株式会社ヤギ、MNインターファッション株式会社、豊島株式会社、関光ロジNEXT株式会社の4社が、関光ロジNEXT株式会社グループ企業の国内フェリーを活用した「共同輸送」の取り組みを2025年3月に開始したことが発表されました。この取り組みは、アパレルや雑貨商材を対象に、これまでのトラック輸送中心の物流体制から海運モーダルシフトへの転換を図るものとなっています。
今回の取り組みでは、国際フェリーと国内フェリーを組み合わせた複合一貫輸送を実現することで、CO₂排出量の削減、ドライバーの労働時間短縮、輸送効率向上を同時に達成し、持続可能な物流体制の構築を目指しているとのことです。
4社はアライアンスを形成し、中国から輸入される関東向け貨物を下関港に集約。その後、下関港から横須賀港を経由して首都圏の中継点までの幹線輸送において「共同輸送」を実施しています。この幹線輸送の大部分を関光ロジNEXTグループの東京九州フェリーが担当しているとのことです。
注目すべき成果として、3商社が集約した貨物は10月末時点で10トントラック約68台分に相当し、海上輸送への切り替えにより、試算上約102トンものCO₂排出量削減を実現したことが報告されています。

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持続可能な物流体制の構築へ
今回の取り組みは首都圏への幹線輸送を中心とした「共同輸送」からスタートしていますが、各社はさらに物流効率を高めるため、納品先までを一貫して配送する「共同配送」の実現に向けても取り組んでいるとのことです。
各社は、モーダルシフトの効果を継続的に検証・改善しながら、同業他社の商社やお取引先企業とも連携を広げ、共同輸送・共同配送の輪をさらに拡大する方針であると伝えられています。これにより、アパレル・繊維業界全体の物流効率化と環境負荷低減に貢献することを目指しているようです。
CO₂排出量削減効果は、経済産業省・国土交通省による「物流分野のCO2排出量に関する算定方法ガイドライン」の計算方法に基づいています。具体的には、従来トンキロで単位あたりのCO2排出量において陸送部分が216(g-CO2/t-km)、海上部分が43(g-CO2/t-km)として計算されているとのことです。
物流課題の解決と環境配慮を両立
近年、物流業界ではドライバー不足や長時間労働、環境負荷などの課題が深刻化しています。今回の4社による共同輸送の取り組みは、これらの課題に対する具体的な解決策として注目されます。
特に、トラック輸送から海運への転換(モーダルシフト)は、単にCO₂排出量を削減するだけでなく、ドライバーの労働環境改善にも寄与する点で意義があります。さらに、複数企業が貨物を集約することで物流の効率化も実現しており、経済性と環境性を両立させた取り組みとなっています。
アパレルや雑貨といった商材は、トレンドの変化や季節要因により需要の波が大きく、効率的な物流体制の構築が課題となっていました。今回の共同輸送の仕組みは、こうした業界特有の課題に対しても有効なソリューションとなることが期待されています。
参画企業の概要
株式会社ヤギ
株式会社ヤギは1893年に綿糸商として創業して以来、社是である「終始一誠意」の精神を守りながら事業を展開してきました。現在はマテリアルから、ライフスタイル、アパレル、ブランド・リテール領域に至るまで、繊維を中心に多岐にわたるビジネスを展開しています。東証スタンダード上場企業です。
代表取締役 社長執行役員:八木 隆夫
本社:大阪市中央区・東京都中央区
MNインターファッション株式会社
MNインターファッション株式会社は、日鉄物産株式会社の繊維事業と三井物産アイ・ファッション株式会社との事業統合により、2022年1月1日に誕生しました。
会社名:MNインターファッション株式会社(MN Inter-Fashion Ltd.)
代表取締役社長:吉本 一心
本社所在地:東京都港区元赤坂一丁目2番7号 赤坂Kタワー
事業内容:機能資材、機能テキスタイル、産業資材、アパレル・服飾雑貨、ブランドマーケティングなど
豊島株式会社
豊島株式会社は1841年の創業以来、180年を超える歴史を礎に、グローバルな原料調達から最終製品の企画・生産管理・納品まで、ライフスタイル産業のサプライチェーンを総合的に担っています。様々なニーズに寄り添うため、事業領域を雑貨・コスメ・食品へと拡大。サステナブルプロジェクトの推進に加え、多種多様な連携による価値創造や、テクノロジーを活用した新たな価値提案にも注力しています。
2019年より掲げるステートメント「MY WILL(マイ ウィル)」のもと、持続可能なライフスタイルの実現に向けて挑戦を続けています。
関光ロジNEXT株式会社
関光ロジNEXT株式会社は1948年の創業以来、海上交通の要衝である下関を基盤に、戦後日本初の国際航路である関釜フェリーをはじめとした海上物流網の構築を通じて、日本経済の発展に貢献してきました。
現在は"海より速く、空より安く"(コンテナ船よりも速く、航空便よりも安く)をモットーに中国・韓国と⽇本各地を結ぶ国際物流サービスと、⽇本国内を網羅する海上ネットワークを活⽤した国内物流サービスを展開しています。
共同輸送がもたらす業界への影響
この共同輸送の取り組みは、アパレルや繊維業界における物流のあり方に大きな変革をもたらす可能性があります。従来は各社が個別に物流を手配する形が一般的でしたが、複数企業が連携することで、スケールメリットを活かしたより効率的な物流体制が構築できます。
特に海外からの輸入商品を扱う企業にとって、物流コストや環境負荷は重要な経営課題です。今回の取り組みが成功事例となれば、他業界にも同様の共同輸送モデルが波及していく可能性があります。
また、今回の取り組みでは国内フェリーを活用していますが、これは国内の海運ネットワークの活性化にも繋がります。日本は海に囲まれた島国であり、海運を有効活用することで、より持続可能な物流体制を構築できる潜在力を持っています。
今後の展望
4社は今後、現在の「共同輸送」から、より効率的な「共同配送」へと取り組みを発展させる方針であることが伝えられています。共同配送が実現すれば、港から各納品先までのラストワンマイル物流も効率化され、さらなるCO₂排出量の削減や物流コストの低減が期待できます。
また、アライアンスの拡大も視野に入れており、同業他社の商社やお取引先企業との連携も積極的に進めていく考えとのことです。物流業界全体の課題解決に向けて、業界の垣根を越えた協力体制の構築が目指されています。
今回の共同輸送の取り組みは、単に物流の効率化やCO₂排出量削減といった直接的な効果だけでなく、業界全体の持続可能性向上に向けた重要な一歩となることが期待されています。各社は引き続きモーダルシフトの効果検証と改善を行いながら、より効果的な物流体制の構築に取り組んでいくとしています。
出典元:株式会社ヤギ プレスリリース













