
中国の人気メッセージングアプリWeixinは2025年10月8日、2025年国慶節・中秋節のデータレポートを公開しました。このレポートによると、中国本土観光客の海外旅行がWeixin PayとWeixinミニプログラムによって大きく促進され、10月最初の5日間でWeixin Payの越境決済取引が前年同期比で21%増加したことが明らかになりました。また、Weixinミニプログラムを通じた海外交通セクターでの取引は前年同期比で2.5倍に急増しています。
この記事の目次
日本市場での成長とシームレスな決済体験
日本市場においては特に顕著な成長が見られ、Weixin Pay取引が25%以上増加しています。この成長は、PayPay、auPAY、merpay/d-baraiといった日本国内の主要電子マネーサービスとの連携・統合が大きく貢献しているとのことです。この統合により、中国からの観光客はより豊かでシームレスな旅行体験を享受できるようになっています。
Weixinは世界展開を積極的に進めており、現在そのミニプログラムサービスは92の国と地域をカバーするまでに拡大しています。今回の連休期間中、海外ミニプログラムを通じた観光セクターの取引量は前年同期比で50%以上増加し、飲食セクターにおいても30%の増加が記録されました。また、海外の中小企業(SME)が提供するミニプログラムを利用する中国人観光客による1日平均取引額も、前年同期比で70%以上の大幅増となっています。
交通分野での利便性向上
交通分野においては、UberやGrabなどの配車サービスのWeixinミニプログラムが、海外旅行をする中国人観光客に大きな利便性をもたらしています。また、韓国のKorailやイタリアのFrecciarossa、Italoなどの鉄道サービスも、中国人観光客の長距離移動をより簡単にしているとのことです。
さらに、連休直前に新たに開設された香港エアポートエクスプレス、クアラルンプールエアポートエクスプレス、そしてロンドンのヒースロー・エアポート・エクスプレスのチケット購入専用Weixinミニプログラムにより、個人旅行者の利便性は一層向上しました。これらのサービスにより、中国人観光客は海外の主要空港と都市中心部の間をスムーズに移動できるようになっています。
インバウンド観光におけるWeChatの役割拡大
一方で、インバウンド観光の観点からも、WeChatは国際的な観光客が中国を体験するための主要ツールとしての地位を確立しつつあります。今回のゴールデンウィーク最初の5日間では、Weixinミニプログラムを訪問する海外からの観光客ユーザー数が、1日平均で前年同期比60%以上増加したことがわかりました。
夏季休暇期間のデータによれば、国際的な銀行カードをWeixin Payにリンクした海外ユーザーによる中国本土での取引量は大幅に増加しており、特に重慶と成都においては前年同期比で取引件数が2倍に達しています。これは外国人旅行者がWeixin Payを利用して中国本土での決済をより積極的に行うようになっていることを示しています。
香港住民の中国本土旅行における電子決済利用の急増
今回の連休では、多くの香港住民が「北上旅行」と呼ばれる中国本土への旅行を楽しみました。WeChat Pay HKのデータによると、香港ドルのe-ウォレットを使用して中国本土で消費する香港住民による取引量は、前年同期比で120%以上という劇的な増加を示しています。
オンラインおよびオフラインのショッピング需要は引き続き堅調で、取引額の前年比成長率では、eコマースサービス、ペットサービス、宅配便サービスがトップ3のセクターとしてランクインしました。また、国慶節連休期間中に本土を訪れる香港住民にとって、エンターテイメントショーとスポーツイベントが最も成長率の高いレジャー活動となっています。
越境観光がもたらす電子決済の新たな展開
今回のデータは、中国本土からの越境観光客と海外からの中国訪問客の双方が、Weixinエコシステムを活用して、より便利で効率的な旅行体験を実現していることを示しています。特に注目すべきは、Weixin Payとそのミニプログラムが、言語や通貨の障壁を越えて、シームレスな決済体験と観光情報の提供を実現していることです。
Weixinの国際展開は、決済だけでなく、交通、宿泊、飲食、買い物といった旅行のあらゆる側面をカバーするエコシステムを構築することで、中国と世界の観光業界に変革をもたらしています。特に日本市場においては、現地の電子決済サービスとの統合を積極的に進めることで、中国人観光客のインバウンド消費を促進する重要なプラットフォームとなっているようです。
越境電子決済の今後の展望
今回の国慶節・中秋節期間中のデータは、越境電子決済市場の着実な成長を示しています。特に、世界各地での旅行制限の緩和に伴い、国際観光が活発化する中で、Weixinのようなプラットフォームが果たす役割はますます重要になっていくと考えられます。
海外旅行をする中国人観光客数の増加とともに、中国を訪れる外国人観光客によるWeixin Payの利用も増加傾向にあります。これは、Weixinが単なる中国国内向けのサービスから、真のグローバルな決済・生活プラットフォームへと進化していることを示しています。
特に日本においては、インバウンド観光の回復とともに、日本の電子決済サービスとWeixin Payの連携がさらに重要性を増すと予想されます。PayPayやauPAY、merpay/d-baraiとの連携は、中国人観光客にとって日本での買い物や飲食をより便利にするだけでなく、日本の小売・サービス業にとっても重要な販売チャネルとなっています。
Weixinミニプログラムの拡大による観光体験の向上
Weixinミニプログラムの世界展開は、観光客にとってアプリをダウンロードすることなく、さまざまな現地サービスにアクセスできるという大きなメリットをもたらしています。今回のデータによれば、海外での観光関連取引が50%以上増加したことからも、このアプローチの有効性がうかがえます。
特に交通分野では、UberやGrabといった配車サービスから、各国の空港エクスプレスや鉄道サービスまで、幅広いサービスがWeixinミニプログラムを通じて提供されるようになっています。これにより、言語の壁を感じることなく、現地の交通手段を利用することが可能になり、旅行者の移動における不安や困難を大幅に軽減しているとのことです。
今後も、Weixinはミニプログラムのカバーエリアと機能をさらに拡大し、世界中の観光客にとってより便利で包括的な旅行支援ツールとなることが予想されます。現在92の国と地域をカバーしているミニプログラムは、将来的にはさらに多くの地域やサービス分野に拡大していくでしょう。
越境電子決済がもたらす経済効果
Weixin Payのような越境電子決済プラットフォームの普及は、単に観光客の利便性を高めるだけでなく、目的地の経済にも大きな影響を与えています。特に海外の中小企業(SME)にとって、Weixinミニプログラムを通じた中国人観光客へのアクセスは重要な収益源となっています。
今回の連休中、海外中小企業のミニプログラムを利用する中国人観光客による1日平均取引額が前年同期比で70%以上増加したという事実は、これらのプラットフォームが地域経済の活性化にも貢献していることを示しています。
また、香港住民による中国本土での消費に関するデータも、越境電子決済がもたらす経済効果を示す重要な指標となっています。香港ドルe-ウォレットを使用した中国本土での取引量が120%以上増加したことは、近隣地域間の経済交流においても電子決済が重要な役割を果たしていることを示しています。
今後、越境電子決済の普及とともに、観光地での消費パターンやビジネスモデルにもさらなる変化が見られることが予想されます。特に、事前予約や非接触決済の需要が高まる中、Weixinのようなプラットフォームの重要性はますます増していくでしょう。
出典元:Tencent Holdings Ltd. プレスリリース