株式会社プレイド、企業の新収益源となるコマースメディア事業「KARTE Offers」を2026年春に提供開始予定

株式会社プレイドは、企業が自社のサービスサイトやアプリ内で広告を表示することによって新たな収益源を確保できる「コマースメディア事業」の開始を発表しました。同社が提供する新サービス「KARTE Offers(カルテ オファーズ)」は、企業が保有する顧客データを活用し、AIによる自動解析で高精度な広告マッチングを実現するとのことです。ベータ版の提供開始は2026年春頃を予定しているそうです。

コマースメディアとは、インターネット広告におけるリテール(小売)メディア市場の急成長を背景に、小売業に限らず様々な業種が参入している広域な概念です。プレイド社の事業では、業種を問わずウェブサイトやアプリ上で購入や申し込みなどの取引が発生するサービスすべてを対象としています。

コマースメディア事業開始の背景

企業のDX推進に伴い、アメリカの流通・小売業から始まったリテールメディア事業およびその市場は日本国内でも拡大を続けています。市場規模は2024年に4,692億円、2028年には約2.3倍の約1兆845億円に達すると予測されています。また、この市場拡大とともに、小売企業だけでなく金融サービス業や航空会社、ホテルなど多様な業種からの参入も相次いでいます。

プレイド社は2015年にCX(顧客体験)プラットフォーム「KARTE」の提供を開始して以来、EC、流通、金融、不動産、旅行やエンタメなど幅広い業種の企業における1st Party Customer Data(自社が直接取得した顧客データ)の収集・分析を支援し、顧客体験の向上に貢献してきました。2022年からは広告事業にも進出し、顧客の広告接触体験の向上を目指して「KARTE Signals」をリリースしたほか、広告レポート作成や運用業務の自動化を手掛けるアジト株式会社をグループ会社化するなど、インターネット広告分野での新たな価値創出に取り組んできたとのことです。

近年急速に普及しているリテールメディア事業においても、プレイド社は自社の強みを活かせると確信し、事業開始の準備を進めてきたそうです。その過程で、KARTEを利用する企業から「リテールメディア事業を検討しているが、KARTEならサービス利用体験を妨げることなく、当社のユーザー志向に合った広告配信が実現できるのではないか」といった要望が寄せられたとのことです。既存のKARTEを活用した実証実験を進めた結果、広告収益を獲得する企業が出てきたことから、コマースメディア事業「KARTE Offers」の正式開始に至ったことが明らかになりました。

※市場規模予測出典:「CARTA HOLDINGS、リテールメディア広告市場調査を実施」(株式会社CARTA HOLDINGS)

KARTE Offersのサービス概要

KARTE Offersは、企業が保有する1st Party Customer Dataを活用したコマースメディア事業の立ち上げを総合的にサポートするサービスです。顧客データを活用し、プレイド社独自のAIモデルで自動的に解析することで、高い精度での広告マッチングを実現するとしています。これまでKARTEで培ってきたオンサイトマーケティングの知見を活かし、広告クリエイティブ、配信ページ、表示タイミングなどを最適化することで、顧客体験を阻害せずに広告を提供することが可能になるとのことです。

また、広告収益を最大化するため、KARTE Offersでは広告取引にオークション形式を採用しています。これにより、インプレッション(広告の表示回数)が適正な価格で取引されるようになるそうです。

KARTE Offersは、以下の2種類の広告配信に対応しています:

  1. エンデミック広告:広告の表示と決済が同一サービス内で完結する広告
  2. ノンエンデミック広告:表示された広告をクリックすると別のサイトに遷移する広告

これらを同時にサポートすることで、様々なビジネスモデルに対応することが可能だと同社は説明しています。KARTE Offersのベータ版提供開始は、2026年春頃を予定しているとのことです。

コマースメディアがもたらす企業の新たな収益機会

インターネット広告市場の進化に伴い、自社が保有する顧客データとデジタル接点を活用した新たな収益モデルへの注目が高まっています。これまでECサイトやアプリは、主に自社商品・サービスの販売チャネルとして位置づけられてきましたが、コマースメディア化により広告媒体としての価値も持つようになります。

プレイド社は2015年のKARTE提供開始以来、企業と顧客との接点における体験価値向上に取り組んできました。今回のKARTE Offers提供開始により、企業は顧客体験を損なうことなく、自社サイトやアプリを広告媒体として活用できるようになるとされています。これは企業側にとっての新たな収益源確保だけでなく、利用者に対してもパーソナライズされた関連性の高い情報提供という形で付加価値を生み出すことが期待されています。

リテールメディアの市場拡大に伴い、今後は小売業だけでなく、金融、航空、ホテル、エンターテインメントなど幅広い業種でのコマースメディア化が進展すると予測されています。プレイド社は長年培ってきた顧客データ活用のノウハウとAI技術を融合させ、この新たな市場でのイノベーションをリードしていく方針だということです。

KARTE Offersが提供する技術的優位性

KARTE Offersの最大の特徴は、企業が保有する1st Party Customer Dataを最大限に活用できる点にあるとされています。サードパーティCookieの廃止など、プライバシー規制が強化される中で、自社が直接取得した顧客データの価値は高まる一方です。KARTE Offersはこうした環境変化を先取りし、プライバシーに配慮しながら効果的な広告配信を可能にするとのことです。

また、プレイド社独自のAIモデルによる自動解析機能により、顧客の興味・関心と広告内容のマッチング精度を高めることができるとしています。これにより、単なる広告表示にとどまらない、顧客にとって価値ある情報提供を実現するとのことです。

さらに、広告オークション形式の採用により、広告枠の価格最適化と収益最大化を両立。エンデミック広告とノンエンデミック広告の両方に対応することで、様々なビジネスモデルに柔軟に適応できる設計となっていることが特徴です。

KARTE Offersは、これまでプレイド社が蓄積してきたCX(顧客体験)向上のノウハウを広告領域に応用することで、「広告を見せること」と「優れた顧客体験の提供」という、これまで相反すると考えられていた2つの価値の両立を目指しているそうです。

出典元:株式会社プレイド

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