
株式会社日本HPと楽天グループ株式会社は、国内のHP製PCを対象としたプリバンドル型AI搭載サービス「Rakuten AI for Desktop」の提供を開始すると発表しました。このサービスは、オンデバイスAIとクラウドAIを統合し、楽天の日本語に最適化された大規模言語モデル(LLM)を活用することで、プライバシーに配慮したローカル処理と、楽天エコシステムへのシームレスな接続を両立させています。
オンライン・オフライン問わずAIを利用可能に
このサービスの特徴は、ユーザーがオンライン環境、オフライン環境、移動中など、場所を選ばずにAI機能を利用できる点にあります。オンデバイスモードでは、インテリジェントでプライベート、かつパーソナライズされたワークフローを実現し、HP Wolf SecurityがAIワークロードの安全な基盤を支えます。
楽天独自の日本語LLMをローカル環境で初めて利用可能に
「Rakuten AI for Desktop」は、HP製のAI PC向けに最適化されており、楽天独自の日本語に特化した高効率な大規模言語モデル「Rakuten AI 7B」を、ローカル環境で利用することが初めて可能となりました。HP製PCに内蔵されたAI演算能力を活用するオンデバイスモードにより、オフライン時でも利用できるほか、従来のクラウドモードでも使用できます。
ハイブリッドAIの重要性
AI活用が世界的に拡大する中、個人や企業を問わず、多くの顧客が不要なコスト負担や、プライバシーを犠牲にすることなくAIのメリットを享受する環境を求めています。両社は、AI PCの強みを最大限に生かし、AI処理をローカル環境またはクラウド環境で柔軟に実行できる「ハイブリッドAI」が、今後ますます重要な役割を果たすと考えています。
オンデバイスモードとクラウドモードの使い分け
国内のHPユーザーは、「Rakuten AI for Desktop」のオンデバイスモードを利用することで、高性能でプライバシーに配慮した、パーソナライズされたワークフローを実現することができます。一方、クラウドモードでは、楽天が提供する専門エージェントや楽天エコシステムとの連携が可能となります。クラウド環境への依存を少なくすることで、オフライン環境でもプライバシーに配慮しコストを抑えながらシームレスな継続利用が可能です。
両社代表のコメント
日本HP代表取締役社長執行役員の岡戸伸樹氏は、次のようにコメントしています。「AIが日々の仕事や生活に自然に溶け込むようになる中で、お客様は、よりスマートで安全性が高く、日常的に使用するデバイスにシームレスにつながるAI体験を求めています。楽天との協業により、私たちは日本のお客様が仕事や創作活動により安心して取り組めるよう支援するハイブリッドAI体験を提供します。本協業は、オンデバイスAIとクラウドAIをインテリジェントに組み合わせることで、AI PCが未来の働き方を支える基盤となることを示すものです。」
楽天のChief AI & Data Officer(CAIDO)のTing Cai氏は、次のようにコメントしています。「AIとの対話は、人々にとって欠かせないものになりつつあります。私たちのビジョンは、オンライン・オフライン問わず、飛行機の中でも緊急時でも、どこにいても常にAIがそばにあり、利用できる環境であるという安心感を提供することです。私たちの開発チームは、その第一歩を達成するために、大きな技術的課題を克服し、アプリケーション、大規模言語モデル、基盤となるハードウェアを統合し、お客様が求める堅牢性と最新のAI技術を提供します。また、Rakuten AIをデバイス上でローカルに実行することで、ローカルコンテキストを活用し、一人一人に合わせて、より適切で効率的なサポートを提供できるようになります。」
両社協業の経緯
今回の発表は、2025年11月に発表された両社の協業に基づくものです。日本HPのPCブランドとしての強みと革新的なハードウェア、楽天独自のAIおよび楽天エコシステムの提供価値を組み合わせることで、両社はAIを統合したデバイスとソリューションを提供し、顧客の日常生活を支援していくことを目指しています。
楽天エコシステムへの接続
「Rakuten AI for Desktop」の提供開始により、HP製PCを利用する顧客は「Rakuten AI」のエージェント機能を利用できるようになります。翻訳や要約などの日常的なタスクに役立つスキルに加え、買い物、旅行予約、楽天ポイントに関する確認など、日々のタスクを支援する楽天の専門AIエージェントも利用することができます。「Rakuten AI Desktop」は、70を超える楽天エコシステムのサービスへのゲートウェイとして機能し、日本語および日本の文化・習慣に最適化されたAI体験を提供します。
プリバンドル形式での提供
「Rakuten AI for Desktop」は、従来のソフトウェアのプリインストールとは異なり、現在、日本国内のHP製PCを対象にプリバンドルされる形で提供されます。顧客は購入後にアプリケーションを有効化するだけで、すぐにAI機能の利用を開始できます。プリバンドルの提供は、現在、日本国内のHP製PC限定となります。
提供開始時期
「Rakuten AI for Desktop」は、2026年7月29日より、日本国内の法人向けHP製PCで提供を開始します。コンシューマー向けには2026年10月以降の提供を予定しています。
Rakuten AI for Desktopの主な特徴
「Rakuten AI for Desktop」は、オンデバイスAIとクラウドAIを用途に応じて切り替えて利用でき、高いパフォーマンス、データプライバシー、低遅延、そしてコスト効率を実現します。今回初めて、楽天独自の日本語に最適化されたLLM「Rakuten AI 7B」の特別版である「Rakuten AI 7B ONNX」が、HP AI PC向けにオンデバイス実装されました。
オンデバイスモードでは、PC向けに最適化された楽天の日本語LLMを利用し、インターネット接続に依存しない、低遅延かつ高いプライバシー性を備えたAI体験を提供します。HP AI PCユーザーは、クラウド接続を必要とせず、文章のリライト、要約、翻訳などを安全に実行できます。
クラウドモードでは、「Rakuten AI」が提供する専門AIエージェントや楽天エコシステムに接続します。これにより、買い物、旅行の計画・予約、モバイルサービスの利用案内などの複雑なタスクについて、ユーザーの意図の把握から実行まで、一つのインターフェース上でリアルタイムに支援を受けることができます。
ワークフローを効率化する機能
「Rakuten AI for Desktop」は、顧客のデスクトップ環境へ導入されることで、コピー&ペーストやブラウザーのタブ、複数ウィンドウ間の切り替えを最小限に抑え、よりシームレスで快適なデスクトップ体験を提供します。
AIチャットウィンドウは、楽天エコシステムのAIエージェントと対話するための中心となる画面です。楽天市場、楽天トラベル、楽天モバイル、楽天ミュージック、楽天PointClubなどに関する問い合わせを、一つのチャット画面から行えます。
フローティングアイコンおよびシステムトレイは、ドラッグ&ドロップで画面上の任意の場所やシステムトレイに配置でき、必要な時にAIアシスタントにアクセスできます。コンテキストアクションバーは、要約、翻訳、文章のリライトなどの日常的な作業をスムーズに実行できるよう、自動提案機能とインラインメニューを提供します。
Rakuten AI for Desktopの利用方法
利用方法は以下の通りです。タスクバーまたはスタートメニューの「Rakuten AI」アイコンをクリックし、「Rakuten AI for Desktop」のウェブサイトを開きます。画面の案内に従ってアプリケーションをダウンロードします。アプリケーションを起動し、クラウドモードまたはオンデバイスモードの切り替え機能で、使用するデバイスがオンデバイスモードに対応しているか確認できます。対応が確認できた場合、設定画面からオンデバイスモードをインストールして利用できます。
利用可能な機能
オンデバイスモードおよびクラウドモードでは、便利ツールとして文章を書く機能、翻訳機能、AI要約機能が利用可能です。これらの機能により、メールやメッセージなどの文章作成・編集を支援し、意味やトーンを維持したまま多言語翻訳を行い、長文や文書を短く分かりやすく要約します。
クラウドモードのみで利用可能な機能として、検索機能、画像を作る機能、動画を作る機能、ボイスメモ機能、コーディング支援機能、問題を解く機能が用意されています。また、Rakuten AIエージェントとして、楽天市場、楽天トラベル、楽天ミュージック、楽天モバイル、楽天PointClub、楽天GORAへの接続機能が提供されます。
さらに、コミュニティーエージェントとして、アニメ・マンガトークパートナー、みちびきコーチ、旅行サポート、英語コーチ、お料理パートナー、恋愛アドバイザー、ファッションスタイリスト、健康サポートコーチ、占い師、ペットなんでも相談などの多彩なエージェントが用意されています。
Rakuten AI for Desktopについて
「Rakuten AI for Desktop」は楽天が開発し、AI PC向けに設計されたAIアプリケーションです。楽天独自の日本語に最適化された高効率なLLMをデバイスへ導入し、オンデバイスAIとクラウドAIを組み合わせたハイブリッドAI環境を提供します。オンデバイスモードでAI処理を実行することで、機密性の高い作業をローカル環境で安全に実施できるほか、クラウドへの依存とそれに伴うコストを大幅に削減します。また、クラウドモードでは、「Rakuten AI」が提供する専門AIエージェントや楽天エコシステムとのシームレスな連携により、生産性向上だけでなく、日常生活の充実を後押しする幅広いAI体験を実現します。
Rakuten AI 7Bについて
「Rakuten AI 7B」は、楽天が開発した70億パラメータの日本語基盤モデルです。フランスのAI企業Mistral AIが公開しているオープンLLM「Mistral-7B-v0.1」を継続学習することで開発されました。学習には、楽天が独自に構築したマルチノードGPUクラスタを利用し、大規模かつ複雑なデータセットを高速かつ高い拡張性で学習できる環境を構築しています。HP AI PCで使われている特別版では、「Rakuten AI 7B」をベースに、継続学習、ファインチューニング、量子化を行うことで最適化されたモデルです。
Rakuten AI 7Bの特徴
高品質データによる高い性能として、英語および日本語の大規模インターネットデータセットを用いて、「Mistral-7B-v0.1」から継続学習を実施しています。データは楽天独自の多段階フィルタリングおよびアノテーション工程を経て品質管理されており、モデルの高い性能を実現しています。
拡張形態素解析器による高い効率として、日本語向けに最適化した拡張形態素解析器を採用しています。この形態素解析器では、一つのトークンで、従来より多くの日本語文字を表現できるため、モデル学習、推論処理の双方において処理効率を高め、コスト効率にも優れています。
対象PCモデルと注記
日本国内の対象PCモデルは、ゲーミングPC、シンクライアント、一部のワークステーションモデルを除くHP製Windows PCです。利用可能な機能は、オンラインモードとオフラインモードによって異なります。形態素解析器とは、文章を「トークン」と呼ばれる小さな単位に分割するプログラムです。トークンは、用途に応じて単語、サブワード、文字単位などで構成されます。
出典元:株式会社日本HP プレスリリース














