ラクスル株式会社は、デジタルサイネージ市場の急速な成長を背景に、2025年9月11日より全国300,000面を超えるサイネージを一元管理・販売できる新プラットフォーム「ラクスルサイネージ」の提供を開始することを発表しました。
同社は、位置情報ビッグデータと生成AI技術による人流データ活用プラットフォームを開発するクロスロケーションズ株式会社と業務提携を締結しました。サイネージの効果測定やターゲティング精度を高めたサービスの提供を開始するとともに、今後さらなる高度化に向けた新サービスの共同開発にも取り組む予定とのことです。両社は、サイネージ広告とスマホ広告を組み合わせたオンオフ統合マーケティングの実現を目指しています。
この記事の目次
サービス開始の背景と目的
近年、デジタルサイネージはコロナ後の人流回復を受け、街中や商業施設、交通機関などに急速に普及しています。消費者の購買行動に直接影響を与える「店舗直前の接点」として注目を集め、認知から購買までの中間段階を担うブリッジ広告として活用されることで、来店率や購買率の向上に寄与することが実証されつつあります。
2027年にはデジタルサイネージ市場は1,300億円規模に達すると見込まれ、広告・マーケティングの新たな成長分野として注目を集めています。一方で、価格の不透明さ、効果測定の不十分さ、専門知識を要する煩雑な出稿プロセスなど広告主にとって出稿判断が難しく、広告主・媒体社双方にとって解決すべき課題が残されているのが現状です。
ラクスルはこれまで、印刷・テレビCMといったオフライン領域にテクノロジーを導入し、効率化と透明化を推進することで、誰もが手軽に活用できる仕組みを提供してきました。今回のサイネージ市場への本格参入では、以下の3点を同時に実現することを目的としているとのことです。
- 広告投資対効果の見える化(人流データやアンケート活用による数値化、レポート化)
- 広告主にとっての使いやすさ(全国300,000面超をカートで購入できるEC型プラットフォームの提供と低コストプランによる利用ハードルの解消)
- 媒体価値の最大化(サイネージ事業社にとって販売機会を広げるアドネットワーク化)
同社は「成果を見える化しながらPDCAを回せる」環境を提供することで、日本におけるオフライン広告市場成長をリードしていく方針だと発表しています。
「ラクスルサイネージ」サービス概要
ラクスルサイネージプラットフォームは、全国にあるサイネージの情報を地図上にマッピングし、広告主の方々に様々なサイネージを一括で比較検討・発注いただけるプラットフォームです。主な特徴は以下の通りです。
- 全国300,000面超の小型サイネージを集約:マンション、コンビニ、映画館、商業施設など様々なサイネージを集客
- 一元管理・一括買付:カートで購入するように広告枠を選択可能
- 目的に合わせた最適な販売:リーチしたい属性や目的ごとに最適なサイネージの組み合わせを提供。指定したエリアの範囲内のサイネージをまとめて問い合わせが可能
- 24時間施策の検討が可能:オンライン上のデータでいつでも即座に施策の検討が可能
- 効果可視化:アンケート調査や人流データと連携し、広告効果を数値でレポート
- 低コスト導入:2万円から出稿可能、従来高額だった媒体を最適価格で提供
ラクスルは、このプラットフォームにより従来時間がかかっていたサイネージ広告の検討・活用の機会を大幅に増加できると考えているそうです。同社はデジタルサイネージ広告を「認知と購買の中間を担うブリッジ広告」と位置づけ、購買行動を後押しする新しいマーケティング手段として提供していくとしています。

クロスロケーションズとの提携意義
デジタルサイネージ市場は拡大を続ける一方で、広告効果の可視化や標準化が十分に進んでおらず、「本当に効果があるのか分かりにくい」という構造的な課題を抱えてきました。広告主は投資判断が難しく、媒体社にとっても広告価値を十分に訴求できない状況が続いています。
ラクスル株式会社は、位置情報ビッグデータと生成AI技術による人流データ活用プラットフォームを開発するクロスロケーションズ株式会社との業務提携により、この課題の解決を図るとしています。今回の提携にあたり、ラクスルはクロスロケーションズの既存株の取得と増資を引き受けたことも発表されています。
両社の強みを掛け合わせることで、従来の「感覚で買う広告」から「効果を実証できる広告」へと転換し、広告主が安心して投資できる環境を整備するとともに、サイネージ事業者や代理店様にとっても価値のある仕組みを構築していくとのことです。
本提携を通じ、両社は新たな取り組みを推進し、広告主・媒体社双方にこれまでにない新しい価値を提供するとしています。
提携による主な取り組み
1. 人流データ連携
全国約300,000面のサイネージ周辺における人流データをデイリーで可視化します。サイネージ媒体ごとの視聴可能性人数が可視化されるため、広告主は「どのような人が広告を見ているのか」が把握可能になります。これにより、媒体選定の比較検討の精度が飛躍的に向上するとのことです。
2. オン・オフ統合広告
サイネージ広告とスマホ広告をセットで提供します。人流データを活用し、オフライン×オンラインを連動させたターゲティング配信を実現。デジタルサイネージを視認可能なロケーションにいたユーザーを特定し、スマートフォンを通じてリアルタイムに情報を届けることができます。提携アプリを経由し、通知機能や広告枠を活用することで、クーポンやイベント案内などを配信可能です。「見て終わり」ではなく、「見た瞬間から始まる」広告体験を設計できるのが特徴だと説明されています。
活用例としては以下のようなケースが想定されているとのことです。
- 駅やオフィス街のサイネージで新商品を訴求し、その後、広告に接触した通勤者のスマートフォンへ詳細情報をリマインド配信
- 商業施設内のサイネージでイベントを告知し、施設内のユーザーにスケジュールや参加案内を即時配信
- サイネージを視認したユーザーに対し、後日クーポン広告をスマートフォンに表示することで、再来店を促進
3. 効果測定レポート
来店計測データを活用し、広告接触者の実際の行動変容を可視化します。広告効果を定量的に把握できる仕組みを提供するとしています。
4. 広告媒体価値の向上
広告主にとって効果が分かる仕組みを提供することで、サイネージ事業者の販売機会を拡大し、市場全体の成長を後押しするとのことです。

クロスロケーションズ株式会社について
クロスロケーションズ株式会社は、位置情報ビッグデータと生成AI技術を組み合わせた人流データ活用プラットフォームを自社開発し、企業・団体に提供しています。主力サービスには、人流データ活用プラットフォーム「Location AI Platform®」、Webサービス「人流アナリティクス®」、訪日外国人の行動を可視化する「インバウンドアナリティクス+」があります。
さらに、人流データを活用して企業のビジネス拡大を支援する「Location Marketing Service」や、訪日外国人向け広告配信サービス「Inbound Marketing Service」など、マーケティングソリューションも展開しています。データとAIが駆動する次世代のマーケティング基盤も提供しているとのことです。
ラクスル株式会社 会社概要
ラクスル株式会社は、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」という企業ビジョンのもと、「End-to-Endで中小企業の経営課題を解決するテクノロジープラットフォーム」を目指し、事業運営をしています。従来の「モノ」を中心とした事業領域にとどまらず、企業経営における「ヒト・モノ・カネ」すべての管理領域でのサービス提供を通じて、日本企業の約99.7%を占める中小企業の包括的な経営課題解決を実現していくとしています。
名称:ラクスル株式会社
所在地:東京都港区麻布台一丁目3番1号 麻布台ヒルズ 森JPタワー 19階
代表取締役社長 グループCEO:永見 世央
設立年月日:2009年9月1日
出典元:ラクスル株式会社 プレスリリース