
生活者を中心としたマーケティング支援事業を提供する株式会社ネオマーケティング(所在地:東京都渋谷区)は、2025年7月8日(火)〜2025年7月9日(水)の2日間、全国の18歳以上の男性を対象に「メンズスキンケア」をテーマとしたインターネットリサーチを実施しました。この調査では、日常的にスキンケアを行っている男性400名から回答を得て、男性のスキンケア習慣や購買行動に関する実態が明らかになりました。
この記事の目次
- 1 調査背景
- 2 調査概要
- 3 「メンズスキンケアに関する調査」主な質問と回答
- 4 調査結果の詳細
- 4.1 自身が普段行っているケア(n= 1,402)
- 4.2 スキンケアへの関心(n= 1,014)
- 4.3 スキンケア(洗顔・保湿・UV対策など)を行う頻度(n= 704)
- 4.4 現在使っているスキンケアアイテム(n= 400)
- 4.5 スキンケアを行う理由(n= 400)
- 4.6 スキンケアに対して感じているハードルや不満点(n= 400)
- 4.7 スキンケアに関する情報の収集経路(n= 400)
- 4.8 スキンケア用品を購入する場所(n= 400)
- 4.9 男性用スキンケア商品(ブランド)に対して抱いている印象(n= 400)
- 4.10 スキンケア商品の「男性用」表記による購入意欲変化(n= 400)
- 4.11 「男性用」表記で購入意欲が高まる理由(n= 212)
- 4.12 スキンケアにかける1ヶ月あたりの金額(n= 400)
調査背景
近年、男性の生活において、メイクや美容医療だけでなく、毎日の洗顔や保湿といった基礎的なスキンケアが定着しつつあります。特にSNSを活用する10~20代の間では、美肌は身だしなみの一部と捉えられており、真夏には暑さ対策・紫外線対策を兼ねて日傘を使用する男性も珍しくなくなってきました。現在は男性美容が価値観の転換点を迎える「過渡期」であると言えるでしょう。
調査概要
調査の方法:株式会社ネオマーケティングが運営するアンケートシステムを利用したWEBアンケート方式で実施
調査の対象:全国の18歳以上の男性で、スキンケアを行っている人
有効回答数:400名
調査実施日:2025年7月8日(火)〜2025年7月9日(水)
「メンズスキンケアに関する調査」主な質問と回答
スキンケア商品の「男性用」表記による購入意欲変化は:53.1%が「購入したくなる」と回答しています。全体の過半数が「男性用」と明示された商品に対してポジティブに反応しており、一方「変わらない」は40.8%、ネガティブ回答は1桁台にとどまりました。
スキンケアにかける1ヶ月あたりの金額は:10〜20代の20%が月5,000円以上をスキンケアに投資しています。全体の月間支出は「~999円」が最多(37.5%)で、次いで「1,000円~2,999円」(29.3%)と低価格帯が続きました。一方、5,000円以上を投じる"高投資層"の割合を年代別で比較すると、10–20代が20.0%で最も高く、30代16.0%、40代14.0%、50代6.0%と年齢とともに減少していることが分かりました。
調査結果の詳細
はじめにスクリーニング回答者全体に対し、自身が普段行っているケアについて質問しました。
自身が普段行っているケア(n= 1,402)
洗顔実施率は64.8%と高水準でしたが、化粧水は27.3%、乳液16.5%、保湿クリーム12.3%と急落し、洗浄後の保湿まで一貫して行う人は少数派にとどまっています。男性のスキンケアは「洗う」までは浸透している一方、「整える・守る」段階にはまだ壁があるようです。
続いて、前掲した設問【自身が普段行っているケア】にて、いずれかのスキンケアをしていた人に対し、スキンケアそのものに関心があるかを質問しました。
スキンケアへの関心(n= 1,014)

「やや関心(関心)がある」が29.8%で最多となりました。一方、「あまり関心がない」「全く関心がない」が計30.6%、「どちらともいえない」が22.4%と、積極派と消極派がほぼ二分される結果となりました。"ケアへの関心は薄いが、洗顔をはじめとする最低限のケアはする"という消極層が依然として多いことが分かります。
前掲した設問【スキンケアへの関心】にて「とても興味(関心)がある」「やや興味(関心)がある」「どちらともいえない」と回答した人に対し、スキンケア(洗顔・保湿・UV対策など)をどのくらいの頻度で行っているかを質問しました。
スキンケア(洗顔・保湿・UV対策など)を行う頻度(n= 704)

スキンケア関心層のうち62.4%が「毎日」ケアを実施しています。「週に数回」19.2%を合わせると80%超がほぼルーティン化していることが明らかになりました。
現在使っているスキンケアアイテム(n= 400)

現在使用しているアイテムは「洗顔料」が74.0%で全体トップとなりましたが、年代別では、50代のみが59.0%に下落し、日常的な洗浄さえルーティン化していない層が一定数いることが分かります。
保湿系では「化粧水」が全体51.3%ですが、10–20代・30代が60%超であるのに対し、50代は31.0%と半減しており、年代間ギャップが最も顕著でした。
注目すべきは「美容液」で、10–20代の22.0%が使用し、全体平均14.5%を大きく上回っています。成分訴求型コスメやSNSの情報拡散により、毛穴・美白・ニキビなど個別の肌悩みをピンポイントで改善しようとする投資志向が若年層の間で早くから芽生えていると考えられます。30代では「オールインワン化粧品」が21.0%と最多で、時短ニーズと一定のこだわりを両立するハイブリッド志向が特徴となっています。
スキンケアを行う理由(n= 400)

スキンケアを行う理由のトップは「清潔感を保つため」56.0%、次いで「身だしなみの一環」41.5%で、男性にとってスキンケアは"美容"より"印象管理"として機能していることがうかがえます。
一方、10–20代は「ニキビや肌荒れ対策」が52.0%と全体平均を大きく上回り、前掲の設問【現在使っているスキンケアアイテム】での同世代の美容液使用率の高さと合致しています。30代以降になると「加齢による肌の変化への対応」が30%台〜約半数へ上昇し、関心軸が"トラブル予防"から"エイジング対応"へシフトしている点が特徴的です。
スキンケアに対して感じているハードルや不満点(n= 400)

男性にとって、値段(36.3%)と選択難易度の高さ(34.8%)がスキンケアの2大ハードルであることが明らかになりました。
特に30代は「値段が高い」(42.0%)に加え、「どれを選べばいいかわからない」(38.0%)、「使い方が難しい・面倒」(24.0%)、「購入しづらい(店舗・EC)」(14.0%)がすべて年代別最多で、情報不足と購入体験の不便さが重なりやすい層であることが分かります。このため、選択支援(オンライン診断・カテゴリ分け)や使用方法の可視化(短時間動画・店頭タッチアップ)、購買導線の最適化(ECでも店頭でも簡単に購入できる仕組み)が重要となりそうです。
特に30代は仕事・家庭で時間制約が大きく、"迷わず買える・すぐ使える"体験設計がブランド選好を左右すると考えられます。
スキンケアに関する情報の収集経路(n= 400)

情報源として最も支持を集めたのは「店頭」で、全体の47.0%でした。年代が上がるほど接点が増え、50代では過半数(53.0%)に達しています。
対照的に10–20代で突出しているのが「TikTok」(23.0%)で、50代の3倍以上となっています。ショート動画でエンタメを楽しみながら"使い方のリアル"を確認する姿勢が若年層に浸透していることがうかがえます。
一方30代は「YouTube」44.0%、「X(Twitter)」25.0%、「Instagram」25.0%、「恋人/パートナー」23.0%と、他の年代よりも全体的に割合が高く、「店頭」48.0%も含めて情報ハイブリッド層と言えるでしょう。
前掲した設問【スキンケアに対して感じているハードルや不満点】で示したように、30代は「どれを選べばいいかわからない」「使い方が難しい・面倒」と悩みが最も多い世代ですが、それは裏を返せば熱心に情報を探し、比較検討している証拠とも言えます。メーカー側のアプローチ次第で、情報を探しながらも迷いがちな30代の"悩み層"を一気に取り込める可能性があると考えられます。
スキンケア用品を購入する場所(n= 400)

メンズスキンケア市場は依然としてドラッグストアが主戦場です。全体の76.3%が利用しており、40~50代では80%超と圧倒的な支持を集めています。
一方で10–20代は63.0%とやや低く、「@コスメ(店舗)」や「ロフト」などのバラエティショップ、さらには「メーカー直販サイト」や「その他ネット通販」も10%強活用しており、購入チャネルの"多拠点化"が進んでいることが分かります。
また、30代は「その他ネット通販」が24.0%と最も高く、実店舗とECを行き来しながら「自分に合う一本」を探す探究層だと言えるでしょう。
男性用スキンケア商品(ブランド)に対して抱いている印象(n= 400)

男性用スキンケアブランドへの印象は、「効果がありそう」が34.0%でトップ、「使いやすそう」(27.5%)と「価格が高い」(25.0%)が僅差で続きました。ポジティブ評価が先行する一方、価格面のネガティブな評価も上位に入り、"値段以上の価値を期待しつつも高いと感じる"という二面性が見られます。
また「手に取りやすい」が24.0%に上り、購入時のハードルは必ずしも価格だけではなく、入手性や試しやすさも重視されていることが読み取れます。
年代別に見ると、40代は「使いやすそう」「手に取りやすい」がいずれも30%超で実用性志向が際立ち、50代は「価格が高い」(29.0%)と「特に印象はない」(30.0%)が最多で、ブランド認知そのものが薄い様子がうかがえました。
スキンケア商品の「男性用」表記による購入意欲変化(n= 400)

全体の過半数が「男性用」と明示された商品に対しポジティブに反応し、「とても購入したくなる」「やや購入したくなる」が計53.1%を占めました。一方「変わらない」は40.8%で、ネガティブ回答は1桁台にとどまりました。
年代別に見ると、10–20代が「とても購入したくなる」22.0%でトップとなっています。一方40代は「やや購入したくなる」が44.0%と最多で、効果への期待はあるものの、成分や価格を慎重に吟味する姿勢がうかがえます。50代は「変わらない」46.0%で最多ながら、肯定層が半数近く存在し、市場開拓の余地は十分にあると言えるでしょう。
「男性用」表記で購入意欲が高まる理由(n= 212)

「男性用」表記で購買意欲が高まる理由は、全体トップが「自分の肌に合うように設計されていそうだから」(57.5%)で、"自分ごと化"が最大の購買動機となっています。次いで「男性の悩みに特化していそうで信頼できるから」(47.2%)が続き、機能面への期待も根強いことがうかがえます。
一方、10–20代は「香りや使用感が男性向け」(48.1%)の比率が最も高く、デイリー使用する上での"快適な使用体験"を求める姿勢が際立っています。30代以上では機能訴求がさらに重視され、特に30代は「自分の肌に合うように設計されていそうだから」への支持が60%超と最多です。スキンケア選びに迷う30代層にとって、男性専用設計や成分のわかりやすい説明が購入の後押しになると考えられます。
また、全年代において30%以上が「パッケージやデザインが抵抗なく手に取れる」点を評価しており、店頭での視認性や"レジに持っていきやすいデザイン"も重要であると言えるでしょう。
スキンケアにかける1ヶ月あたりの金額(n= 400)

月間支出は「~999円」が全体最多(37.5%)、そこに「1,000円~2,999円」(29.3%)と低価格帯が続きますが、5,000円以上を投じる"高投資層"も14.0%存在しています。
年代別では10–20代が5,000円以上20.0%で最も高く、30代16.0%、40代14.0%、50代6.0%と年齢とともに減少しています。一方、「~999円」は50代で58.0%に達し節約志向が顕著です。若年層ほど肌悩みの即効解決や"見た目投資"の意識が強く、価格より機能価値を重視する姿勢がうかがえます。高価格帯が安定的に動く5,000~10,999円ゾーンも7%前後で存在し、中価格帯の需要も堅調となっています。
出典元:株式会社ネオマーケティング プレスリリース