デザイン外注の満足度調査:86.7%が成果物に満足も、約4割が「意図伝達」に最大のストレスと回答

企業におけるブランド価値の向上や顧客との信頼関係構築に不可欠なデザイン業務は、現在多くの企業で外部委託が標準的な選択肢となっています。高品質なデザイン成果物を外注によって獲得できる一方で、制作過程におけるコミュニケーションやスピード感についての課題を感じている企業も少なくありません。

株式会社デザポケが、全国の就労中の20代から60代の男女181名を対象に「デザインの外注満足度」に関するアンケートを実施し、その結果を発表しました。調査結果からは、企業がデザイン外注に何を期待し、どのような不満や改善点を抱えているのかが明らかになっています。今後のデザイン活用の方向性を検討する際の参考資料として活用できる内容となっています。

調査対象者の属性

今回のアンケート調査では、調査対象者の性別・年齢・業種・役職・従業員規模について質問が行われました。

【 選択肢 】

▼性別

・男性

・女性

▼年齢

・20代

・30代

・40代

・50代

・60代以降

▼業種

・IT・Web関連

・広告・出版・メディア

・製造業

・卸売・小売

・医療・福祉

・公共団体・教育

・その他

▼役職

・経営者・役員

・管理職

・一般社員

・個人事業主・フリーランス

・その他

▼従業員規模

・10名未満

・10名〜49名

・50名〜99名

・100名〜299名

・300名以上

あなたの性別を教えてください。 人数 割合
男性 75 41.44%
女性 106 58.56%
181 100.00%
あなたの年齢層を教えてください。 人数 割合
20代 32 17.68%
30代 76 41.99%
40代 49 27.07%
50代 15 8.29%
60代以降 9 4.97%
181 100.00%
あなたの業種に最も近いものを教えてください。 人数 割合
IT・Web関連 33 18.23%
広告・出版・メディア 27 14.92%
製造業 25 13.81%
卸売・小売 24 13.26%
医療・福祉 17 9.39%
公共団体・教育 14 7.73%
その他 41 22.65%
181 100.00%
あなたの役職または立場を教えてください。 人数 割合
経営者・役員 10 5.52%
管理職 27 14.92%
一般社員 106 58.56%
個人事業主・フリーランス 34 18.78%
その他 4 2.21%
181 100.00%
会社の従業員規模を教えてください。 人数 割合
10名未満 47 25.97%
10名〜49名 55 30.39%
50名〜99名 28 15.47%
100名〜299名 17 9.39%
300名以上 34 18.78%
181 100.00%

この調査では、全国の20代~60代以上の男女181名を対象として、デザインの外注に関する満足度についてのアンケート調査が実施されました。

デザイン制作の外部発注経験

【 選択肢 】

▼外部への発注経験の有無

・はい

・いいえ

▼発注先

・デザイン制作会社・広告代理店など(法人)

・フリーランス(個人)

97%がデザイン制作を外部に発注した経験あり!外注は一般的なビジネスプロセスとして定着

過去1年以内に、デザイン制作を外部に発注した経験はありますか? 人数 割合
はい 175 96.69%
いいえ 6 3.31%
181 100.00%
その制作物は、主にどちらに発注しましたか? 人数 割合
デザイン制作会社・広告代理店など(法人) 97 53.59%
フリーランス(個人) 84 46.41%
181 100.00%

調査結果によると、過去1年以内にデザイン制作を外部に発注した経験がある企業は約97%に達し、ほぼすべての企業が外注を活用していることが明らかになりました。

このデータから、デザイン業務の外部委託は特定の企業だけが選択する特殊な手段ではなく、むしろ標準的なビジネスプロセスとして広く定着していると言えます。

また、外注先の選択に関しては、法人(デザイン制作会社・広告代理店など)とフリーランス(個人)の差はわずか7.18%と小さく、企業規模や案件内容に応じて柔軟に外注先を選択している状況がうかがえます。

デザイン成果物に対する満足度

【 選択肢 】

・とても満足

・やや満足

・どちらともいえない

・やや不満

・とても不満

外注デザインの満足度は86.7%!品質の高さが評価ポイント

発注したデザインの最終的な【成果物】に対する満足度を教えてください。 人数 割合
とても満足 72 39.78%
やや満足 85 46.96%
どちらともいえない 15 8.29%
やや不満 7 3.87%
とても不満 2 1.10%
181 100.00%

外注したデザインの成果物に対する満足度は、「とても満足」が39.78%、「やや満足」が46.96%と、合計で86.7%の回答者が満足していることが明らかになりました。

この結果は、法人・フリーランスを問わず、デザイン市場全体の専門性が高く、クオリティの高い成果物を提供できるパートナーを見つけやすい環境が整っていることを示しています。

自由回答では、満足度の高い理由として次のような意見が寄せられています。

  • デザインの最終的な成果物は再現性が高くクオリティが高いものを納品してくれました。
  • こちらの要望を丁寧にヒアリングしてくれて、イメージ通りのデザインに仕上げてもらえました。
  • 費用感、スピード含め外注の方が負担少なく良かった。
  • 実際に成果物を見て入会したり興味を持ってくれた人が多かった。

これらの回答から、外注デザインが評価される要素は単に見た目の美しさだけでなく、業務負担の軽減や顧客行動の促進といった実質的な効果にまで及んでいることがわかります。

企業にとってデザインの外注は、単なるリソース補完の手段にとどまらず、マーケティング成果を向上させる戦略的なパートナーシップとしての役割も果たしていると言えるでしょう。

デザイン制作プロセスに対する満足度

【 選択肢 】

・とても満足

・やや満足

・どちらともいえない

・やや不満

・とても不満

デザイン完成までのプロセスには8割以上が満足している

デザインが完成するまでの【プロセス(過程)】に対する満足度を教えてください。 人数 割合
とても満足 59 32.60%
やや満足 87 48.07%
どちらとも言えない 23 12.71%
やや不満 9 4.97%
とても不満 3 1.66%
181 100.00%

デザイン外注における制作プロセスに関する満足度は、「とても満足」32.60%と「やや満足」48.07%を合わせて、80.7%の回答者が肯定的な評価を示しました。

自由回答では、プロセスに対する満足度が高い理由として以下のような意見が挙げられています。

  • レスポンスが早く、スムーズなやりとりができた。
  • 要望を丁寧にヒアリングしてくれた点は好印象。
  • 数回のデザインの修正に、丁寧に対応してもらえた。
  • 納期より早く仕上げてくれた。

これらの回答から、外注デザインにおいては最終的な成果物の品質だけでなく、迅速なコミュニケーションや意図の正確な把握といったプロセス面も重視されていることが明らかになりました。

制作プロセスにおける不満点とストレス要因

【 選択肢 】

・こちらの意図やニュアンスが正確に伝わらなかった

・担当者からの返信が遅かった

・修正をお願いしづらい雰囲気だった

・想定より納品までの時間がかかった

・期待したような提案がなかった

・見積もりを超えた追加費用が発生した

・専門用語が多く、説明が分かりにくかった

・その他

最も大きなストレスは"意図が伝わらないこと"約4割が不満

制作プロセスにおいて不満に感じた点をすべてお選びください。 人数 割合
こちらの意図やニュアンスが正確に伝わらなかった 44 24.86%
担当者からの返信が遅かった 31 17.51%
修正をお願いしづらい雰囲気だった 28 15.82%
想定より納品までの時間がかかった 26 14.69%
期待したような提案がなかった 22 12.43%
見積もりを超えた追加費用が発生した 14 7.91%
専門用語が多く、説明が分かりにくかった 10 5.65%
その他 2 1.13%
177 100.00%
上記の不満の中で、最も大きなストレスを感じたものはどれですか? 人数 割合
こちらの意図やニュアンスが正確に伝わらなかった 35 39.33%
担当者からの返信が遅かった 15 16.85%
想定より納品までの時間がかかった 14 15.73%
期待したような提案がなかった 9 10.11%
修正をお願いしづらい雰囲気だった 6 6.74%
見積もりを超えた追加費用が発生した 5 5.62%
専門用語が多く、説明が分かりにくかった 4 4.49%
その他 1 1.12%
89 100.00%

デザイン外注のプロセスにおいて最も多く挙げられた不満点は「意図やニュアンスが正確に伝わらなかった」という点で、全体の24.86%を占めました。

さらに「最も大きなストレス要因」としても39.33%と最多となっており、コミュニケーション上の齟齬がデザイン外注における最大の課題であることが明らかになりました。

実際、制作意図が適切に伝わらないことは修正回数の増加や、コミュニケーションコストの増大を招く要因となります。

「意図やニュアンスが伝わらない」という問題は、それ自体がストレスであるだけでなく、他の不満点の原因にもなるため、最も大きなストレス要因として認識されていると考えられます。

返信の遅さ・納期遅延も根強い課題に。スピード感へのニーズ顕在化

デザイン外注における不満点として、「担当者からの返信が遅かった」(16.85%)と「想定より納品までの時間がかかった」(15.73%)が、それぞれストレス要因の第2位・第3位を占めました。

これらは「不満を感じた点」としての回答比率とほぼ同水準であり、発生頻度と同様にストレス要因としても根強い課題であることがわかります。

一方で、「修正をお願いしづらい雰囲気だった」という不満は15.82%と一定数見られたものの、「最も大きなストレス」として挙げる割合は6.74%にとどまりました。

これは実際の成果物や進行に直接影響するケースが限定的であることから、深刻なストレスとしては認識されにくいと考えられます。

まとめ

今回の調査から、デザイン外注は多くの企業で一般化しており、納品される成果物に対する満足度は86.7%と高いことが明らかになりました。

一方で、「意図の伝達」や「スピード感」といったコミュニケーション面での課題は、担当者にとって大きなストレス要因となっていることも浮き彫りになっています。

この結果は、デザイン外注においては単なる技術力や品質だけでなく、制作プロセスにおける円滑なコミュニケーションの重要性を示しています。

今後は、高品質な成果物の提供に加え、スムーズでスピーディなやり取りを実現できる体制が、デザイン外注の新たな価値創出につながると考えられます。

出典元:株式会社デザポケ「デザインの外注満足度調査 2025年9月」プレスリリース

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