を発表されました。2025年9月の消費意欲指数は46.7点となり、前月比では+0.1ptと横ばいでしたが、前年比では+0.9ptとやや上昇していることが明らかになりました。夏休みシーズン後の節約意識が見られるものの、酷暑や物価高の影響は一旦落ち着いており、食関連カテゴリーでは男性を中心に消費意欲の高まりが見られます。
博報堂生活総合研究所では、20~69歳の男女1,500名を対象に「来月の消費意欲」を点数化してもらうなど、消費の先行きに関する調査を毎月実施されています。その結果を「来月の消費予報」として定期的に発表されているものです。今回の調査は8月4日から6日にかけて実施されました。
夏休みの反動で節約意識がみられるも、酷暑や物価高の影響は一旦落ち着く
例年9月は、夏休みや帰省シーズンの8月に比べて消費意欲指数が低下する傾向にあります。しかし今年は、前月の数値が2012年の調査開始以来8月として最も低い値だったため、前月比で+0.1ptと横ばいとなりました。前年比では+0.9ptとやや上昇しています。
消費意欲指数の理由(自由回答)を分析すると、前月と比較して、消費にポジティブな回答は減少(8月371件→9月296件)し、ネガティブな回答は増加(8月851件→9月907件)しました。具体的には、ポジティブな回答では「季節的な意欲向上(夏休み・連休があるからなど)」が8月の124件から9月は56件へと減少し、「金銭的に余裕がある(ボーナスなどで)」も8月の43件から9月は9件へと大きく減少しています。
一方、ネガティブな回答では「欲しいものがない・意欲がない」が8月の338件から9月は402件へと増加し、「今月までに多く使った反動で節約」も8月の32件から9月は95件へと大幅に増加しました。ただし「暑い季節は出かけたくない」という回答は8月の117件から9月は35件へと減少しており、酷暑の影響が和らいできていることがうかがえます。
前年との比較では、消費にポジティブな回答(24年9月291件→25年9月296件)、ネガティブな回答(24年9月888件→25年9月907件)はともにほぼ横ばいでした。ネガティブな回答では「金銭的な理由で節約・我慢」が24年9月の169件から25年9月は196件とやや増加した程度で、ポジティブな回答、ネガティブな回答ともに、大幅な増減を示した項目はありませんでした。
注目すべき点として、「物価高・値上げ・円安」に関する言及は、微減傾向となった先月から横ばいで推移しており、前年と比較してもそれほど大きな変化は見られませんでした(24年9月110件→25年7月152件→25年8月126件→25年9月129件)。
これらのデータから、夏休みや帰省シーズンを終えたことによる9月特有の節約意識は見られるものの、物価高の影響が小康状態を保っていることもあり、消費意欲は前年よりもやや上向きになることが予想されます。
消費意向は幅広いカテゴリーで前月比減少、食関連など男性を中心に前年比増加
「特に買いたいモノ・利用したいサービスがある」と回答した人の割合は24.9%となり、前月比では-2.8ptと低下しましたが、前年比では+1.7ptと上昇しました。前年比を男女別で見ると、男性が+3.0pt、女性が+0.3ptと、特に男性の上昇が顕著である点が特徴的です。
16カテゴリー別の消費意向を分析すると、前月比では「レジャー」「飲料」「書籍・エンタメ」「旅行」「ファッション」「家電・AV」が20件以上減少しています。これは夏休みシーズン終了による消費意欲の全体的な低下を反映していると考えられます。
一方、前年比では「外食」「食品」「飲料」が20件以上増加しており、食関連カテゴリーでの消費意欲の高まりが見られます。特に前年比を男女別に見ると、「外食(男性:+31件、女性:+2件)」など、男性の消費意向の増加が目立ちます。
これらのデータから、夏休みや帰省シーズンを終えた9月の消費意向は前月から幅広いカテゴリーで減少傾向にあるものの、前年比では、男性を中心に食関連のカテゴリーで意向が高まる見通しであることが分かります。
博報堂生活総合研究所の分析によれば、これらの結果は、季節的な要因による一時的な消費意欲の低下と、徐々に回復しつつある消費マインドの両面を示しているといえます。物価高の影響が一時的に落ち着いている現状は、消費者にとってやや前向きな材料になっている可能性があります。
また、男性の食関連カテゴリーでの消費意欲の高まりは、昨年と比較して外食産業などにとっては好材料となるでしょう。一方で、全体的な節約志向は依然として根強く、消費者の慎重な購買姿勢は続くと予想されます。
企業にとっては、このような消費者心理の変化を捉え、特に男性向けの食関連商品・サービスのマーケティング強化や、価格に敏感な消費者に対する価値訴求が重要になってくると考えられます。節約志向が続く中でも、消費者に選ばれる商品・サービスの提供が求められる時期といえるでしょう。
博報堂生活総合研究所の調査は、消費者の心理や行動の変化を捉える貴重なデータとして、企業のマーケティング戦略や商品開発に活用されています。今後も毎月の消費予報を通じて、消費動向の変化を継続的に観測していくとのことです。
出典元: 株式会社博報堂 博報堂生活総合研究所 プレスリリース