
現代社会では、ネットショッピングが日常生活に深く浸透し、物流・配送サービスは私たちの生活になくてはならない存在となっています。しかし、年齢層や生活スタイルによって、利用するサービスや満足度、そして改善を求めるポイントには大きな違いがあるようです。
この疑問に答えるため、株式会社ecloreが運営する物流倉庫・発送代行業者マッチングサイト『一括.jp』は、20代以上の男女400名を対象としたアンケート調査を実施しました。「商品の購入チャネル」「配送サービスへの満足度」「改善希望点」などについて、世代別の意見を収集し分析しています。
同社の調査結果からは、世代ごとの価値観やライフスタイルの違いが、物流サービスへの意識や行動にどのような影響を与えているのかが詳しく解説されています。物流業界やEC事業に関わる方々にとって、ユーザー理解を深め、サービス改善のヒントとなる内容となっています。
調査概要
◆ 調査1:過去3ヶ月間で利用した「購買チャネル」は?
◆ 調査2:現在利用している物流・配送サービスの満足度は?
◆ 調査3:物流・配送サービスに対し、今後"特に"改善してほしい点は?
◆ まとめ:世代ごとに異なる物流サービスとの付き合い方
(1)若年層は利便性と柔軟性を重視
(2)中高年層は安心感や価格への意識が強い
(3)サービスへの期待値と"ちょうどよさ"は世代で異なる
(4)利用者視点の声にこそ、改善のヒントがある
なお、このアンケート調査の内容は前編・後編に分けて公開されています。本記事では、上記「調査3」以降の内容をまとめています。
この記事の目次
調査結果3:物流・配送サービスへの改善希望点の世代別分析
配送サービスに対して、もし改善を求めるとしたらどのような点に注目するかを調査した結果、年代によって求めるものに明確な違いが見られました。20〜30代の若年層では利便性や柔軟性の向上を求める声が目立つ一方、50代以上の中高年層では送料の安さや現状サービスへの満足度が高い傾向が確認されています。
配送スピードをもっと速くしてほしい
- 20代(15%)と30〜40代(16%)でやや高い数値を示し、50〜60代(8%)、70代以上(10%)では一段低い結果となりました。特に若年層は「翌日配送」や「即日配送」が当たり前の環境で育ってきた背景もあり、配送のスピード感に対する期待が高い傾向にあります。一方、中高年層ではスピードよりも配送の確実性を重視する姿勢が見られます。
送料を安く(または無料に)してほしい
- 最も高い割合を示したのは70代以上で51%、次いで50〜60代が46%、30〜40代が42%と、年齢層が上がるにつれて送料に対する改善要望が強くなる傾向が明らかになりました。
- 20代は25%と他の世代に比べて低い数値を示しており、利便性を優先する若年層にとって、送料の有無はそれほど大きな決定要素になっていない可能性があります。
置き配や受け取り方法の選択肢を増やしてほしい
- 置き配や多様な受け取り方法に対する要望は、50〜60代(28%)で特に高い数値を示しました。一方で、20代(15%)、30〜40代(16%)、70代以上(15%)はいずれも15~16%とほぼ同水準であり、50〜60代の数値が突出していることが特徴的です。
誤配や配送ミスをなくしてほしい
- すべての年代で比較的低い割合となっており、20代(9%)、30〜40代(6%)、50〜60代(6%)、70代以上(1%)と、誤配そのものは大きな課題として認識されていないようです。日常的に問題なく商品を受け取れているという実感や、万が一トラブルが発生しても適切に対応してもらえるという信頼感が背景にあると考えられます。
エコ配送(簡易包装やCO2削減)に力を入れてほしい
- 70代以上(19%)で最も高く、50〜60代(11%)、30〜40代(8%)、20代(6%)と年齢層が下がるにつれて関心も低下する傾向が見られました。
- 特に高齢層では、資源の節約や環境保護といった長期的な視点からの考慮が強く、過剰包装への抵抗感があるようです。一方、若年層では利便性やスピードを優先する傾向があり、環境への配慮はまだ日常生活における優先度が低い可能性があります。
特に改善してほしいことはない
- 「特にない」と回答した割合は20代で40%と最も高く、続いて50〜60代(35%)、70代以上(34%)、30〜40代(29%)という結果でした。20代では現状のサービスに大きな不満を感じていない層が多く、50代以上の中高年層でも「現状に十分満足している」「特に不便は感じていない」という意見が多いことがわかります。
- 特に高齢層では、現在のサービスが生活に十分定着しており、過度な新機能や変化よりも、現状維持を望む傾向が見られます。
全体として、若い世代は「もっと便利に」「もっと自由に」といった利便性や柔軟性への期待が強く、配送スピードや受け取り方法の多様化に注目している傾向があります。
一方、中高年層は「できるだけ安く」「今のままで十分」といった経済性や安定性への意識が強く、現状のサービスに対する満足度も高い傾向にあります。物流サービスに求めるポイントは世代によって明確に異なり、それぞれの生活スタイルや価値観を反映した結果といえるでしょう。
まとめ:世代ごとに異なる物流サービスとの付き合い方
若年層は利便性と柔軟性を重視
- 20〜40代の比較的若い世代では、オンラインショッピングが日常的な購買行動として定着しており、配送サービスにもスピード感や柔軟な受け取り方法を求める声が多く見られました。「もっと早く届けてほしい」「置き配の選択肢を増やしてほしい」といった改善要望からは、日常生活における効率性を重視する姿勢がうかがえます。
- 一方で、細かな不便に対する感度も高い傾向があり、不満や要望がはっきりと表明されやすい特徴も見られました。また、配送サービス自体を利用していないという回答者も一定数存在し、実店舗での購買や自身のライフスタイルに合わせた選択をしている様子も確認できました。
中高年層は安心感や価格への意識が強い
- 50代以降の中高年層では、実店舗を引き続き活用しながらも、配送サービスに対して一定の満足と信頼を寄せている傾向が見られました。「現状で特に不満はない」と感じている人も多く、日常生活の中に自然に溶け込んだインフラとして受け入れられている印象です。
- また、改善点として挙げられたのは「送料の負担感」や「過剰包装」といった実用性や環境面に関する意識であり、コスト面への配慮や持続可能性への関心が強いことも特徴的です。サービスの過度な変化や新機能よりも、「安心して利用できること」を重視している傾向が読み取れます。
サービスへの期待値と"ちょうどよさ"は世代で異なる
- 今回の調査を通じて見えてきたのは、同じサービスでも「当たり前」と感じる水準や優先順位が世代によって大きく異なるという点です。若年層は利便性や即時性に対する期待が高く、中高年層は安定性やコスト面を重視する傾向があり、それぞれの生活スタイルや価値観が評価や要望に大きな影響を与えていることがわかります。
- こうした世代間の違いに注目することで、サービスの設計や改善の方向性もより具体的に見えてくるのではないでしょうか。
利用者視点の声にこそ、改善のヒントがある
- 世代間で違いはあるものの、いずれの年齢層からも物流サービスが生活に欠かせないものとして認識されていることは共通しています。
- その上で、「現在どのような点で便利さを感じているのか」「どこに不便を感じているのか」といった細かなユーザーの声に耳を傾けることが、サービスの質をさらに高めていくための重要なヒントになると考えられます。
監修者:杉本 貴之(Takayuki Sugimoto)
株式会社ecloreにて年間120社超のSEOコンサルを担当。SEO分野で培った分析力と多数の企業との豊富なコミュニケーション経験を活かし、消費者の購買行動や市場動向を深く理解しています。
一次情報に基づくコンテンツの監修を通じ、信頼性が高く質の優れた情報発信を積極的に行っています。
【保有資格】SEO検定1級、Googleアナリティクス認定資格

調査概要
調査日: 2025年7月16日
調査対象地域: 全国
調査機関: Freeasy
調査方法: オンラインアンケート調査
調査対象・人数: 20~99歳の男女400人
出典元: 一括.jp(株式会社eclore)プレスリリース