デジタルコンテンツ白書2025が9月1日発刊 - 2024年のコンテンツ産業市場規模は14兆円超え、過去最高を更新

一般財団法人デジタルコンテンツ協会(会長:清須美 匡洋 九州大学名誉教授)が、経済産業省商務・サービスグループの監修による『デジタルコンテンツ白書2025』を2025年9月1日に発刊することを発表しました。

デジタルコンテンツ協会では2001年から毎年、国内コンテンツ産業の市場規模を調査しており、本白書では市場規模の詳細データだけでなく、日本のコンテンツ産業政策や各分野別の動向、海外動向などを国内外の専門家の執筆により網羅的に紹介しています。

今回の白書では特集として「大阪・関西万博」と「クリエイターエコノミーの市場規模」の2つのテーマが取り上げられ、大阪・関西万博における新たな取り組みや、急成長するクリエイターエコノミーの現状と今後について詳しく解説されています。コンテンツビジネスの最新動向を知るための必携の一冊となっています。

2024年のコンテンツ産業の市場規模

市場規模は14兆288億円(前年比103.1%)前年に続き、過去最高を更新したコンテンツ産業

2024年のコンテンツ産業の市場規模は14兆288億円(前年比103.1%)となり、14兆円を突破しました。これはデジタルコンテンツ協会が調査を開始した2001年以降で過去最高の数値を記録しています。

コンテンツ区分別に見ると、規模が大きい順に、動画が4兆2,310億円(前年比99.1%)、複合型が2兆9,611億円(同110.2%)、静止画・テキストが2兆7,422億円(同96.1%)、ゲームが2兆6,233億円(同108.7%)、音楽・音声が1兆4,711億円(同106.6%)となっています。複合型とゲーム、音楽・音声区分が前年から増加していることが明らかになりました。

日本のコンテンツ産業の市場規模2024(コンテンツ別)

図表1:日本のコンテンツ産業の市場規模2024(コンテンツ別)

ネットワークが6兆円を突破し、過去最大を更新。コンテンツ市場シェア4割を超える

メディア別構成比の推移

図表2:メディア別構成比の推移

メディア区分別では、ネットワークが6兆3,143億円(前年比109.1%)、放送が3兆2,252億円(同98.1%)、パッケージが2兆5,551億円(同92.9%)、劇場・専用スペースが1兆9,342億円(同108.8%)という結果になりました。

コンテンツ産業の成長を牽引してきたネットワーク区分はついに6兆円を超える規模に達し、過去最高を更新しています。

メディア別の構成比率の過去10年間の動向を見ると、ネットワークが放送、パッケージを上回り、前年に引き続き首位となりました。2024年の構成比は、大きい順にネットワーク45.0%、放送23.0%、パッケージ18.2%、劇場・専用スペース13.8%となっており、ネットワーク区分のコンテンツ産業に占める割合は4割を超える規模に成長しています。

2024年のデジタルコンテンツ市場

市場規模は11兆702億円 前年比104.6%に増加

2024年のデジタルコンテンツの市場規模は11兆702億円(前年比104.6%)と拡大し、初めて11兆円を突破しました。コンテンツ産業全体に占める割合は78.9%と、8割に迫る規模となっています。

本白書では各市場規模と動向を概説するとともに、過去10年間の経年推移を詳細に収録しており、コンテンツ産業の変化を時系列で把握することができます。

『デジタルコンテンツ白書2025』 目次

第1章 特集1 「大阪・関西万博における新たな挑戦」/

特集2 「クリエイターエコノミーの市場規模について」

第2章 日本のコンテンツ産業の市場規模

第3章 日本のコンテンツ産業政策

第4章 コンテンツの分野別動向

(マンガ/アニメーション/映画/音楽/ゲーム/オンラインゲーム/

ライブエンターテインメント)

第5章 メディアの分野別動向(モバイルコンテンツサービス/放送/新聞/出版)

第6章 海外動向(アメリカ/中国/韓国)

資料編 (コンテンツ産業統計資料/ヒットコンテンツ2024レビュー)

書誌情報

  • 名 称:『デジタルコンテンツ白書2025』
  • 監 修:経済産業省 商務・サービスグループ
  • 編集・発行:一般財団法人デジタルコンテンツ協会
  • 仕 様:A4変型・176ページ
  • 発行日:2025年9月1日
  • 定 価:27,500円(本体25,000円+税10%)

    (ISBN978-4-944065-34-9 C3000)

コンテンツ産業の市場動向について詳細解説

デジタルコンテンツ白書2025では、前述の市場規模データに加えて、各コンテンツ分野やメディア分野における詳細な動向分析も行われています。特に注目すべきは、複合型コンテンツの110.2%という高い成長率です。これは異なるジャンルのコンテンツを組み合わせたサービスやプラットフォームが市場で好調であることを示しています。

また、ゲーム分野も108.7%と堅調な成長を続けており、オンラインゲームを中心としたデジタル配信やサブスクリプションモデルの普及が成長を後押ししていると考えられます。音楽・音声分野も106.6%と好調で、音楽配信サービスの浸透やポッドキャストなどの新しい音声コンテンツの成長が寄与していると分析されています。

一方で、動画分野は4兆2,310億円と最大規模を維持しているものの、前年比では99.1%とわずかに減少しています。これは配信プラットフォーム間の競争激化や、ユーザーの視聴習慣の変化などが影響していると考えられます。

メディア区分で見ると、特筆すべきはネットワーク分野の躍進です。6兆3,143億円という規模はコンテンツ産業全体の45.0%を占め、デジタルトランスフォーメーションの進展を如実に示しています。スマートフォンやタブレットなどのモバイルデバイスの普及、高速インターネット環境の整備、クラウドサービスの発展などが、この成長の背景にあると分析されています。

デジタルコンテンツ市場の未来展望

デジタルコンテンツの市場規模が11兆702億円に達し、コンテンツ産業全体の約8割を占めるようになった現在、その重要性はますます高まっています。特に注目すべきは、AI技術の活用やメタバースなどの新たな技術トレンドが、今後のデジタルコンテンツ市場にどのような影響を与えるかという点です。

白書の特集で取り上げられている「大阪・関西万博における新たな挑戦」では、最先端のデジタル技術を活用した展示やエンターテインメントの可能性について言及されています。また「クリエイターエコノミーの市場規模」の特集では、個人クリエイターが直接受益者とつながる新しい経済圏の拡大と、その市場規模の測定方法について詳細な分析が行われています。

これらの新しいトレンドは、従来のコンテンツビジネスモデルを変革する可能性を秘めており、業界関係者にとって重要な示唆を与えるものとなっています。さらに、海外動向の章では、アメリカ、中国、韓国などの主要国におけるコンテンツ産業の最新状況も紹介されており、グローバルな視点からの市場分析も可能となっています。

業界への影響と活用方法

『デジタルコンテンツ白書2025』は、コンテンツ産業に関わる企業や団体、研究機関、行政機関など、幅広い関係者にとって貴重な情報源となります。市場規模や成長率などの定量的データだけでなく、各分野の専門家による定性的な分析も含まれているため、多角的な視点から業界動向を把握することができます。

企業の経営者や事業責任者は、本白書のデータを基に自社の事業戦略や投資判断を行うことができますし、マーケティング担当者は消費者動向や競合状況の分析に活用できるでしょう。また、研究者や学生にとっては、コンテンツ産業研究の基礎資料として役立つことが期待されます。

特に注目すべきは、ネットワークメディアが急速に成長する中で、従来型メディアとの関係性がどのように変化しているかという点です。放送、パッケージ、劇場・専用スペースなどの従来型メディアも依然として大きな市場規模を維持しており、それぞれの特性を活かしたコンテンツ展開の重要性が示唆されています。

今後のコンテンツビジネスでは、単一のメディアやプラットフォームに依存するのではなく、複数のチャネルを活用したクロスメディア戦略が一層重要になるでしょう。本白書はそうした戦略立案の基礎データとしても有用です。

出典元:一般財団法人デジタルコンテンツ協会 プレスリリース

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