プレイドが顧客コンテクストを自動理解するAI「Context Lake」を開発、顧客体験価値向上と戦略策定を支援

株式会社プレイド(東京都中央区:代表取締役CEO 倉橋健太)は、顧客が持つ文脈や背景を自動で理解するAI「Context Lake(コンテクスト レイク)」を開発したことを発表しました。同社は、このContext Lakeを起点として、企業の顧客体験価値向上とデータドリブンな事業戦略策定を強力に支援する新サービスの提供を開始します。

開発背景:コンテクストまで捉えた高度な顧客理解が企業の競争力となる

近年のAI進化により、AIに学習させるデータの種類や質が差別化要因となるなか、企業の独⾃データである1st Party Customer Dataの価値がますます高まっています。株式会社プレイドはこうした状況を踏まえ、同社のKARTEのデータ解析基盤に集まる国内最大級の1st Party Customer Dataと生成AIを組み合わせ、マーケティング領域だけでなく幅広い事業活動で企業の顧客価値創造を実現することを目的に、2024年11月にデータAI専任チーム「Data Mind」を発足しました。発足後、大手旅行代理店や大手小売流通など10数社の企業と競争力のある独自価値の創造に向けた実証実験を実施しています。

同社によれば、既存のAIが低コストで一定水準のアウトプットを出せるようになり、企業活動においてAI活用が一般化するほど、「一定水準を超えた先に見出される独自性」が企業成長において重要性を増しているとのことです。企業が顧客に対して独自の価値を創造するためには、高度な顧客理解が不可欠です。これからの企業が向き合う多様な顧客たちを、画一的な基準では捉えきれない「ひとりの人」として深く理解し、その固有のコンテクストを捉えた最適な体験を提供することこそが強力な競争力になるという考えのもと、同社はContext Lakeの開発を進めてきました。

顧客コンテクストを自動理解するAI「Context Lake」の概要

株式会社プレイドは、Data Mindの取り組みをもとに、これまでKARTEで解析してきたデータに加えて、企業の持つ構造化データおよび非構造化データを一括処理し、顧客の意図、背景、行動の前後関係といった「顧客コンテクスト」を自動で理解するAI「Context Lake」を開発しました。

Context Lakeは新しい生成AI技術を用いることで、これまで企業内で活用されずに眠っていた非構造データを含むあらゆるデータを、顧客コンテクストの理解に活用することを可能にします。また、従来のAI/ML技術によってブラックボックス化されていた抽出パターンを、生成AI技術によって人が解釈しやすい形にし、意思決定につなげる機能も備えています。さらに、抽出した顧客コンテクストを、戦略的な活用が可能な統一されたデータ形式(コンテクストデータ)として自動で構造化・蓄積する特徴があります。

同社によると、Context Lakeは顧客コンテクストを高度に理解するAIエージェントの実現に必須のデータを提供し、AIを用いた顧客体験価値の向上に欠かせないデータ基盤となります。特に、洗練された体験価値の提供に不可欠な「解像度の高い顧客コンテクスト」を抽出・収集し、これをパターン化して「群」として捉えることで、自社にとってより重要な顧客セグメントの特定や市場における自社の位置づけ、そして自社の独自性のポテンシャルと差別化ポイントなど、事業環境における深い顧客理解や自社理解・市場理解を実現します。

Context Lakeはこの一連の機能により、コンテクストデータを起点に、企業内の顧客・市場・事業成果の間のデータの分断を解消します。これにより、顧客体験価値の向上と事業戦略の策定を直結させた「データAI戦略設計基盤」の構築を可能にします。

「Context Lake」を起点とした提供価値

株式会社プレイドは、顧客コンテクストを自動で理解するContext Lakeの提供において、そこで抽出・蓄積された顧客コンテクストとコンテクストデータを顧客体験価値向上や事業戦略策定につなげるための追加AIも提供します。具体的には、コンテクストデータで事業環境を可視化して戦略策定につなげる「Context Cube(コンテクスト キューブ)」と、顧客コンテクストを理解したAIエージェントをあらゆる業務領域で実装する「Context Agent(コンテクスト エージェント)」が併せて活用できます。

Context Lake、Context Cube、Context Agentの関係性を示す図

顧客コンテクストを備えたデータ基盤を構築する(Context Lake)

Context Lakeは、あらゆる種類の構造化データや非構造化データといった生データを事前に整理し、生成AI活用に不可欠なコンテクストデータを即座に利用できる "AI-Ready" なデータ環境を構築します。顧客コンテクストをデータとして自動で抽出・蓄積するデータ基盤を構築し、このコンテクストデータをあらゆる顧客接点で活用できるようにします。さらに、顧客コンテクストを事業上の意思決定にまで接続することで、データが一貫して事業活動を支援する環境を実現します。

コンテクストデータで事業環境を可視化し、戦略策定につなげる(Context Cube)

Context Cubeは、独自のデータAI技術で抽出したコンテクストデータを用いることで、例えば「LTV(顧客生涯価値)が高い顧客は、どのような背景や動機のもと、どの商品をいつ、どれくらい購入しているのか」や、「この商品を購入している顧客のうち、高LTV層がどれくらい存在し、どのような購買意図を持っているか」といった情報を詳細に可視化します。

これにより、売上や利益率といった事業上の経営指標を、顧客の内訳や購買の文脈という観点から評価できるようになります。そして、トップライン(売上)の向上に寄与する顧客価値創出のメカニズム解明と、それに基づいた戦略策定の指針を提供することが可能になるとしています。

顧客コンテクストを理解したAIエージェントを実装する(Context Agent)

株式会社プレイドによれば、AIエージェント活用においては、AIの出力をより正確にするために、入力するコンテクストデータを調整する「コンテクストエンジニアリング」が必須の重要技術として注目されています。同社は顧客接点におけるAI活用の鍵となる、顧客のコンテクストデータをAIに提供する技術を実現しました。

これにより、AIエージェントはより期待に沿った挙動を示せるようになると説明しています。企業はこの技術を用いることで、自社顧客のコンテクストを深く理解したAIエージェントを自社サービスに実装できます。一般的なAIモデルが既に満たしている「一定の水準」をさらに強化し、独自の体験価値創出や独自の意思決定支援を行う、企業専用のAIエージェントを提供することが可能となります。

独自のデータAI技術と専門人材による伴走支援で、顧客中心経営実現のための戦略パートナーへ

株式会社プレイドによれば、Context Lakeをはじめとした同社独自のデータAI技術は、専門人材によるプロフェッショナルサービスにより提供されます。同社は企業支援の領域を経営レイヤーの課題解決にまで広げ、AI-Readyなデータ環境への刷新・高度な顧客理解に基づくデータドリブンな戦略策定・洗練された顧客体験の実現による事業成長までをフルサポートし、AI時代に求められる顧客中心経営の実現に貢献するとしています。

株式会社プレイドについて

株式会社プレイドは「データによって人の価値を最大化する」をミッションに掲げるテクノロジーカンパニーです。2015年にCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の正式提供を開始しました。1st Party Customer Dataのリアルタイム解析を強みとするKARTEシリーズのプロダクトとCX戦略策定から実行まで担うプロフェッショナルサービスの提供により、顧客提供価値最大化のための伴走パートナーとして企業の事業成長に貢献しています。

出典元:株式会社プレイド プレスリリース

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ