【調査報告】生成AI経由の流入増加傾向が明らかに - 83%のサイトでセッション数増加、CVR向上は35%にとどまる

SEOを中心としたデジタルマーケティング全般の支援を提供する株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ(東京都品川区、代表取締役:鳥居本 真徳)は、ChatGPTなどの生成AIからのWebサイト流入と、その後のコンバージョン率(CVR)に関する独自調査「生成AI経由の流入およびCVR調査」を実施し、その結果を公開しました。

調査の背景

近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの急速な普及により、「生成AI経由の流入」が新たなWebサイトへの流入経路として注目を集めています。

しかし、生成AI経由の流入が実際に増加しているのか、また「生成AI経由の流入はコンバージョン率(CVR)が高い」という一般的に言われている見解が本当に正しいのかという点については、まだ明確なデータが不足していました。

今回の調査では、生成AIに特化した対策を実施していない複数のクライアントサイトを対象に、生成AIを参照元とするセッション数やコンバージョン率の傾向が詳細に分析されています。企業のマーケティング担当者やSEO担当者向けに、生成AIがウェブマーケティングに与える影響を分析し、今後の戦略立案に役立つ考察がまとめられています。

調査概要

生成AI経由の流入およびCVR調査

調査期間:2025年2月1日~4月30日

調査対象:同社クライアントから無作為に抽出した複数のWebサイト(いずれも生成AIに特化した対策は未実施)

調査方法:GA4より参照元ごとのセッション数を抽出し、集計

調査結果サマリー

セッションについて

  • 2025年2月と2025年4月のデータを比較した結果、調査対象サイトの83.0%において生成AI経由のセッション数が増加傾向を示しました。生成AIに特化した対策を実施していなくてもセッション数が増加する傾向にあることが明らかになっています。
  • 生成AI経由のセッション数が最も大きく成長したサイトでは、2ヶ月間で605.6%もの増加率を記録しました。

コンバージョン率(CVR)について

  • 「生成AI経由」のCVRが「生成AI以外経由」と比較して高かったサイトは全体の35.1%にとどまりました。

詳細な調査結果

流入の傾向:生成AI経由セッションは増加傾向

調査期間(2025年2月〜4月)において、対象サイト全体のセッション数の平均値および中央値は右肩上がりの増加傾向を示し、83.0%のサイトで流入が増加していることが明らかになりました。特筆すべき点として、生成AIに特化した施策を実施していない状態でも伸長傾向が見られたことが注目されています。

生成AI経由セッションの増加傾向グラフ

特に成長率が最も高かったサイトでは605.6%ものセッション増加率を記録しましたが、サイトごとのセッション伸長率には大きなばらつきが見られました。

サイトごとの生成AI経由セッション増加率の分布

また、注目すべき点として、生成AI経由のセッション数の割合は、サイト全体から見ると大きいものでも1%未満という結果になりました。当然ながら、他チャネルからの集客に対する注力度合いなどで変動する可能性はありますが、生成AI経由のセッション数が全体に占める割合はまだまだ小さいということが明らかになっています。

生成AI経由セッションの全体比率

コンバージョン率の実態:一般的な見解とのギャップ

従来の調査やWeb上の情報では、「生成AI経由セッションのCVRは高い」とされる見解が多く見られました。しかし、今回の調査結果では、実際に生成AI経由のCVRが他チャネルより高かったサイトは全体の35.1%にとどまるという結果となり、「生成AI経由のCVRは高い」とする一般的な見解が必ずしも当てはまるとは限らないことが明らかになりました。

生成AI経由のCVR比較

生成AI経由のセッションでCVRが伸び悩む要因としては、以下の点が考えられます。

・情報収集目的の流入が多かった

・生成AIでの会話内容と一致した文脈のランディングページが設計できていない

調査総括

今回の調査により、生成AI経由のウェブサイト流入が着実に増加していることが明らかになりました。2025年2月から4月にかけて、調査対象サイトの83.0%で生成AI経由のセッション数が増加しており、生成AIに特化した対策を講じなくてもこの傾向が続いていることが確認されています。

しかし、「生成AI経由セッションはコンバージョンにつながりやすい」という一般的な見解については、必ずしも正しいとは言えないことが今回の調査で明らかになりました。また、サイトごとのセッションの伸長率にも大きなばらつきが見られました。これは、現時点では生成AIからの流入は全体的に増加傾向にあるものの、生成AIからの流入を獲得するための対策の有無が将来的に大きな差を生む可能性を示唆しています。今後、生成AIのアルゴリズムが進化し、企業側が適切なLLMO(Large Language Model Optimization)を考慮したSEO対策などを実施することで、流入の量や質において顕著な差が生まれる可能性が十分に考えられます。

企業は、生成AIからの流入を単に増やすだけでなく、自社のビジネスモデルやユーザーニーズに合わせた質の高い流入をどのように獲得し、コンバージョンに結びつけていくかを、戦略的に検討していくことが重要です。

そのためには、まず自社のデータに基づいて現状を正確に把握し、生成AI経由のユーザー行動やニーズを深く理解することが不可欠です。コンテンツやランディングページの最適化に加え、生成AI時代を見据えた新たな最適化戦略を検討し、段階的に導入していくことが、今後のデジタルマーケティング戦略において重要な鍵となるでしょう。

<調査監修者>

出田 晴之氏

株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ

デジタルソリューション事業部 部長

出田 晴之

PLAN-Bに2018年新卒で入社。2023年にSEOコンサルティング事業部部長に就任し、2024年からはデジタルソリューション事業部部長に就任。大手下着メーカー、大手買取会社など、50社以上のSEOコンサルティングやメディア立ち上げを経験。事業戦略などの上位レイヤーからのSEO戦略設計を得意としています。

出典元: 株式会社PLAN-Bマーケティングパートナーズ プレスリリース

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