
株式会社ミスミグループ本社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:大野龍隆)は2025年8月26日、MISUMI ECサイトでの問い合わせ対応に生成AIを活用したチャットボットを本格導入することを発表しました。このチャットボットは、3000万点以上の膨大な商品に関する仕様確認・商品選定相談といった技術サポートと、注文ごとにキャンセル・変更・返品の可否判定を行うカスタマーサービスの2つの機能を備えています。24時間いつでも利用可能で、回答までの待ち時間は従来のオペレーター対応と比べて平均97~98%の大幅削減を実現し、顧客が必要な情報を迅速かつスムーズに得られる体験を提供します。
同社は生成AIを含む最新のデジタルテクノロジーとデータを活用した調達DXを推進しており、今回のチャットボット導入は顧客の待ち時間というムダを削減し、時間価値を高めるサービスと位置付けています。今後もミスミはサービスの向上を通して、IA(インダストリアル・オートメーション)産業の顧客にグローバルで時間価値を提供し、生産性の向上に貢献していくとしています。
なお、チャットボットとはチャットでの質問に自動で回答する機能です。本機能は日本におけるMISUMI ECサイトが対象で、利用は無料となっています。
この記事の目次
背景
ミスミが取り扱う部品は自動化装置や設備に組み込まれるため、1つでも納期に揃わないと生産工程に大きな影響を与えます。その部品調達プロセスでは、選定や購買業務も専門性が求められるため、商品問い合わせが欠かせず、その件数は、技術サポート関係だけで国内約10万件/年にのぼっています。しかし、問い合わせ作業は、顧客にとって煩雑かつ待ち時間が多く、バリューチェーンにおける生産性低下の一因となっていました。

待ち時間が発生する要因として、質問を受けるミスミ側のオペレーターの対応時間や対応人数の制約があり、顧客からは「毎回の問い合わせが面倒」「営業時間外でも問い合わせしたい」「一般のWeb検索で商品情報を収集しようにも、情報量が多すぎる」といった課題が挙げられていました。
このような背景から、いつでも、早く、正確な問い合わせ対応を目指して、AIチャットボットの導入が決定されました。ミスミが保有する豊富かつ正確な商品データベースを活用して回答の技術レベルを向上させ、また個々の注文情報を参照することで、注文後のカスタマーサービスにも対応できるようになっています。
AIチャットボット サービス概要
技術サポートに関するお問い合わせ(2024年11月先行導入)
ミスミの商品点数は他社ブランドも含めて3000万点以上あります。既存のFAQでは全ての商品の仕様等に関する質問に対応することができませんでした。また、電話、メール、お問い合わせフォームから質問を受けてオペレーター対応をしていたため、回答まで平均1時間(3600秒)の待ち時間が発生していました。
AIチャットボットでは、顧客がチャットで質問すると、情報収集AIがオペレーターに代わり、社内の商品データベース(過去問い合わせ、製品情報、仕様情報、カタログ等)から必要な情報を探して特定します。そして収集した情報をもとに生成AIが回答を返すシステムとなっています。
・改善効果:平均回答スピード40秒(98%削減)
使用方法



カスタマーサービスに関するお問い合わせ(2025年8月26日、本格導入)
商品注文後のキャンセル・変更・返品は、商品や注文ステータスに応じた条件があり、一様な対応が難しい分野でした。電話での問い合わせでは、オペレーターが個別に状況を確認して回答することに加え、電話が繋がりにくい時間も発生していました(対応完了までの平均時間321秒※)。
※顧客がミスミへお電話をかけ、キャンセル等の対応完了後に終話するまでの平均時間
AIチャットボットでは、質問いただいたその場でキャンセル・変更等ができるかどうかの判定を行い、操作方法を案内します。今後は、対応領域を拡大し、納期や出荷・配送状況についても回答できるようにするほか、チャット上での処理完結などサービス拡充を進めていく予定です。
・改善効果:平均回答スピード10秒(97%削減)
使用方法



AIチャットボットの使い方

MISUMI ECサイトトップページ右端の「質問・要望投稿」を開くことでチャットボットを利用することができます。なお、MISUMI ECサイトを利用するには会員登録が必要です。また、Webお問い合わせフォームからも利用可能となっています。
ミスミについて
ミスミはオートメーションの現場で必要とされる機械部品や、工具・消耗品などをグローバル32.3万社以上(2025年3月時点)に販売しています。製造機能を持つメーカーと他社ブランド品を販売する商社としての顔を併せ持つユニークな事業モデルとそれを支える事業基盤により、「グローバル確実短納期」を実現し、顧客の利便性向上に貢献しています。
同社の今回の取り組みは、生成AIを含む最新のデジタルテクノロジーとデータを活用した調達DXの一環として位置づけられています。顧客の待ち時間という無駄を削減し、時間価値を高めるサービスを提供することで、IA(インダストリアル・オートメーション)産業の顧客のグローバルでの生産性向上に貢献していくことを目指しています。
チャットボットの導入により、技術サポートでは平均回答時間が3600秒から40秒へと98%削減、カスタマーサービスでは321秒から10秒へと97%削減されるなど、大幅な効率化が実現されます。これにより、顧客は24時間いつでも必要な情報を迅速かつスムーズに得られるようになり、業務効率の向上にもつながることが期待されています。
今後もミスミは、デジタル技術を活用したサービス向上を通じて、顧客の生産性向上と時間価値の提供に取り組んでいくとしています。
出典元:株式会社ミスミグループ本社 プレスリリース