ベンチャー企業の労働実態調査、月60時間以上の残業は1割未満で健全な労働環境が定着

かつて「長時間労働」や「激務」といったイメージが強く持たれていたベンチャー企業ですが、働き方改革が推進される現在、その労働実態はどのような状況になっているのでしょうか。

ベンチャー・中小企業向けのHR総合支援サービスを展開するProfessional Studio株式会社(本社:東京都中央区、代表:市川龍太郎)は、ベンチャー企業における仕事環境と社員の意識を明確にするため、主要都府県に在住する20歳~59歳の正社員5,694名を対象として、企業タイプ別の比較調査を実施しました。

この調査結果により、現代のベンチャー企業においては、適度な業務量による健全な労働環境や、場所に縛られない柔軟な働き方が定着している実態が明らかになりました。

調査における主な結果

  • ベンチャー企業における残業「月60時間以上」は1割未満
  • ベンチャー社員の約4割が「週1~4日出社」のハイブリッドワークを実践
  • ベンチャー社員の対外的な転職活動率(面談等)は外資系企業並みの水準

ベンチャー企業の残業実態、「月60時間以上」は5.9%で日系上場企業と同程度

現代のベンチャー企業では、どの程度の業務負荷が発生しているのでしょうか。まず、月平均の残業時間について企業タイプ別に集計が行われました。

調査における企業タイプの定義は以下の通りです。

  • ベンチャー企業:メガベンチャーやスタートアップなどの成長企業
  • 伝統的な日系上場企業:歴史ある日系大手や、中堅規模の上場企業
  • 外資系企業:海外に本社がある、または外資資本の企業
  • 中小企業、その他:上記に該当しない一般的な中小企業
残業時間の比較グラフ

残業時間が「10時間未満」の割合を確認すると、ベンチャー企業は27.3%、伝統的な日系上場企業は29.5%となっており、大きな違いは見られませんでした。一方、一定の業務量が生じている「20〜30時間未満」の層については、ベンチャー企業が24.3%と最も高く、日系上場企業(19.4%)を約5ポイント上回る結果となっています。

ただし、「月60時間以上」の長時間残業の割合を見ると、ベンチャー企業は5.9%にとどまっており、日系上場企業の5.1%とほぼ同じ水準でした。これらの結果から、現在のベンチャー企業は適度な業務量がありながらも、長時間労働が極端に多い状況は見られず、大手企業に匹敵する健全な労働環境の整備が進んでいると言えます。

ベンチャー社員の41.6%が「週1~4日出社」のハイブリッドワークを実施、外資系企業と同水準

残業時間では日系上場企業と大きな差異がなかったベンチャー企業ですが、働き方に関しては顕著な違いが確認されました。現在の出社頻度について集計し、企業タイプごとの状況を比較した結果が以下です。

出社頻度の比較グラフ

「毎日出社(週5日以上)」と回答した割合は、伝統的な日系上場企業では62.1%と過半数を占める結果となりました。これに対して、ベンチャー企業では41.4%にとどまっており、両者の間には20ポイント以上の差があります。

週1~4日程度出社する「ハイブリッドワーク」層の割合を見ると、ベンチャー企業では41.6%に達しており、外資系企業(43.6%)とほぼ同等の水準となりました。日系上場企業(29.9%)と比較すると10ポイント以上高く、ベンチャー企業においては、出社とリモートを柔軟に組み合わせる働き方が広く浸透していることが分かります。

ベンチャー社員の「キャリア意識」は外資系企業並み、対外的な活動率は日系上場企業の1.5倍

働きやすい環境が整っているベンチャー企業ですが、そこで働く人材はキャリアに対して非常にアクティブな傾向が見られます。現在の転職活動状況を企業タイプ別に比較した結果が以下となっています。

転職活動状況の比較グラフ

「カジュアル面談」「応募・選考中」「内定・転職予定」を合計した、外部との直接的な接点を持つ活動を行っている割合は、ベンチャー企業社員で16.8%となりました。これは伝統的な日系上場企業(10.9%)の約1.5倍にあたり、外資系企業(19.0%)に近い高水準となっています。

前述の通り、ベンチャー企業の労働環境は日系上場企業と比較しても遜色ない状況です。それにもかかわらず活動率が高い背景には、現状への不満だけでなく、より良い環境や成長機会を求めて常に自身の市場価値を確認しようとする、キャリアに対する意識の高さがあると考えられます。

残業「月30時間」から離職リスクが急上昇、「60時間」超で活動率は約3割に

キャリアに対して敏感な人材が多いベンチャー企業において、労働環境の変化は離職行動にどのような影響を与えるのでしょうか。最後に、残業時間別の転職活動状況を集計して、離職リスクが高まるラインが分析されました。

残業時間別の転職活動状況グラフ

対外的な活動(「カジュアル面談」「応募・選考中」「内定・転職予定」を合計)を行っている割合は、残業が「20〜30時間未満」の層では8.9%にとどまりました。しかし、「30〜45時間未満」の層になると15.3%となり、その割合は約1.7倍に上昇しています。

さらに、残業時間が長くなるにつれて活動率は上昇を続け、「60〜80時間未満」では30.1%に達します。「45~60時間未満(18.5%)」と比較して約1.6倍に上昇、増加幅も11.6ポイントと最も大きく、月60時間を超える段階で離職に向けた動きが決定的になる傾向が見て取れます。

このデータは一般的な傾向を示すものですが、キャリアへの意識が高いベンチャー企業の社員においては、月30時間を超える残業に対してよりシビアに反応し、その後の時間増加に伴って、具体的な行動に移る可能性が高まると推察されます。

「働きやすさ」と「高いキャリア意識」が共存する環境

今回の調査からは、現代のベンチャー企業において、大手企業に劣らない健全な労働環境や柔軟な働き方が整備されつつある状況が明らかになりました。一方で、そこで働く人材は単に環境に安住するのではなく、自身の市場価値や成長機会に対して高い感度を持ち、働く環境の質をシビアに評価している様子がうかがえます。

働きやすい環境がスタンダードとなったからこそ、重要となるのは自身が求める働き方との相性です。イメージや表面的な条件にとらわれることなく、その企業の実態が自分に本当に合っているのか、冷静に見極める視点が求められると言えるでしょう。

調査の実施概要

調査機関:自社調査
調査方法:インターネット調査(株式会社ジャストシステム「Fastask」)
対象エリア:主要都府県(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、愛知県、大阪府、兵庫県、福岡県)
対象者:20歳~59歳の正社員
調査期間:2025年12月4日~11日
有効回答:5,694名

※本調査では、総務省「労働力調査(詳細集計)」2024年平均における「正規の職員・従業員」の性年代別構成比に基づいて、ウェイトバック集計が行われています。

出典元:Professional Studio株式会社

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