米国でデミニミス制度廃止、大統領令を発表

米国政府は2025年7月30日、「すべての国に対する免税措置(デミニミス)待遇の停止」を掲げる大統領令を公表しました。これにより、8月29日以降、米国に輸入される消費目的の物品は、郵便物であっても関税の課税対象となります。

従来、160ドル以下の小口貨物については免税扱いとなっていましたが、今回の制度廃止により実質的にすべての郵便物が課税対象となり、EC事業者や個人輸出者にとって大きな影響が見込まれます。

CBPが新ガイドラインを発表、運送事業者の負担増に

米国通関・国境警備局(CBP)は8月15日、関税保証金の納付や通関申告書の作成などを運送事業者が担うことを定めた新たなガイドラインを公表しました。しかし、具体的な実務手続きは不明確な部分が多く、各国の郵便事業者や配送会社の現場では混乱が広がっています。

日本郵便、米国宛て国際郵便の一部停止を決定

こうした状況を受け、日本郵便は8月27日から米国宛ての一部郵便物の引き受けを停止しました。対象となるのは以下の通りです。

  • 個人間の贈答品で内容品価格が100USドルを超えるもの
  • 消費を目的とした販売品(EC事業者による発送など)

一方で、書状やはがき、印刷物、EMS(書類)に加え、100USドル以下の個人間贈答品については従来通り引き受けが継続されます。

代替手段としてUGXを案内

日本郵便は、代替手段として国際宅配便サービス「UGX(ゆうグローバルエクスプレス)」を利用するよう呼びかけています。同サービスは米国税関の規制に対応しており、販売事業者が米国に商品を届ける際には事実上の選択肢となります。

EC事業者への影響

今回の措置は、越境ECを展開する日本の事業者にとって大きな打撃となります。特に低単価の商品を米国へ販売していたセラーは、関税負担や通関手続きの煩雑さから、発送コストの大幅上昇が避けられません。今後は、米国内での在庫配置やフルフィルメントサービスの活用、あるいはECモールを経由した販売など、物流戦略の見直しが急務となります。

最新の国際郵便物の差出可否に関する情報は、日本郵便の公式サイトで確認できます。
日本郵便:国際郵便の差出可否(2025年8月25日更新)

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ